01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Koskenniemi, M. (2006). From Apology to Utopia: The Structure of International Legal Argument (reissue with a new epilogue). Cambridge University Press. (初版は1989年。)
章の要約
本書は約680ページで、序論、8章、再刊のために2005年に書かれたエピローグ、長い参考文献・判例一覧からなる。論旨は、国際法は法律家が主張する「客観性」を維持できない、というものである。国際法は、国家権力の弁明にすぎないという批判と、空想的な道徳にすぎないという批判の間を絶えず引き裂かれているからである。本書は規則の概説ではなく、法源、主権、慣習、世界秩序について国際法律家が行う議論の構造を分析する。
再刊への序文と序論
序文で著者は、国際法が自由主義的な政治理論のパラドックスを再生産するという本書の主題が、より後の、楽観の薄れた時代にどう読まれるかを省みる。法の支配や国際機関は十分に役割を果たせていないと広く見られ、国際公法は断片化していると語られている。序論は、本書が国際法の本であるだけでなく社会理論と政治哲学の試みでもあると述べ、取り組む問題を説明する。法律家は社会学と政治の間に固有の「法的」言説を求めるが、国際法の政治的基盤についての考察は、たいてい概説書の序論部分にとどまり、法理に影響を及ぼしてこなかった。
第1章:Objectivity in International Law: Conventional Dilemmas
国際法は、国家に何をなすべきかを告げるから国家の実際の行動の記述から区別でき、主観的な信念への依存が小さいから国際秩序のあるべき姿に関する政治的原則から区別できる、という想定を検討する。著者は、この二つの区別は同時には維持できないと論じる。
第2章:Doctrinal History: The Liberal Doctrine of Politics and Its Effect on International Law
議論の根を16~18世紀の自由主義的な政治学説にさかのぼる。個人の自由と社会秩序の調停から、個人の自由から出発する上昇型と、拘束力のある社会秩序から出発する下降型という二つの議論の型が生じる。本章は、これらが国際的な義務についての思考をどう形づくるかを示す。
第3章:The Structure of Modern Doctrines
特定の論者が述べたことの目録ではなく、近代の国際法的議論の「深層構造」に焦点を当てる。法の具体性と規範性の緊張に対処する戦略として、どちらかを優先する、もう一方を優先する、両方を放棄する、両立するものとして説明する、の四つを示す。
第4~6章:Sovereignty; Sources; Custom
この分析を適用する三つの法理の章。第4章は国家主権を国内の自由主義的な個人の自由と比較し、国家の自由の範囲を、弁明論に陥らずにどう説明できるかを問う。第5章は、法源の法理が主権の不確定性にどう応え、客観的かつ拘束的であろうとするかを示す。第6章は、主権と法源を国家実行と信念から捉え直す新たな出発点を提案し、三つの法理が互いに独立であり続けられるかを検討する。
第7章:Variations of World Order: The Structure of International Legal Argument
国際法を「逆方向に」読み、法が国際社会についてどのような理解を運び、どのような世界秩序を目指しているかを問う。法は社会的文脈を反映するとともに、それについての規範的な見方も反映する、という前提に立つ。
第8章:Beyond Objectivism
出発点に戻る。客観性は具体性(誰がどう考えるべきかに左右されず検証可能であること)と規範性(反対する国家に対しても適用されること)によって定義できるという主張と、その客観主義には根拠がないという結論を述べる。
エピローグ(2005年)
約50ページの回顧。著者は、フィンランド外務省での経験に基づく、本書の背後にある二つの不満を想起する。その一つは、標準的な学術的叙述が、国際法の議論が形式的でありながら政治的に開かれているという性格をとらえていないことである。
主要概念
序論と第1~3章
- 国際法の客観性:法的言明は政治的言明と異なるという主張。
- 具体性と規範性:客観性の二つの基準と、その間の緊張。
- 弁明とユートピア:法的議論がさらされる二つの批判。
- 上昇型と下降型の議論:個人の自由から出発する議論と、拘束的な社会秩序から出発する議論。
第4~8章
- 主権、法源、慣習:議論が進められる三つの法理。
- 自由主義的政治理論:国際法が再生産すると論じられる背景理論。
- 世界秩序:法が含意する国際社会像。
批判的分析
長所
- 独自の問い:国際法的議論がそもそもどのようにして可能なのか、そしてそれが繰り返し不安定になるのはなぜかを問う。これは国際法のどの分野の議論を読む際にも枠組みとなる。
- 緊密な構成:中心の章は主権、法源、慣習の順に、同じ二つの基準で検証していくため、議論が積み重なる。
- 著者自身による回顧:2005年のエピローグと再刊への序文により、著者が本書の目的と受容をどう理解しているかがわかる。
- 学術的な評価:出版社のページに掲載された評で、ジェームズ・クロフォードは、批判的な視点から近代国際法の構造を論じた最も重要な研究だと述べている。
短所
- 分野の概説ではない:序論は、本書を法であると同時に社会理論と政治哲学であると位置づけている。条約、国家責任などの中核的な法理の規則は教えない。
- 分量と密度:中心の五つの章はそれぞれ約66~87ページ、全体では約680ページある。
- 別の時代に書かれた:序文は、本書が国際法への楽観的な時期に現れ、その文脈が変わったことを認めており、現代の読者はこの点を念頭に置くべきである。
コースにおける位置づけ
本書は一般的な教科書ではなく理論書である。Akehurst の Modern Introduction to International Law、Lowe の International Law: A Very Short Introduction、Evans 編 International Law、Shaw の International Law、Brownlie の Principles of Public International Law は、簡潔な入門書から本格的な体系書まで、この科目の規則、法源、法理を示す。
Koskenniemi は、これらのいずれかを読んだ後に読む。法源や主権がどう教えられるかを知った学生は、それらをめぐる議論がどのように組み立てられ、なぜこれほど争いうるのかを問うことができる。
本書の使い方
国際公法の講義を修了し、法理論や政治理論に関心のある上級の学部生、大学院生、研究者に向いている。
実践的な進め方は次のとおり。
- 最初に問題を提示する序論と第1章、そして再びそれに戻る第8章を読む。
- 中核:自由主義政治の理論と四つの戦略を扱う第2~3章、続いて主権・法源・慣習の第4~6章。これらは一般教科書の対応する章と並べて読める。
- 任意:第7章と、著者自身の後年の見解を示す2005年のエピローグ。
- 標準的な教科書と併読し、抽象的な議論をすでに学んだ法理で検証すること。
