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Framing the Early Middle Ages: Europe and the Mediterranean, 400-800(中世初期の枠組み:ヨーロッパと地中海 400〜800年) cover

歴史学

歴史学

Framing the Early Middle Ages: Europe and the Mediterranean, 400-800(中世初期の枠組み:ヨーロッパと地中海 400〜800年)

Chris Wickham

英語原題: Framing the Early Middle Ages: Europe and the Mediterranean, 400-800

5世紀から9世紀にかけての旧ローマ帝国諸地域を対象とした、大規模な比較社会経済史。文書史料と考古学を組み合わせ、ローマ支配の終焉後に国家、貴族、農民共同体、都市、交換ネットワークがどのように変化したのか、そしてその変化がなぜ地域ごとに大きく異なったのかを問う。

前提知識: ウィッカム自身の Medieval Europe などによる中世史または古代末期史の概説と、ローマ史についての一定の知識。

難易度レベル
上級
学術レベル
大学院
early middle ageslate antiquitysocial historyeconomic historymediterranean

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Wickham, C. (2006). Framing the Early Middle Ages: Europe and the Mediterranean, 400–800. Oxford University Press.

章の要約

ウィッカムは、文献史料と考古学的証拠を組み合わせて、ローマ以後の世界の比較史を書こうとする。出版社の紹介は問題をこう説明する。ローマ帝国は一つの全体として見られがちだが、初期中世は現代の国民国家に対応する地域史の集まりとして語られてきた。ウィッカムはそれに代えて、後期ローマ世界とローマ直後の世界の各地域を、デンマークからエジプトまで(スラヴ人地域のみ除く)順に比較し、異なる展開のすべてを、一つの「正常な」道の例外ではなく典型として扱う。本書は古典的な社会経済的主題に集中する。国家財政、貴族の富とアイデンティティ、所領経営、農民社会、農村の居住、都市、交換である。目次は十一の章を四つの部に分け、そのあとに結論を置く。

第I部 国家:第1–3章

序論が本書の目的と方法を述べる。続く「地理と政治」「国家の形態」が政治的な地図を描き、ローマ支配の終わりのあとで各地域の国家がどう組織されたかを比べる。

第II部 貴族の権力構造:第4–6章

「貴族」はエリートの富とアイデンティティを、「土地の経営」は地主がどう所領を運営したかを扱う。この二つは出版社が明示している主題である。「北方における政治的崩壊と国家形成」は北方の諸地域に向かい、政治的崩壊と新しい国家の形成を表題の主題とする。

第III部 農民層:第7–9章

「農民と地域社会:事例研究」は詳しい地域の事例を示し、「農村集落と村落社会」は居住の形を論じ、「農民社会とその問題」は農民社会が抱えた問題を扱う。出版社は、初期中世考古学の台頭がこうした主題の証拠を一変させたと述べている。

第IV部 ネットワーク:第10–11章

「都市」と「交換の体系」が、町と物の動きによって全体像を完成させる。

結論

結論の章は比較を締めくくる。出版社は、取り上げた主題は時代の部分的な姿しか示さないが、他の展開を枠づけ説明するものだと述べている。

主要概念

第I–II部

  • 比較の方法:各地域の軌跡を並べて見ることで、どれも典型扱いしない。
  • 国家財政:国家が資源をどう調達し使ったか。本書を貫く社会経済的主題の一つ。
  • 貴族の富とアイデンティティ:エリートの権力の源泉と、エリートが自らをどう理解したか。

第III–IV部

  • 農民と農村の居住:農村の多数者の暮らしと共同体を、文献と考古学で研究する。
  • 都市と交換:都市生活と物を動かすネットワーク。より広い変化の指標として扱われる。

批判的分析

長所

  • 地域を越えた総合。 デンマークからエジプトまでの旧ローマ世界全体を扱い、1930年代以降、ローマ以後の社会経済的変化について説得力のある総合は少ないという出版社の指摘に応えている。
  • 文献と考古学の併用。 紹介は、両者の統合を本書の目標の一つとして示している。
  • 強い反響。 OUPのページは『ニュー・リパブリック』、『アトランティック・マンスリー』のベンジャミン・シュワルツ、『タイムズ文芸付録』、『スペクルム』を引用し、本書は2005年のウルフソン歴史賞、2006年のドイチャー記念賞、アメリカ歴史学会の2006年ジェームズ・ヘンリー・ブレステッド賞を受けた。『タイムズ文芸付録』の評者は、この時代の初学者でも近づきにくいページはほとんどないと述べた。
  • 明快な四部構成。 国家、貴族、農民、ネットワークが、膨大な材料のなかで読者がたどる計画を与える。

短所

  • 分量。 ペーパーバックは1,024ページで地図13点を含み、議論は地域間の比較の積み重ねに依存する。
  • 主題の選択。 出版社自身が、これらの社会経済的主題は部分的な姿だと述べ、同時にそれらが他の展開を枠づけ説明するとも述べている。宗教、文化、政治の叙述史を主に読みたい読者には、別の一冊が必要になる。
  • 地理的な限定。 スラヴ人地域は意図的に除かれている。

コースにおける位置づけ

中世史のコースでは、これは初期の数世紀を扱う大型の学術研究である。ウィッカム自身の『中世ヨーロッパ』(Medieval Europe)は時代全体の簡潔な通史で、まず概略が必要な読者の自然な相棒になる。ローゼンワインの『中世小史』(A Short History of the Middle Ages)とベネットとバーズリーの『中世ヨーロッパ小史』(Medieval Europe: A Short History)は教科書的な通史、ルービンの『中世:ごく短い入門』(The Middle Ages: A Very Short Introduction)は簡潔な主題別の入門である。どれを読んでも、ウィッカムの比較が追いやすくなる背景が得られる。

R. I. ムーアの『迫害社会の形成』(The Formation of a Persecuting Society)は十世紀から十三世紀へ時代を進める、より短い論証型の研究で、規模と方法の対照として役に立つ。

本書の使い方

分量と学術的な体裁からして、上級の学生と研究者向けの本だが、『タイムズ文芸付録』は初学者にも親しみやすいと見ており、ベンジャミン・シュワルツは網羅的な文献目録を称賛した。実際的な道筋は、方法と結論を述べる第1章と結論を先に読み、関心に応じて部を選ぶことである。国家なら第I部、農村なら第III部、都市と交易なら第IV部である。この時代が初めての読者は、先に通史を読み、地図を見ながら進めるとよい。

演習では、第1章、第III部の事例研究の一章、結論を指定し、二つの地域がどう違うかを比べさせるとよい。文献目録は各主題の文献案内として使える。

読むあいだは、後期ローマの属州地図と後継王国の年表を手元に置いておく。本書の比較は地中海とヨーロッパ全域の地域に及ぶからである。読み終えたあとに叙述的な補完を求める読者は、ウィッカムがのちにペンギン社のために書いた初期中世の概説『ローマの遺産』(The Inheritance of Rome、2009年)に進むとよい。ウィッカムのウェブサイトは、これを本書から続くものと述べていた。簡潔な『中世ヨーロッパ』は、この時代を宗教改革までのより長い物語のなかに位置づける。