01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Preston, S. H., Heuveline, P., & Guillot, M. (2000). Demography: Measuring and Modeling Population Processes. Wiley-Blackwell.
章の要約
本書は約320ページ・全12章である。Wileyは、人口学者が人間集団の行動を研究するために用いる基本的な方法とモデルを提示し展開するものであり、手続きは第一原理から組み立てられ、豊富な応用が示されていると説明している。第12章は、ウィスコンシン大学のAlberto Palloniが寄稿している。順序は、基本的な測度(第1〜2章)から、生命表と出生力の測定(第3〜5章)、人口推計とモデル(第6〜9章)へと進み、データの評価と、データが乏しい場合の推定(第10〜12章)で終わる。
第1章:Basic Concepts and Measures(基本概念と測度)
冒頭の章は、人口学者にとっての「人口」を定義する。ある時点で生存している人々、または構成員が入れ替わり続ける持続的な集合体のいずれかである。続いて、人口が出生、死亡、流入、流出によってのみ変化するという人口変動の均衡方程式を導入し、人口学的な率の構造を組み立てる。節は、期間率と人年、主要な期間率、増加率、期間人年の推定、コーホートの概念、事象の生起確率を扱う。この章は代数と微積分を交互に用い、粗率をスウェーデンのデータで例示する。
第2〜4章:Age-specific Rates and Probabilities(年齢別率と確率);The Life Table and Single Decrement Processes(生命表と単一減少過程);Multiple Decrement Processes(複数減少過程)
第2章は粗率から年齢別率へ進み、年齢標準化、率の差の分解、レクシス図、年齢別確率を扱う。第3章は、きわめて低い年齢や開放年齢区間の扱いを含めて期間生命表を構成し、表を定常人口として解釈し、死亡を連続的な過程として扱い、この方法を他の単一減少過程に適用する。第4章はこれを複数減少へ拡張し、平均余命の差の死因別分解を行う。
第5章:Fertility and Reproduction(出生力と再生産)
この章は、期間出生率とその分解、コーホート出生力、出生間隔分析、再生産の測度を扱う。
第6章:Population Projection(人口推計)
推計(projection)と予測(forecast)の違いから出発し、コーホート要因法、その行列表示、米国国勢調査局による米国人口の推計、代替的な予測方法、そして推計の精度と不確実性を展開する。
第7〜8章:The Stable Population Model(安定人口モデル);Demographic Relations in Nonstable Populations(非安定人口における人口学的関係)
第7章は安定人口の単純化した例から始め、Lotkaの条件と安定人口を特徴づける方程式を示し、内的増加率と純再生産率を関係づけ、出生力と死亡の変化の影響、および人口増加の慣性(モメンタム)を扱う。第8章は、安定でない人口へと一般化し、連続的な年齢と時間における関係、年齢構造の動態、変動するr(増加率)を用いた推定法を扱う。
第9章:Modeling Age Patterns of Vital Events(人口動態事象の年齢パターンのモデル化)
この章は、死亡、初婚、出生力、移動の標準的な年齢パターンを示す。
第10〜11章:Methods for Evaluating Data Quality(データの質を評価する方法);Indirect Estimation Methods(間接推定法)
第10章は、カバレッジ誤差と内容誤差を見つける統計的・人口学的方法を扱う。第11章は間接推定を示す。子どもの生存状況から児童死亡を推定するBrass法、孤児の状況から成人死亡を推定する方法、母性死亡のためのシスターフッド法、出産歴、2回の国勢調査の年齢分布を用いる方法である。
第12章:Increment–Decrement Life Tables(増減生命表)
Alberto Palloniによるこの章は、人々がある状態に入ることも出ることもできる人口へと生命表を一般化する。2状態の系から始め、そのような表を計算するプログラムで終わる。
主要概念
第1〜5章:測定
- 均衡方程式:人口の大きさが、出生、死亡、流入、流出によってのみ変化するという恒等式。
