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Geographic Information Analysis(地理情報分析) cover

地理学

地理学

Geographic Information Analysis(地理情報分析)

David O'Sullivan; David J. Unwin

英語原題: Geographic Information Analysis

GISの背後にある統計的・分析的手法を扱う教科書で、特定のソフトウェアの操作法ではなく空間データについての推論の仕方を説明する。オサリバンとアンウィンは点、線、面、連続場を順に取り上げ、空間データを通常のデータと異なるものにしている前提や落とし穴を強調する。

前提知識: GISの入門科目と、確率と仮説検定を含む統計学の入門科目を修了していること。

難易度レベル
上級
学術レベル
上級
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

O'Sullivan, D., & Unwin, D. J. (2010). Geographic Information Analysis (2nd ed.). Wiley.

章の要約

本書は12章と行列に関する付録からなり、全体で約430ページである。各章は学習目標で始まり、出版社の説明によれば、章ごとの要約、「思考演習」、解説図、章末の文献一覧も備えている。第2版では、地図作成とジオビジュアリゼーション、およびローカル統計の章が加わった。

第1章:地理情報分析と空間データ

冒頭の章では、「空間分析」と呼ばれがちな4つのものを区別する。GIS内でのデータ操作、記述的・探索的な分析、空間統計分析、そして空間モデリングである。続いて、空間データを点・線・面・場として捉え、属性を名義・順序・間隔・比率の尺度で扱うという本書の見方を示し、スケール依存性、時間、不確かな境界、フラクタルな対象といった複雑な点を挙げる。最後に、GISの基本的なデータ操作と、表現間の変換を扱う。

第2章:空間データの落とし穴と可能性

二面からなる章である。「悪い知らせ」の節は、空間データを通常のデータと異なるものにしている問題、たとえば生態学的誤謬や端の効果を扱う。「良い知らせ」の節は、位置が可能にすることに目を向け、隣接や距離を使って観測値どうしの関係を記述する方法を述べる。

第3–4章:基礎:地図で描き出す;基礎:プロセスの結果としての地図

第3章は地図を分析の道具として扱う。地図作成の伝統、ジオビジュアリゼーション、ベルタンのグラフィック変数、点・面・場の地図化と探索を取り上げ、非空間データの「空間化」で終わる。第4章は視点を変え、パターンをプロセスの結果として捉える。確率過程、あるプロセスが生むパターンの予測、線・面・場における確率過程を扱う。

第5–6章:点パターン分析;実践的な点パターン分析

第5章は点パターンの記述と統計的評価を扱い、モンテカルロ検定を含む。第6章は実際上の困難を扱う。古典的推測や独立ランダム過程に代わる方法、不均質性、焦点を絞った手法、スキャン統計によるクラスター検出、近接ポリゴンである。

第7–8章:面オブジェクトと空間的自己相関;ローカル統計

第7章は面オブジェクトの種類と幾何学的性質を述べたうえで空間的自己相関の測定を扱い、2001~2006年のオークランドにおける結核を例にする。第8章は「局所的に測る」ことを主張し、Getis-Ord統計量、ローカル統計量による推測、その他の局所的指標を順に検討する。

第9–10章:場の記述と分析;知りえぬものを知る:場の統計学

第9章は場データのモデル化と格納、空間補間、曲面からの派生指標、マップ代数を扱う。第10章は場の統計に進み、トレンドサーフェス分析、バリオグラム、クリギングを取り上げる。

第11章:地図を重ね合わせる:マップオーバーレイ

ブール型オーバーレイとシーブ・マッピングに続いて、その代替として、指標型オーバーレイと加重線形結合、証拠の重み、回帰に基づくモデル駆動型オーバーレイを扱う。

第12章:空間分析の新しいアプローチ

最終章は、変化する技術的・科学的環境、ジオコンピュテーション、空間モデル、グリッドとクラウドコンピューティングを論じ、「ネオジオグラフィック」な情報分析とはどのようなものかを問うて終わる。

