01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Holder, J., & Lee, M. (2007). Environmental Protection, Law and Policy: Text and Materials. Cambridge University Press.
章の要約
本書はテキスト・資料型の著作で、約770ページ、17章を5つの部に分け、各部は短い序で始まる。Sue Elworthy と Jane Holder の Environmental Protection(1997)の改訂版である。最初の三つの部は環境法をその文脈の中に置く。すなわち、主題の広い背景、欧州連合、国際的な枠組みである。後の二つの部は主要な規制の仕組み、つまり汚染規制と土地利用・開発に対する規制を扱う。本書には二つの事例が通底しており、遺伝子組換え生物(GMO)は第1部で導入され第2部で再び取り上げられ、風力発電所の開発が本書を締めくくる。
第1部(第1–3章):序論:文脈の中の法
第1章「文脈の中の環境法」は約50ページ。環境法を、科学とリスク評価の役割、経済学と費用便益分析の利用、環境保護の政治的・大衆的次元、ディープ・エコロジーやエコフェミニズムなどの代替的なエコロジー理論という背景に置く。第2章「遺伝子組換え生物:ジレンマの紹介」は、GMOをこれらの問題の最初の事例研究として取り上げる。第3章「環境に関する意思決定への市民参加」は、意思決定における公衆の役割を検討する。
第2部(第4–5章):EUの文脈
第4章「EUの環境法と政策の発展と現状」はEUの枠組みを述べる。第5章「多層的な意思決定:EUとGMO」はGMOに戻り、異なる統治の層をまたいで決定がどのようになされるかを示す。
第3部(第6–7章):国際的な文脈
第6章「持続可能な開発:生活の質と未来」と第7章「『グローバル化』と国際貿易」はいずれも約50ページで、持続可能な開発という考え方と、環境保護と貿易との関係を通して国際的な側面を扱う。
第4部(第8–11章):規制の仕組みI:汚染規制
汚染がどのように規制されるかを扱う4章。「汚染規制の制度的構造」、「規制技術としての許可:統合的汚染防止管理を例に」、「直接規制の執行と実施」、「規制技術:許可を超えて」。
第5部(第12–17章):規制の仕組みII:土地利用と開発の規制
最も長い部で6章から成る。「土地利用・開発規制の歴史的背景」、「計画と環境保護」、「環境アセスメント」(本書で最長の章で約60ページ)、「自然保全と生物多様性:指定という手法」、「自然保全と生物多様性:指定を超えて」、そして「風力発電所の開発と環境紛争」。最後の章は、先行する各章を、争いのある開発の一形態に適用する。
主要概念
文脈と参加(第1部)
- 文脈の中の法:環境法は、科学、経済学、環境をめぐる政治的・生態学的議論との関連の中で読まれるべきだという考え。
- ジレンマとしてのGMO:リスクと意思決定の問題を導入するために用いられる事例研究。
- 市民参加:環境に関する決定における公衆の役割。
EUと国際的枠組み(第2・3部)
- 多層的な意思決定:EUと国家の層をまたいでなされる決定。GMOを通して検討される。
- 持続可能な開発:生活の質と将来世代の利益を結びつける原則。
- グローバル化と貿易:国際貿易と環境保護との関係。
汚染と土地利用の規制(第4・5部)
- 許可とIPPC:規制技術としての許可。統合的汚染防止管理を例とする。
- 執行と実施:直接規制がどのように実現されるか。
- 計画と環境アセスメント:土地利用の規制と開発の評価。
- 指定:自然と生物多様性を保全する手法としての指定と、それを超えるアプローチ。
批判的分析
長所
- 法を文脈の中に置く。 冒頭の部と、五つの部の題のうち三つに「文脈」という語があることは、本書が環境法を単なる規則の集合ではなく、より広い議論の一部として扱っていることを示す。
- 事例研究が複数の章にまたがる。 GMOは第1部に現れ第2部に再び現れ、風力発電所の章が本書を締めくくるので、同じ問題を異なる層と異なる仕組みで見ることができる。
- 汚染規制と土地利用の均衡。 二つの規制の部にはそれぞれ短い序と複数の章があり、二つの主要な規制体系がほぼ同じ規模で扱われる。
- 環境アセスメントと自然保全が厚い。 最も長い章は環境アセスメント(約60ページ)と、自然保全の二章のうち最初の章(約59ページ)である。
短所
- 年代。 本文は2007年のもので、その後のEUと国際的な展開、国内の改革は含まれない。目次には気候変動の章もない。
- 汚染規制の範囲。 汚染の章は、制度、許可、執行、その他の規制技術に集中し、大気、水、廃棄物のような個別の媒体を扱わない。
- 分量と形式。 この長さのテキスト・資料型の本は、解説と抜粋が混在するため、通常の教科書より読み通すのに時間がかかる。
コースにおける位置づけ
Holder と Lee の本は、主題別で文脈を重視する書である。EU、国際、規制の各層を順に取り上げ、事例研究を用いて環境法がどう機能するかを示す。Bell らの Environmental Law はより新しく、分野別の構成で、大気汚染、水、廃棄物、気候変動に独立の章があり、Holder と Lee の後に、あるいはそれらの分野を必要とするコースで併用するのに向く。Sands と Peel の Principles of International Environmental Law と Mayer の The International Law on Climate Change は、第3部よりはるかに深く国際法を扱う。Lazarus の The Making of Environmental Law は、米国で環境法がどう発展したかを描く。
順序としては、枠組みと議論のために Holder と Lee、現行の分野別制度のために Bell、国内の枠組みが明確になった後に国際法の本、が妥当である。
本書の使い方
環境法・環境政策の科目を学ぶ学部生、とくに主題をより広い文脈の中で扱い、解説に加えて一次資料や学術資料の抜粋を求めるコースに向く。
実際の読み方は次の通り。
- 中核: 第1章(文脈)、第3章(参加)、第6–7章(持続可能な開発と貿易)、第8–10章(汚染規制)。
- 計画・土地利用を重視する場合: 第5部を順に、歴史的背景から環境アセスメントと自然保全まで。
- 事例研究: GMOについては第2章と第5章を併せて、風力発電所の事例については第17章を読み、法的手段が具体的な争点にどう作用するかを見る。
各部の前に部の序を読んで方向をつかみ、抜粋は資料としてだけでなく論証としても批判的に読む。本文は2007年のものなので、各主題の現状は、より新しい資料で確認すること。
