01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Foner, E., DuVal, K., & McGirr, L. (2025). Give Me Liberty!: An American History (8th ed.). W. W. Norton & Company.
章の要約
本書は、植民地時代から現代までを扱うアメリカ合衆国史の概説教科書で、28の章が6つの部にまとめられている。出版社のW. W. Nortonは、本書が「自由」という中心テーマのもとで、権威ある、読みやすい叙述を提供し、さまざまな集団のアメリカ人にとって自由の輪郭と限界がどう変わってきたかを辿ると説明している。第8版では、初期アメリカの専門家で第1巻の主執筆者であるキャスリーン・デュヴァル(Kathleen DuVal)と、20世紀アメリカの専門家で第2巻の主執筆者であるリサ・マクガー(Lisa McGirr)がエリック・フォーナー(Eric Foner)に加わり、出版社によれば、生殖に関する正義から経済的自由に至る私的・公的な自由を含め、女性史の扱いが深められた。本書は、合本(第1–28章)、第1巻(第1–15章、始まりから再建期まで)、第2巻(第15–28章、再建期から現在まで)として販売され、Seagull版とBrief版は別に掲載されている。
第1部:1763年までのアメリカ植民地(第1–4章)
第1部は、第1章「Old Worlds and New」で始まり、「European Colonies and Native Nations, 1600–1660」、「The Rise of Anglo-America, 1660–1750」を経て、「Slavery, Freedom, and the Struggle for Empire, to 1763」に至る。章題は、先住民諸国、イギリス植民地の成長、奴隷制、帝国間の抗争を並べて位置づけている。
第2部:新しい国民、1763–1840年(第5–10章)
第5章「The American Revolution, 1763–1783」に、「The Revolution Within」、「Founding a Nation, 1783–1791」、「Securing the Republic, 1791–1815」が続く。この部は、「The Market Revolution, 1800–1840」と「Democracy in America, 1815–1840」で終わる。
第3部:奴隷制、自由、連邦の危機、1840–1877年(第11–15章)
この部には、「The Peculiar Institution」、「An Age of Reform, 1820–1840」、「A House Divided, 1840–1861」、「A New Birth of Freedom: The Civil War, 1861–1865」、「'What Is Freedom?': Reconstruction, 1865–1877」がある。第15章は、第1巻が終わり第2巻が始まる地点である。
第4部:世界的存在へ向けて、1870–1920年(第16–19章)
章は、「America's Gilded Age, 1870–1890」、「Freedom's Boundaries, at Home and Abroad, 1890–1900」、「The Progressive Era, 1900–1916」、「Safe for Democracy: The United States and World War I, 1916–1920」である。
第5部:大恐慌と戦争、1920–1953年(第20–23章)
この部は、「From Business Culture to Great Depression: The Twenties, 1920–1932」、「The New Deal, 1932–1940」、「Fighting for the Four Freedoms: World War II, 1941–1945」、「The United States and the Cold War: 1945–1953」を扱う。
第6部:どのような国か、1953–2024年(第24–28章)
最後の部は、「An Affluent Society, 1953–1960」、「The Sixties, 1960–1968」、「The Conservative Turn, 1969–1988」、「A New World Order, 1989–2004」、「A Divided Nation」からなる。
主要概念
植民地時代から初期共和国まで(第1–10章)
- 組織原理としての自由:出版社が、各章を結びつけるものとして説明するテーマ。
- 先住民諸国とアングロ・アメリカ:章題における、先住民諸国とイギリス植民地の組み合わせ。
- 内なる革命(The Revolution Within):第6章の題名で、第5章の政治的出来事の傍らに社会の変化を置く。
- 市場革命(Market Revolution):第9章で挙げられる経済の変容。
奴隷制、南北戦争、再建期(第11–15章)
- 「特殊な制度」(The Peculiar Institution):奴隷制のことで、第11章の主題。
- 「自由とは何か」:第15章に題名を与える問い。
20世紀(第16–28章)
- 革新主義の時代とニューディール:それぞれ独立の章を持つ改革の時期。
- 四つの自由(The Four Freedoms):第二次世界大戦の章の題名に使われる語句。
- 保守への転換(The Conservative Turn):第26章の題名。
批判的分析
長所
- 一貫した主題:出版社は、変化する意味と限界を持つ自由を、各章をつなぐ糸として提示しており、第15章や第22章のような章題がそれを担っている。
- 明快な年代構成:年代の範囲を付した6つの部と28の章が概説の地図となり、第15章での巻の分割により、授業を再建期で区切ることができる。
- 教育と学習への支援:Nortonは、著者の動画と、一次史料、図版、地図のインタラクティブ要素を備えた電子書籍、適応型学習ツールのInQuizitive、歴史スキルのチュートリアル、章ごとに整理された副読本 Voices of Freedom を挙げている。
- 新しさ:最後の部は2024年まで及び、第8版は女性史に関する最近の研究を加えている。
短所
- 分量:合本は1,352頁とされ、1学期で扱える範囲を超えるので、教員は章を選ぶか、Brief版のような短い版(出版社は第6版について全版より30%短いと説明している)を選ぶことになる。
- 版とパッケージに左右される:章題は版によって異なり(第3章は第8版では「The Rise of Anglo-America, 1660–1750」、第7版のAP版では「Creating Anglo-America, 1660–1750」)、デジタル教材はパッケージとして提供されるため、学生が手にするものは購入した版によって変わる。
- 概説であって専門書ではない:各章は非常に長い期間を一つの物語で扱うため、特定の時代を深く知るには専門書が必要である。
コースにおける位置づけ
アメリカ史のコースの中で、本書は通史の本格的な教科書である。Boyer の American History: A Very Short Introduction は短い解釈的通史で、最初に読むことも、手早い復習に使うこともできる。The American Yawp は、同程度の期間を扱う、オープンライセンスの共同執筆の概説で、無料の代替として、あるいは第二の声として使える。Foner と McGirr の American History Now は史学史の副読本で、最近の研究を概観する論文集であり、本書のような概説の基本的な叙述を前提とする。
深みについては、McPherson の Battle Cry of Freedom が第3部の南北戦争期の内容を一巻の歴史に広げ、Georgakas の Detroit: I Do Mind Dying は、デトロイトの黒人革命労働者同盟(League of Revolutionary Black Workers)の研究で、第6部の各章に関連する。
本書の使い方
本書は、アメリカ合衆国史の概説を学ぶ学生向けに書かれており、事前の学習は要らない。
実践的な進め方は次のとおり。
- 授業に合う巻を選ぶ:第1巻(第1–15章)か第2巻(第15–28章)、全体なら合本。
- 一つの部ずつ読み、部の題名と年代範囲で時系列を押さえ、各章で、誰の自由が論じられているか、その意味がどう変わるかを問う。
- デジタル教材と一次史料教材を使う:特に Voices of Freedom と歴史スキルのチュートリアルで、叙述を読むことから史料を分析することへ進む。
- 授業が必要とするところで深める:南北戦争には Battle Cry of Freedom、歴史家の論争には American History Now、素早い概観には Boyer のような短い解釈的な本。
