01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Cooper, F. (2019). Africa since 1940: The Past of the Present (2nd ed.). Cambridge University Press.
章の要約
第2版は8つの番号付きの章と1つのインタールードからなり、本文は約300ページで、ケンブリッジ大学出版局の「アフリカ史の新しいアプローチ」叢書の一冊である。出版社によれば、改訂は既存の構成に組み込まれており、新しい出来事、新しい事例、アフリカ経済の浮き沈み、地域ごとの対照への関心が加わっている。書評者 Niamh Condon(Comillas Journal of International Relations、2020年)は、本書をインタールードでつながれた2つの部分、すなわち脱植民地化を扱う前半と、開発とゲートキーパー国家を扱う後半として読んでいる。
第1章:序論(Introduction)
約26ページのこの章が、本書の取り組み方を示す。Condon によれば、章は1994年の2つの出来事、南アフリカ初の民主的選挙とルワンダのジェノサイドを比較することから始まり、単一の出来事が明確な転換点になるわけではないことを示すために用いられる。クーパーはまた、本書が教科書というジャンルの中で、予備知識の少ない読者への入門として書かれたことを説明し、アフリカ史を植民地期とポストコロニアル期に分けるのではなく、1940年から叙述を始めている。
第2章:労働者、農民、そして植民地支配への挑戦(Workers, Peasants, and the Challenge to Colonial Rule)
章題は、労働と農村社会を植民地支配への圧力の源として挙げている(約24ページ)。出版社の紹介は、農民や労働者、宗教指導者や地域の指導者が、自分たちの暮らしと働き方をどう作り替えようとしたかを本書が追うと強調しており、この章はそうした集団を題に掲げている。
第3章:市民権、自治、開発:戦後という時機の可能性(Citizenship, Self-Government, and Development: The Possibilities of the Post-War Moment)
戦後という時機を扱う約36ページの章で、題にあるとおり、市民権、自治、開発のいずれもが可能性として現れた時期である。Condon は、クーパーが「開発主義(developmentalism)」を脱植民地化の叙述の中で、アフリカ側の独立要求に対する当初はヨーロッパ側の応答として導入していると指摘する。
第4章:帝国の終わりと未来の構想(Ending Empire and Imagining the Future)
植民地支配の終焉を扱う章(約29ページ)。Condon は、フランス植民地の独立運動や、フランスが開いた選択肢と閉ざした選択肢(汎アフリカ主義など)をめぐる議論を含む、さまざまな脱植民地化の過程の検討を、本書の詳細な事例の一例として挙げている。
インタールード:戦後世界の変化のリズム(Interlude: Rhythms of Change in the Post-War World)
本書の2つの部分のあいだにある約10ページの短い節。題は戦後世界の変化の長いリズムを指しており、脱植民地化の叙述と、続く経済開発の叙述のあいだに置かれている。
第5章:開発と失望:不平等な世界における経済・社会の変化、1945~2018年(Development and Disappointment: Economic and Social Change in an Unequal World, 1945–2018)
約70ページの最も長い章。1945年から2018年までの経済・社会の変化をたどる。Condon によれば、この章は成長と開発を区別し、その区別を使ってゲートキーパー国家を導入している。
第6章:白人支配、武装闘争、そしてその後(White Rule, Armed Struggle, and Beyond)
約38ページの章で、題は白人少数支配、武装闘争、そしてその後に起きたことを指している。
第7章:ゲートキーパー国家の繰り返される危機(The Recurrent Crises of the Gatekeeper State)
Condon の説明では、ゲートキーパー国家とは、支配者が国際市場へのアクセスを管理し、その利益をしばしば私的な利益のために分配する国家である。Condon によれば、この概念は経済開発の議論の中で先に導入され、その後により具体的に分析される。この章(約57ページ)は、その繰り返される危機を扱う。
第8章:21世紀のアフリカ(Twenty-First-Century Africa)
