01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Anderson, R. S., & Anderson, S. P. (2010). Geomorphology: The Mechanics and Chemistry of Landscapes. Cambridge University Press.
章の要約
本書は18章と2つの付録からなり、参考文献と索引を含めて約640ページである。著者らによれば、構成は大きなスケールから小さなスケールへと進む。まず地球全体の形と地形をつくる地球物理、次に年代測定の手法と大気の役割、そして景観を削り取るプロセスへと続く。各章の末尾には、まとめ、演習問題、参考文献が置かれている。
第1–3章:地表プロセス研究への導入/地球全体の形態/大規模地形
第1章は、保存、輸送則、イベントの規模と頻度という指導原理と、地形プロセスを駆動するものを示す。第2章は、地球がなぜ扁平な回転楕円体なのかを問い、ハイプソメトリーを調べる。第3章は、海洋盆(熱伝導とアイソスタシー)、プレートテクトニクス、造山帯、マントルの応答時間、ダイナミックトポグラフィーを扱う。
第4–6章:テクトニック地形学/大気プロセスと地形学/年代測定法と景観における時間の確定
第4章は、断層のスケーリング、古地震学、海成段丘、河川縦断形、撓みを通じて断層と地形を結びつける。第5章は太陽、放射、大気循環、モンスーン、地形性の効果を概観する。第6章は相対年代と絶対年代の測定法を概観し、宇宙線生成核種と熱年代学を詳しく扱う。
第7–9章:風化/氷河と氷河地質/周氷河プロセスと地形
第7章は風化断面とクリティカルゾーン、岩石を破砕するプロセス、化学平衡と反応速度、基盤岩から移動性レゴリスへの転換を扱う。第8章は氷河学(質量収支、氷の変形、グレンの流動則、すべり)、氷河侵食とその地形を述べる。第9章は永久凍土、その熱構造、凍上、構造土、アイスウェッジ、サーモカルストに進む。
第10–12章:斜面/景観の中の水/河川
第10章は斜面の質量収支と拡散的プロセスを展開し、続いて地すべり、土石流、斜面モデルを扱う。第11章は流域、土壌水分、浸透、地下水、流出機構を通して水を追い、水系密度と流路の源頭部を論じる。第12章は開水路の乱流から出発し、水理幾何、洪水、網状流路と蛇行流路、縦断形へ進み、ナビエ–ストークス方程式に関する補遺を付す。
第13–15章:岩盤流路/堆積物輸送の力学/風成地形と堆積物
第13章は岩盤河川の侵食プロセス、河川縦断形、流路幅の問題を扱う。第14章は粒子の移動開始、輸送の様式、輸送則を検討する。第15章は砂丘、リップル、レス、風で運ばれる粒子による侵食、風雪を扱う。
第16–18章:海岸地形学/巨大洪水の地形学/景観全体
第16章は海水準変動、波、砂の移動、砂質・岩石・氷の海岸を扱う。第17章はボンネビル洪水やミズーラ洪水を含む超大規模洪水の証拠を集める。第18章は、段丘と岩盤隆起から海食崖の発達まで、サンタクルーズの景観に全道具立てを適用する。付録Aは物理(単位、熱輸送、レオロジー、無次元数)、付録Bは数学をまとめる。
主要概念
第1–6章:基礎
- 質量保存(連続の式):貯留量の変化率は流入から損失を引いたものに等しいという考え方で、著者らが章ごとに繰り返し適用する雛形である。
- アイソスタシー:地殻がマントルの上で浮力によって釣り合うこと。海洋盆の説明で導入される。
- 宇宙線生成核種:宇宙線によって地表の岩石中に生成される同位体で、露出年代の測定や侵食速度の推定に用いられる。
第7–12章:風化、氷、斜面、河川
- クリティカルゾーン:岩石、水、土壌、生命が相互作用する地表付近の層。
- グレンの流動則:応力の下で氷がどう変形するかを表す関係式。
- 拡散的な斜面輸送:凸型の尾根頂部を説明するモデル。
- 水理幾何:河道の幅、水深、流速、流量の間の系統的な関係。
第13–18章:流路、堆積物、海岸、景観
- ストリームパワー:岩盤河川による侵食をモデル化する際の基礎。
- 堆積物輸送則:流れの強さと粒子輸送量との関係。
- 古洪水解析:堆積物と地形から超大規模洪水を復元すること。
批判的分析
長所
- 一貫した定量的方法。 序文によれば、各問題をある量の保存の表明として立て、斜面、氷河、河川、年代測定に繰り返し適用しており、本書に珍しいほどの統一感を与えている。
- 数学への配慮。 著者らは、導出の途中の段階を示し、代数から微分方程式、確率密度関数までを復習できる数学付録を設けたと述べている。
- 現代的な話題。 宇宙線生成核種による年代測定、熱年代学、クリティカルゾーンは独立して扱われ、序文は、地球全体の形、巨大洪水、事例研究の章を意図的な新機軸として挙げている。
- 読みやすい設計。 出版社は、囲み記事の例題、実世界の応用、会話調の文体、各章末の演習問題を紹介している。カバーに引用された評者(Paola、Furbish、Wilcock、Hovius)は、明快さと幅広さを評価している。
短所
- 数学的に要求が高い。 序文は、学生が数学的な扱いに慣れているか、少なくとも挑戦を受け入れる覚悟が必要だと述べている。
- 地形の目録ではなくプロセス中心。 著者らは、地形の分類よりプロセスに重点を置くと明言しており、記述的な概説を求める読者には別の本が必要である。
- 型破りな順序。 著者らは、氷河・周氷河の章を斜面や河川より前に置いており、それが自分たちの関心を反映したものだと認めている。また、なじみ深い河川の内容より前に地球物理を置くため、授業では章の順序を組み替える必要があるかもしれない。
コースにおける位置づけ
『Fundamentals of Geomorphology』と『Key Concepts in Geomorphology』は幅広い入門教科書であり、『Landscapes and Geomorphology: A Very Short Introduction』は簡潔な概説である。これらのどれもが、より取り組みやすい最初の一冊になる。本書は、3~4年次や大学院初年次向けの、定量的でプロセスに基づく選択肢である。『Introduction to Physical Hydrology』と『Physical Hydrology』は、第11章より深く水の側面を扱い、自然な併読書となる。
本書の使い方
想定される読者は、導出に取り組む準備のある、地理学・地質学・地球科学の上級学部生および大学院初年次の学生である。微積分と基礎物理の知識が役立ち、それ以外は付録Bで復習できる。
授業で使う場合、第1章は必須であり、著者らの保存の枠組みを最初に身につけるべきである。第7、10、11、12、14章は斜面と河川を扱う中核であり、第2–6章はテクトニクスや年代測定への関心に応じて選べる。第8–9章(寒冷環境)、第15–17章は取捨選択に適している。第18章は総合として最後に読むのがよい。章末の問題に取り組み、囲み記事の例題も飛ばさずに読むこと。