付録A:記法、行列、行列の数学

記法、行列の基本と演算、連立方程式、行列とベクトルと幾何、固有ベクトルと固有値を、自己完結的に復習できる付録である。

主要概念

第1–2章:空間データ

  • 点・線・面・場:本書全体を貫く、空間オブジェクトの4つの基本型。
  • 生態学的誤謬:集計された面データから個体について結論を導いてしまう誤り。
  • 端の効果:調査領域の境界付近の観測値は近傍が不完全なために生じる歪み。

第3–6章:地図、プロセス、点

  • グラフィック変数:地図上でデータを符号化するためのベルタンの視覚的次元。
  • 空間プロセスとパターン:地図を背後にあるプロセスの1つの実現とみなす考え方。
  • 完全空間ランダム性(IRP/CSR):点パターンを検定する際の基準となる過程。
  • モンテカルロ検定:シミュレーションで生成したランダムなパターンとの比較によりパターンを評価する方法。

第7–8章:面と局所分析

  • 空間的自己相関:近くにある値が似る傾向。
  • ローカル統計量:Getis-Ord統計量を含む、地点ごとに計算される指標。

第9–11章:場とオーバーレイ

  • 補間とクリギング:標本点から曲面を推定する方法。後者は空間的依存性の統計モデルを用いる。
  • バリオグラム:距離に応じて値の差がどう大きくなるかを表すもの。
  • 加重線形結合と証拠の重み:ブール型オーバーレイを超えて地図レイヤーを組み合わせる方法。

批判的分析

長所

  • ソフトウェアよりも方法。 本書はGISの操作ではなく地理情報の分析を目的とすると述べており、冒頭の章で分析とデータ操作を明確に区別している。
  • 落とし穴を先に扱う。 空間データ特有の問題に早い段階で1章を充てているため、後の手法は前提が見える形で示される。
  • データ型ごとの一貫した構成。 点、面、場、オーバーレイがそれぞれ独立した章を持ち、どの道具がどの種類のデータに属するかが分かる。
  • 学習の補助。 出版社の説明と見本章によれば、各章に学習目標、章末のまとめ、参考文献があり、本文中には思考演習が置かれている。
  • 数学面の支え。 行列の付録があるため、代数に自信のない読者も後半の章を追いやすい。

短所

  • 統計と数学の素養が求められる。 後半の章(バリオグラム、クリギング、回帰に基づくオーバーレイ)は統計モデルに依拠し、行列の付録も付いている。両方に不慣れな読者にとっては、一般的なGIS教科書より一段難しい。
  • 刊行時期。 2010年刊のため、その後の展開は範囲外である。最終章自体が、グリッドやクラウドコンピューティング、ネオジオグラフィを新しい動きとして扱っている。
  • ソフトウェアの操作書ではない。 操作手順を一つずつ示すチュートリアルが必要な読者は、別の資料が必要になる。

コースにおける位置づけ

本書は、このコースで空間分析そのものを扱う一冊である。『Geographic Information Science and Systems』はデータ表現からソフトウェア、データベース、分析へと進む、原理と実践を併せた幅広い教科書であり、『Geographic Information Systems Fundamentals』はGISの理論と実践の一般的な入門書である。どちらも本書の前に読む入門として適している。『Making Maps』『How to Lie with Maps』『The New Nature of Maps』は、地図のデザイン、歪み、文化的意味を扱い、地図化とジオビジュアリゼーションを論じる第3章を補う。

本書の使い方

GISが何をするものかをすでに知っていて、これから空間データについて筋道立てて考える方法を学びたい人、つまり上級の学部生、修士課程の学生、多少の統計の知識をもつ実務者に向いている。

実際には、まず第1–2章で用語と落とし穴を押さえ、第3–4章を以降すべての背景として読む。そのあとデータ型に応じて選ぶ。点データなら第5–6章、面データなら第7–8章、連続的な曲面なら第9–10章であり、レイヤーを組み合わせる必要が出たら第11章に進む。第12章は分野の方向性を知るための任意の読み物である。思考演習と章末のまとめに取り組み、使っているソフトウェアで自分のデータに手法を試すとよい。行列の記法に不慣れなら、第8章の前に付録Aを読む。