最終章は叙述を現在へ導く。Condon によれば、アフリカ人自身が歴史叙述や国際機関で果たす役割、脱植民地化とアフリカ文化をめぐる議論の手段としてのアフリカの芸術と文学、そして「Hopeless Africa」や「Africa Rising」といった大づかみな見出しに対する、大陸内の「収斂だけでなく相違」を取り上げている。
主要概念
- 過程としての脱植民地化:独立の時期を、単一の断絶ではなく、アフリカ人とヨーロッパ人の交渉と闘争の連続として扱い、植民地期とポストコロニアル期のきれいな区分をクーパーは退ける。
- 開発主義(developmentalism):植民地政府、そしてのちのアフリカ諸政府が、計画的な開発によって社会を変革できるとする考え方。当初は独立要求に対するヨーロッパ側の応答として現れる。
- 市民権と自治:第3章が扱う、第二次世界大戦後に開かれた可能性。
- 成長と開発の区別:経済が成長しながら広い社会的発展が伴わなかった理由を、本書が説明できるようにする区別。
- ゲートキーパー国家:支配者が国際市場へのアクセスを管理し、その利益を分配する国家。
- アフリカ人の主体性:アフリカ人が、自分たちが支配できない国際システムの中で行った選択への重視。
批判的分析
長所
- 明確な組織原理。 Condon は、脱植民地化、開発主義、ゲートキーパー国家という3つの結びついた要素を指摘する。これにより本書は、国ごとの目録ではなく、1940年から現在までの一貫した筋を持つ。
- 植民地期とポストコロニアル期の区分の拒否。 本書は1940年から始まり、この期間を連続した一つの過程として扱う。題名の The Past of the Present がそれを示している。
- 主体性と多様性への注意。 Condon は、クーパーがアフリカの行為者を中心に置きつつ国際システムの制約を認めていること、大陸を一様に扱わずさまざまな国から事例を引いていることを評価する。
- 入門として書かれている。 出版社は、本書が予備知識を前提とせず、政治学や「アフリカ入門」の授業に向くとしており、著者自身も教科書だと述べている。
- 第2版での更新。 2000年前後以降の時期を含み、新しい事例が加わり、経済の変動にいっそう注意が払われている。
短所
- 詳細な事例の密度。 Condon は、クーパーの詳細な事例が主論点から注意をそらすことがあり、初学者には読みにくいかもしれないと指摘する。また、大陸内の多様性の説明は最終章ではなく序論に置くほうがよかったと述べている。
- 地域別でなくテーマ別の構成。 章題は労働、市民権、開発、白人支配、国家といったテーマで組まれており、地域別ではない。国ごとの概説を求める読者には別の本が必要である。
- 1940年から始まる。 本書は意図的に1940年から始めるので、それ以前の植民地期は他で補うべき背景となる。
コースにおける位置づけ
クーパーは、この帝国・植民地史のリストにある二つの地域別の叙述の一つで(もう一つは Metcalf と Metcalf のインド史)、残りの本は比較史やグローバルな視野を持つ。Burbank と Cooper の Empires in World History は帝国の長期的な比較研究であり、同じ著者による二冊は、一方がグローバルな枠組み、他方がアフリカの事例として併せて読める。Howe の Empire: A Very Short Introduction は帝国とは何かの簡潔な概観であり、Darwin の The Empire Project は1830年から1970年のイギリス世界システムを論じる大規模な研究で、すでにこの分野を知っている読者に向く。
Jansen と Osterhammel の Decolonization: A Short History はアジア、アフリカ、カリブ海での帝国の終焉を比較の観点から扱い、クーパーの詳しいアフリカ論の前に読む最初の一冊として適している。Metcalf と Metcalf の A Concise History of Modern India は並行する地域の事例を示すので、クーパーと並べて読めば南アジアとアフリカの経路を比較できる。
本書の使い方
アフリカ史の予備知識は不要である。20世紀の世界史の一般的な知識があると、とくに第3章の枠組みとなる第二次世界大戦の理解に役立つ。アフリカ史、グローバル・ヒストリー、ポストコロニアル研究を学ぶ学部生に向く。
具体的な進め方は次のとおり。まず序論を読み、取り組み方と事例の扱い方を確認する。次に第2~4章を脱植民地化のまとまりとして読み、インタールードを転換点として読み、第5章と第7章は続けて読む。ゲートキーパー国家は第5章で導入され、第7章で展開されるからである。第6章は、白人少数支配と解放闘争を扱う授業なら単独で割り当てられる。第8章は結論であると同時に、アフリカがどう描かれるかについての考察になる。初めてこの分野に触れる読者は、詳細な事例ではゆっくり読み、読了後に序論へ戻るつもりでいるとよい。
