01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Metcalf, B. D., & Metcalf, T. R. (2012). A Concise History of Modern India (3rd ed.). Cambridge University Press.
章の要約
第3版は9つの章からなり、前に2つの序文、用語集、年表が、後ろに人物略伝、文献解題、索引が付く。本文は約294ページである。著者らは、本書が18世紀後半から1947年までの英領インドの歴史と、その後のインド共和国の歴史を扱い、パキスタンとバングラデシュの歴史はケンブリッジ・コンサイス・ヒストリーズ叢書の別の巻で扱われると述べている。以下の要約は、ケンブリッジ大学出版局が各章について公開している冒頭部分にもとづく。
第1章:スルタン、ムガル、そして植民地化以前のインド社会(Sultans, Mughals, and Pre-Colonial Indian Society)
章は、アウラングゼーブが死んだ1707年のムガル朝デリーにいる時間旅行者から始まる。旅行者は1世紀前のアクバルの帝国を振り返ることも、1世紀後の1803年を見ることもできる。その年には、ムガル皇帝はデリー周辺に閉じ込められた象徴的な宗主にすぎず、一つの貿易会社がベンガルの統治機関になっていた。植民地化以前の背景と、その変化がどうして起きたのかという問いが設定される。
第2章:ムガルの黄昏:地域国家の出現と東インド会社(Mughal Twilight: The Emergence of Regional States and the East India Company)
章は、ムガル帝国を、武力の独占を欠いた階層的な権限の分配によって動く体制として描き、18世紀前半にムガルの力が縮小する一方、かつて従属していた勢力が栄えたことをたどる。地域勢力の一つが、世紀末までにムガルの地位を引き継ぐ構えにあったイギリスの合資会社だった。ムガル支配の「断層線」の節は、回想録作者ビームセーンのアウラングゼーブ観に拠っている。
第3章:東インド会社のラージ、1772~1850年(The East India Company Raj, 1772–1850)
1772年のウォーレン・ヘースティングズの初代総督任命から始まり、章はヘースティングズとコーンウォリスがベンガルに築いた統治の構造を検討する。次に、19世紀の最初の20年間にイギリスがなぜ、どのようにして亜大陸全体を征服したのかを問い、最後に、会社とそのインド人臣民との関係を1850年まで評価する。
第4章:反乱、近代国家、植民地化された臣民、1848~1885年(Revolt, the Modern State, and Colonized Subjects, 1848–1885)
章は、通例では近代インドの始まりとされる1857~58年の反乱を、より長期の変容の一部として扱い、近代性がヨーロッパから単に移植されたのではない広い世界の中にインドを位置づける。運河、鉄道、電信、住民の測量と取り締まり、教育制度に触れ、近代的な慣行のいくつかがイングランドより先にインドに現れたことを指摘する。
第5章:市民社会、植民地の制約、1885~1919年(Civil Society, Colonial Constraints, 1885–1919)
イギリス帝国体制の頂点と、自発的結社、新聞、パンフレット、文学の急増を扱い、集会、行進、暴動、テロリズムを含む新しい水準の公的生活と、民衆語の形成を描く。ダファリンからミントーまでの総督と、カーゾンの政策が活気づけたインド国民会議をたどる。
第6章:植民地秩序の危機、1919~1939年(The Crisis of the Colonial Order, 1919–1939)
1919年を分水嶺として示し、章はモンタギュー=チェルムズフォード改革、ローラット法案とアムリットサル事件、そしてガンディーの下での「非暴力・非協力」という選択を軸に進む。「改革と弾圧」の節は、責任政府についての1917年のモンタギューの宣言から始まる。この章は、ケンブリッジ・コアが自由に読めるようにしている章である。
第7章:1940年代:勝利と悲劇(The 1940s: Triumph and Tragedy)
章は、1939年のインドの第二次世界大戦参戦、国民会議派内閣の辞職、1940年のムスリム連盟によるパキスタン決議から始まる。この10年を、戦争、会議派の最後の非協力運動、ムスリム・ナショナリズムの台頭、そして1947年の独立と亜大陸の分離として描く。
第8章:会議派ラージ:民主主義と開発、1950~1989年(Congress Raj: Democracy and Development, 1950–1989)
