01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Shaw, M. N. (2026). International Law (10th ed.). Cambridge University Press.
章の要約
第10版は印刷版で約1,440ページ、全22章からなり、冒頭に序文、判例表、条約表、略語一覧が置かれ、末尾に索引が付く。章の流れは、国際法という体系の性質と法源から始まり、その主体と、国家が活動する各実体法分野を経て、紛争解決、武力、国際機構へと進む。出版社は本書を、詳細な出典表示を維持した論考(treatise)として紹介しており、読者が一次資料へ進めるようになっている。
第1〜2章:国際法の性質と発展;今日の国際法
冒頭の2章では、国際法の性質と体系の発展を扱い、続いて現在の国際法の特徴を取り上げる。
第3〜4章:法源;国際法と国内法
第3章は国際法の規則を導き出す法源を扱う。第4章は、国際法が実際に適用されることの多い国内法秩序との関係を取り上げる。
第5〜8章:国際法の主体;人権の国際的保護;国際法における個人の刑事責任;承認
この4章は、体系が誰を、何を対象とするかを扱う。国家その他の存在、保護される権利の担い手としての個人、刑事責任を問われうる者としての個人、そして承認の実行である。
第9〜12章:主権的領域とその先;海洋法;管轄権;管轄権からの免除
これらの章は、国家の空間的・管轄的な及ぶ範囲を扱う。領域とそれを超える区域に対する権原、海洋制度、国家が規律し執行できる権限の限界、そして管轄権の行使を制約する免除である。出版社は、海洋法を今版で扱いを拡充した分野の一つに挙げている。
第13〜16章:国家責任;国際環境法;条約法;国家承継
第13章は国家責任を扱う。続く章は、実体法分野の一つである国際環境法、条約法、そして国家が入れ替わる場合の問題を取り上げる。
第17〜19章:平和的手段による紛争解決;国際司法裁判所;国家による武力行使と国際法
この3章は、紛争の平和的解決の一般的な扱いに始まり、国際司法裁判所を経て、国家による武力行使に関する法で終わる。出版社は国際司法裁判所を、扱いを拡充した分野として挙げている。
第20〜22章:国際人道法;国際連合;国際機構
本書は国際人道法と、二つの制度面の章(国際連合と国際機構)で締めくくられる。国際人道法も、出版社が扱いを拡充した分野として挙げている。
主要概念
第1〜8章:基礎と主体
- 法源:国際法の規則が特定される過程と資料。第3章の主題である。
- 国際法の主体:体系が対象とする存在。第5章で、個人については第6〜7章で扱われる。
- 承認:国家が主体や事態を認める実行。第8章の主題である。
第9〜16章:領域、管轄権、責任
- 主権的領域:陸地と国家領域を超える区域に対する権原。第9章で扱い、第10章の海洋法が続く。
- 管轄権と免除:国家の権限の及ぶ範囲と、免除がそれに課す限界(第11〜12章)。
- 国家責任:国際義務の違反の帰結(第13章)。
- 条約法:国家間の合意を規律する規則(第15章)。
第17〜22章:紛争、武力、機構
- 平和的解決:武力によらずに紛争を解決する方法。国際司法裁判所での裁判を含む。
- 武力行使:国家による武力への訴えを制限する規則(第19章)と、武力紛争中の行為を規律する法(第20章)。
- 国際機構:最後の2章で扱われる国際連合その他の機関。
批判的分析
長所
- 1冊での幅広さ。 目次は、法源、主体、人権、個人の刑事責任、領域、海洋、管轄権、責任、環境、条約、承継、紛争解決、武力、人道法、機構を網羅している。一般的な国際公法の講義内容の大半を1冊でたどることができる。
- さらなる学習のための出典表示。 出版社は、判例、条約、実行に関する詳細な出典表示を維持・発展させていると強調している。そのため、課題や研究で一次資料へ進むための入口として役立つ。
- 論理的な配列。 基礎(法源、国内法との関係)から主体と領域の問題を経て、責任、紛争、武力、機構へと進むため、辞書的に引くだけでなく、通読して理解を積み上げていける。
- 最新の内容。 出版社によれば、宇宙法、海洋法、国際司法裁判所、国際人道法の扱いが拡充され、サイバー作戦と非国家主体に関する記述が追加されている。
短所
- 分量。 1,400ページを超え、論考規模の書物であり、出版社自身がその語を用いている。この分野を初めて学ぶ人には、最初の講義には多すぎるかもしれず、より短い入門書から始めるほうがよい場合がある。
- 貿易法・投資法の章がない。 出版社は国際経済法を扱う分野の一つに挙げているが、目次に章題としてそれを掲げた章はない。貿易、投資、経済規制の講義を取る学生は、索引を確認し、専門書も必要になると考えておくべきである。
- 理論に専念した章がない。 目次には国際法への理論的アプローチを扱う独立した章がないため、批判的・理論的な論述を詳しく読みたい読者は別の本が必要になる。
コースにおける位置づけ
本書は、このコースの図書一覧のなかで、1冊で詳細な参照先がほしい学生向けの、単著による包括的な教科書である。初めて学ぶ場合は、より短い本のほうが適している。Vaughan Lowe の International Law: A Very Short Introduction は、国際法とは何か、どう機能するかを短くまとめて説明し、Akehurst の Modern Introduction to International Law(Alexander Orakhelashvili による改訂)は、裁判所の判断に言及しつつ実証主義的な枠組みで分野を簡潔に概観する。
Malcolm Evans 編の International Law は、各章をその分野の専門家が執筆する別の形式で、講義がその章立てに従う場合には代替または併用の候補になる。James Crawford による Brownlie の Principles of Public International Law の改訂版も単巻の論考であり、実務家の水準で法理を知りたい読者に向く。Martti Koskenniemi の From Apology to Utopia はまったく異なる種類の本で、国際法的議論の構造を論じたものであり、本書のような法理中心の教科書のあとに読むのがよい。
本書の使い方
本書は、国際公法の講義を受ける法学部生と、出典付きの記述を必要とする実務家・研究者に向く。国際法の事前学習は原則として不要だが、本書の規模と出典表示を考えると、判例や条約を読み慣れているほうが得るものは大きい。
講義全体に沿った読み方の目安は次のとおり。
- 中核: 第1〜5章(性質、今日の位置づけ、法源、国内法との関係、主体)と第13章(国家責任)。他の章が前提とする枠組みを与える。
- シラバスの項目別: 領域・海洋・管轄権は第9〜12章、条約・紛争解決・国際司法裁判所・武力は第15章と第17〜19章、人権・刑事責任・人道法は第6、7、20章。
- 選択的: 承認、環境法、国家承継、国際機構が講義やレポートで必要になったときに、第8、14、16、21、22章を読む。
判例表と条約表、そして詳細な出典表示を使って、ある論点の一次資料を探し、各章と並行して判決や条約の条文を選んで読むとよい。復習では、法源と責任の章を短い入門書と組み合わせて確認する。後の多くの項目がそれらに依存しているからである。