- 人年と生起・曝露率:人口学的な率を比較可能にする分母。
- コーホートと期間の視点:実際の集団を時間を追って追跡することと、ある暦年の期間を要約することの対比。
- 年齢標準化と分解:年齢構造による率の差を取り除く、またはそれに帰属させること。
- 生命表と複数減少表:死亡およびその他の人口からの退出を扱う道具。
- 再生産の測度:出生力と世代の置き換えの要約。
第6〜9章:モデル
- コーホート要因法による推計:仮定した出生力、死亡、移動のもとで、人口を年齢コーホートごとに進めること。
- 安定人口とモメンタム:一定の率が生み出す年齢構造と、出生力が低下したあとも増加が続く理由。
- 変動rの方法:増加が一定でないときに成り立つ関係。
- モデル年齢パターン:死亡、初婚、出生力、移動の標準的な形。
第10〜12章:データと推定
- カバレッジ誤差と内容誤差:人口学的データにおける過少把握と誤報告。
- 間接推定:Brass法やシスターフッド法などの方法。
- 増減生命表:状態間を両方向に移動する生命表。
批判的分析
長所
- 第一原理からの展開。 Wileyは、手続きが第一原理から明快かつ簡潔に展開されていると述べている。第1章はその方法を示す。均衡方程式、人年のライフライン表現、後続の関数が導かれる単一の率の枠組みである。著者らは、人年をすべての分母に用いることで、多くの式を統合する確かな基礎が得られると述べている。
- 代数と微積分を併用。 著者らは両者を交互に用いると明言しており、離散的な表と連続的なモデルを行き来する準備を読者に与える。
- データが乏しい場合にも使える方法。 第10〜11章はBrass法、孤児法、シスターフッド法を含み、不完全で信頼できないデータを扱う。登録制度が乏しい地域では、そのような状況がよくある。
- コンパクトな範囲。 12章・約320ページで、まとまった道具立てを小さな本にまとめている。
短所
- 原因ではなく方法。 各章は測定とモデルに集中している。出生力、死亡、移動の社会的・経済的・政治的な決定要因に関する章はなく、実質的な人口学の教科書を置き換えるのではなく補う。
- 移動は構成要素の1つとしてのみ現れる。 移動は、均衡方程式、モデル年齢パターン(9.4節)、増減生命表を通じて登場し、独立した章はない。
- 古くなった例。 本書は2000年に刊行されており、6.6節の米国人口の推計など、当時のデータと推計の例を用いている。
- 数学的な要求。 導出は微積分と行列表記に依拠している。ソフトウェアへの言及は増減生命表(12.7節)に限られ、計算は読者に任されている。
コースにおける位置づけ
人口・移動の一覧の中で、本書は形式的な方法を扱う教科書である。WeeksとLópez-CarrのPopulation: An Introduction to Concepts and IssuesとNewboldのPopulation Geography: Tools and Issuesは、出生力、死亡、移動が人口をどう形づくるかを説明し、Newboldは測定の基本的な道具も紹介する。どちらも、ここでの導出に進む前に実質的な全体像を築くための本である。KoserのInternational Migration: A Very Short Introduction、de Haas、Castles、MillerのThe Age of Migration、MasseyらのWorlds in Motionは移動を扱うが、Preston、Heuveline、Guillotが移動に与えているのは会計的な枠組みの中の位置にほぼ限られる。
人口統計を読む段階から計算する段階へ進みたい学生は、まずNewboldかWeeksを読み、次の段階としてPreston、Heuveline、Guillotを使い、本書の方法を自分のデータに適用するとよい。
本書の使い方
本書は、人口学、人口地理学、社会学、公衆衛生の大学院生や上級の学部生で、人口についての科目を履修し、代数、対数、基本的な微積分に慣れている人に向いている。
実践的な進め方は次のとおり。
- 中核: 第1〜3章、続いて第5章と第6章。率、生命表、出生力の測度、推計の語彙を与える。
- 第二の層: 複数減少と安定人口理論のための第4、7、8章。モデル年齢パターンのための第9章。
- データが乏しい場合の作業: 登録が不完全な場合に用いる第10、11章。婚姻状態や労働力状態のような複数状態の過程には第12章。
- 演習: 例題を表計算ソフトや統計ソフトで再計算して追い、各方法を自分で選んだ人口に適用する。