章は、1947~49年の制憲議会が作成した憲法を説明する。共和国、ウェストミンスター型の議会、小選挙区制を備え、1935年法の条項、連邦構造、非常大権、行政官僚制といった植民地期の要素が新体制のもとでも残ったことに注意を促している。
第9章:千年紀の転換期の民主インド:繁栄、貧困、権力(Democratic India at the Turn of the Millennium: Prosperity, Poverty, Power)
第3版のために書き直された章で、1990年から2010年までをより主題別の構成で扱う。序文によれば、2つの主な節は、ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭に特に注意を払った政治の性格の変化と、1991年以後の経済自由化の進展と帰結(経済的な二極化を含む)を評価する。章はインドと中国の競争で終わる。
主要概念
- ムガル後の地域勢力:ムガルの権威の縮小と、東インド会社を含む地域国家の台頭。
- 会社支配と征服:ヘースティングズとコーンウォリスの下での統治構造と、1850年までの亜大陸の征服。
- 1857~58年の反乱と近代植民地国家:鉄道、測量、取り締まりといった長期の変化の中の一つの出来事としての反乱。
- 市民社会と公的生活:1885~1919年の自発的結社、新聞、民衆語による出版。
- 非暴力・非協力:1919年の改革とアムリットサル事件のあと、ガンディーの下で採られた政治路線。
- 分離独立:戦争、ムスリム・ナショナリズム、亜大陸の分割の10年としての1940年代。
- ポスト植民地国家の連続性:1950年憲法が引き継いだ植民地期の制度。
- ヒンドゥー・ナショナリズムと経済自由化:改訂された第9章の二つの主題。
批判的分析
長所
- 簡潔でありながら連続している。 9つの章がムガル朝から2010年までを本文約294ページで扱うため、1学期の教材として使いやすい。
- インド側の主体性と社会への注意。 著者らは初版の序文で、歴史は今や女性、少数者、持てざる人々を含み、別の語りを取り入れた、より包括的な物語として書かれるのが最善だと述べ、植民地、民族主義、マルクス主義のいずれの歴史も、既知の近代性のモデルへの必然的な進歩という観念に形づくられていたと指摘している。
- 世界の枠の中の植民地インド。 第4章は、近代性がヨーロッパから移植されたものとは見ず、インドをより広い世界の中で起きている変化の中に明示的に位置づけている。
- 刷新された最終章。 第3版は第9章を書き直し、1990年から2010年を一つの主題的な叙述としている。それ以前の章は第2版で改訂されたままである。
- 研究者による評価。 ケンブリッジは、Durba Ghosh(コーネル大学)が美しく書かれた古典と評し、Rochona Majumdar(シカゴ大学)が不可欠な案内書と評したことを引用している。
短所
- 教科書として設計されていない。 著者らは第3版の序文で、本書は教科書として意図されたものではないが、授業で広く採用されてきたと述べている。物語的な叙述であり、目次に挙がる補助は主に年表と用語集である。
- 2010年で古くなる。 第3版は2010年ごろで終わるため、最近の政治・経済の展開は別の資料が必要になる。
- 範囲の限定。 本書はインドと、1947年以前は英領インドを扱い、パキスタンとバングラデシュの歴史は別の巻にある。
- 圧縮。 ムガル朝から2010年までを300ページ足らずで扱うため、植民地化以前の時期は1章に収まっている。
コースにおける位置づけ
Metcalf と Metcalf の本は、帝国・植民地史のコースにおける一地域の事例を担う。一つの社会を長期にわたって扱う本であり、Howe の Empire: A Very Short Introduction は概念的な概観、Burbank と Cooper の Empires in World History は長期の比較研究、Darwin の The Empire Project はイギリス世界システムの大規模な叙述である。Cooper の Africa since 1940 はアフリカの対応する本なので、二冊の地域史を並べて読むことができ、Jansen と Osterhammel の Decolonization: A Short History はアジアとアフリカでの帝国の終焉についての比較の枠組みを与える。
本書の使い方
南アジア史の予備知識は必要ない。近現代の世界史についての一般的な感覚があると役に立ち、初版の序文は、著者らがこの分野の最近の研究の興奮を伝えたいと述べている。学部生と一般の読者に向く。
進め方としては、第1~3章を植民地支配の背景として、第4~7章を植民地インド、ナショナリズム、独立についての中核として読む。第8章と第9章は共和国を扱い、現代インドの授業なら単独で読める。年表と用語集を併用し、各時期の発展的な読書は巻末の文献解題から選ぶ。パキスタンとバングラデシュの歴史を知りたい読者は、序文が言及する姉妹巻を加えるとよい。
