01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Easton, S., & Piper, C. (2016). Sentencing and Punishment: The Quest for Justice (4th ed.). Oxford University Press.
章の要約
第4版は2部11章から成る。第A部(第1〜7章)は量刑の原則、政策、論点を扱い、第B部(第8〜11章)は刑務所、地域社会、少年司法における犯罪者の処罰を扱う。書店の紹介文によれば、本書は報道の見出しの背後にある理論的議論を検討し、英国の量刑と刑罰を扱い、法的・哲学的・実務的視点を組み合わせた体系的なアプローチをとっており、章ごとの要約、討論用の設問、ケース・スタディが付いている。
第1章:Developing penal policy(刑事政策の展開)
刑事政策がどう発展してきたか、刑罰とは何かを、人権、世論、メディアを含む政治的・経済的・社会的影響とともに検討する。
第2章:Structuring sentencing(量刑の構造化)
量刑における正義と裁量の緊張関係、および司法の裁量を構造化する手段としての量刑ガイドラインの発展と限界を探る。
第3章:Determining 'just deserts'(「応報」の決定)
責任(culpability)と害悪、そして均衡のとれた刑罰という考え方を軸にした応報的な量刑の枠組みを示し、現代の応報主義とその限界を批判する。
第4章:Utility and deterrence(功利と抑止)
抑止を含む功利主義的な刑罰の正当化を検討し、抑止に基づく量刑がどれほど有効で、どれほど擁護できるかを問う。
第5章:Risk and danger(リスクと危険)
危険な犯罪者の管理と、無力化(incapacitation)および公衆の保護の政策を扱い、危険とみなされる犯罪者の量刑に対する過去と現在のアプローチを検討する。
第6章:Instead of punishment?(処罰に代えて?)
修復的司法、少年への福祉的アプローチ、精神障害のある犯罪者のダイバージョンなど、従来の処罰に代わるものを検討する。
第7章:Impact on victims and offenders(被害者と犯罪者への影響)
量刑における被害者の地位と、情状酌量や量刑判断の広い社会的帰結を含む、刑罰が犯罪者に及ぼす影響を論じる。
第8章:Justice in the modern prison(現代の刑務所における正義)
第B部の冒頭で、過剰収容、労働、教育、更生を含む拘禁の目的と条件、および民営化と受刑者の権利をめぐる議論を扱う。
第9章:Experiencing imprisonment(拘禁の経験)
女性、少数民族の受刑者、高齢の受刑者など、集団ごとの拘禁の経験と、平等、差別、人権の問題を検討する。
第10章:Punishment and rehabilitation in the community(地域社会における処罰と更生)
罰金、地域社会命令、執行猶予付き判決などの非拘禁刑と、保護観察制度の変更を含む、地域社会での処罰における更生の位置を検討する。
第11章:Court orders for young offenders(少年犯罪者に対する裁判所命令)
少年犯罪者に科しうる刑の範囲と、少年司法に適用される正義と権利の原則を扱う。
主要概念
第1〜3章:刑事政策、量刑の構造化、応報
- 刑事政策:刑罰と量刑が組織される政治的・社会的な枠組み。
- 量刑ガイドライン:一貫性を追求しつつ一定の裁量を残す、裁判官向けの構造化された指針。
- 応報(just deserts):責任と害悪に釣り合った刑罰。
第4〜7章:功利、リスク、代替策、被害者
- 抑止:刑罰を用いて、犯罪者本人または他者の犯罪を思いとどまらせること。
- 無力化と危険性:重大な害を及ぼすおそれがあると判断された犯罪者を制限すること。
- 修復的司法:被害者、加害者、地域社会が関与して害悪の回復を図る過程。
第8〜11章:刑務所、地域社会、少年
- 更生:拘禁下でも地域社会でも行われる、犯罪者の改善更生の取り組み。
- 地域社会命令:非拘禁刑とその監督。
- 少年司法:少年犯罪者に適用される別個の原則と刑。
批判的分析
長所
- **原則が先、実務が後。**第A部で刑罰の理論的正当化(応報、功利、リスク、修復)を示し、第B部でそれを刑務所、地域社会刑、少年司法に適用する。理論が制度をどう形づくるかを学生が見られる。
- **学習支援。**出版社の紹介文は、章ごとの要約、討論用の設問、ケース・スタディを挙げており、ゼミでの作業に向く。
- **多様な経験への目配り。**第9章は刑務所内の集団ごとに別々に検討しており、平等と人権が独立の章ではなく、刑罰の議論の中に位置づけられる。
- **版の歴史。**2012年の第3版、2022年の第5版と、4回以上改訂されており、量刑法の変化に合わせて更新されてきた。
短所
- **イングランドとウェールズ中心。**本書は英国の量刑に集中しているため、比較法や国際的な素材を求める読者は他の資料が必要である。
- **その後の変化で古くなる。**2016年版は第5版やその後の量刑立法、ガイドライン、保護観察制度の変更より前のもので、現行法の確認が必要である。
- **犯罪学の概説ではない。**犯罪の原因や警察・訴追は詳しく扱っておらず、刑事司法制度の仕組みについての基礎知識を前提とする。
コースにおける位置づけ
このコースの図書一覧では、RobertsのCriminal Justice: A Very Short Introductionは、犯罪から裁判所まで、刑務所から仮釈放までを事件に沿ってたどる。NewburnのCriminologyとThe Oxford Textbook on Criminologyは、理論、犯罪の測定、司法制度を扱うコース教科書で、The Oxford Handbook of Criminologyは現代犯罪学の概観である。EnglishのTerrorism: How to Respondは、テロリズムと国家の対応を論じる研究である。
EastonとPiperは、有罪判決後に何が起こるかを扱う専門書である。刑事司法または犯罪学の一般的な入門の後、授業が量刑と刑罰、拘禁、地域社会刑に進むときに読むのがよい。
本書の使い方
量刑論や刑罰学の授業を取る犯罪学、刑事司法、刑法の学生、および刑罰を厳密に扱った本を求める人に向く。
まず刑罰の理論を示す第1〜4章を読み、その後、危険性、代替策、被害者のうち関心のあるものを第5〜7章から選ぶ。第B部は任意の順序で読めるが、第8章と第9章は組になっており、少年司法なら第11章を選ぶ。
討論用の設問を使って、一つの事例で諸理論を比較し、2016年以降に変わった現行の量刑ガイドラインと制定法を確認すること。
