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Cultural Geography: A Critical Introduction(文化地理学:批判的入門) cover

地理学

地理学

Cultural Geography: A Critical Introduction(文化地理学:批判的入門)

Don Mitchell

英語原題: Cultural Geography: A Critical Introduction

文化を中立的な特性の集合ではなく闘争の場として捉える、文化地理学の批判的概説です。景観研究から文化論的転回に至る下位分野の展開を辿り、地理学者が文化、景観、アイデンティティを研究する際には権力、経済、政治の問いを中心に据え続けなければならないと論じます。

前提知識: 人文地理学の入門科目か、社会理論への多少の親しみがあると役立ちます。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Mitchell, D. (2000). Cultural Geography: A Critical Introduction. Blackwell.

章の要約

本書は「地理学への批判的入門」シリーズの1冊で、約350ページである。目次には、序論(「批判的入門」)、3つの部、結論、参考文献、索引が並ぶ。出版社は、本書を過去20年間に文化地理学で起きた変容の批判的評価と説明し、日常生活の政治から、景観の生産と消費、さらにセクシュアリティ、ジェンダー、人種、国民の政治に至るまで、さまざまな地理的状況での文化の変化を説明するものだとしている。

批判的入門

冒頭部分は本書の立場を示す。出版社によれば、文化地理学理論の最近の変化を分析しつつ、古い伝統の最も価値ある部分を救い出している。

第I部:文化の政治

題名が文化を政治的な事柄にしている。出版社は、文化のイデオロギー、価値の生産、社会生活の再生産における文化闘争の役割をめぐる議論を促す本だと述べており、ここで問われる種類の問いがうかがえる。ただし、どの部が何を扱うかはこのページには示されていない。

第II部:政治的な景観

題名が景観を政治的なものにしている。出版社は、景観の生産と消費を、本書が文化の変化を説明するための題材の一つに挙げているが、題材を各部に割り振ってはいない。

第III部:文化の政治

第3部は文化政治を題としている。出版社は、本書が文化地理学理論を現代の「文化戦争」で例示し、セクシュアリティ、ジェンダー、人種、国民の政治に及ぶと述べている。

結論:文化的権利、文化的正義、文化地理学

題名は、文化的権利と文化的正義を、文化地理学そのものとともに、本書が最後に取り上げる関心事として挙げている。

主要概念

序論と第I部

  • イデオロギーとしての文化:出版社は、本書が文化のイデオロギーをめぐる議論を促すと述べている。
  • 文化闘争:文化的な対立が社会生活の再生産の一部をなすという考え方。
  • 価値の生産:本書が文化と政治に結びつけている問題。

第II部・第III部と結論

  • 景観:その生産と消費を、文化の変化の一部として扱う。
  • 文化戦争:本書が理論を例示するために用いる現代の争い。
  • 文化的権利と文化的正義:結論で挙げられている関心事。

批判的分析

長所

  • 明確な論旨。 本書は中立的な概観ではなく、批判的で論証的な叙述である。出版社が引用する『アメリカ地理学者協会紀要』(Annals of the Association of American Geographers)の書評は、本書を重要で挑発的な本であり、真剣に吟味するに値すると評している。
  • 読みやすく図版が豊富。 出版社のページで引用されている別の書評は、本書を、学部生向けの社会・文化地理学への読みやすい入門書で、事例資料が豊富な図版とともに示されており、挑発的な文体が学生に議論との格闘を迫ると述べている。
  • 新旧の研究をつなぐ。 出版社は、本書が古い文化地理学の最も価値ある部分を残しながら最近の理論的な変化を分析していること、そして難しい概念を現代の問題に結びつけていることを強調している。
  • 単純な枠組み。 目次は序論、3つの部、結論を示しており、本書の進み方が見てとれる。

短所

  • 概観ではなく論証である。 本書は批判的な立場をとるので、この分野の中立的な概観を求める読者には、一般的な教科書より公平さに欠けると映るだろう。
  • 2000年で止まっている。 最近の変容についての叙述は、それ以前の約20年間を対象としており、その後の分野の展開は範囲外である。
  • 上級の学生を想定している。 出版社は、難しい概念を現代の問題に結びつける、上級の学生にとって意味のある方法だと述べているので、入門的な教科書を併用しないと、低学年の読者には難しいかもしれない。

コースにおける位置づけ

Mitchell の本は、このコースの文化と場所の入門書のなかで、批判理論の位置を占める。Norton と Walton-Roberts の Cultural Geography は、学問の伝統、景観、アイデンティティ、権力、場所を見渡す一般的な教科書であり、広い概観を得るにはこちらを先に読むほうがよい。Mitchell の本は、文化と政治についての特定の見方を論じるので、2冊目として適している。

Mitchell の本は「地理学への批判的入門」シリーズに属し、Cresswell の Geographic Thought も同じシリーズに入っているため、2冊は批判的で論証を軸にした形式を共有している。Massey の For Space と Lefebvre の The Production of Space は、空間を社会的関係の産物とみなす理論書で、より多くの理論を求める読者にとって、Mitchell の権力の強調と組み合わせるのによい。Cresswell の Place: An Introduction と Tuan の Space and Place は、より短く、場所がどう経験され意味づけられるかに重きを置いており、Mitchell の政治的な重点とのバランスをとる助けになる。

本書の使い方

出版社は、本書のアプローチを、難しい概念を現代の問題に結びつける、上級の学生にとってわかりやすく意味のあるものと述べており、引用された書評は学部生にすすめている。人文地理学の入門科目を履修しているか、社会理論に多少なじみがあると役に立つ。

出版社の掲載する著者紹介には、移民労働者とカリフォルニアの景観についての以前の研究が挙げられており、これは本書の政治経済的な力点と合っている。まず序論と第I部を読む。残りの部分が展開する立場がここに示されているからである。そのあとは関心に応じて、第II部と第III部、つまり景観か文化政治かを読めばよい。結論は、議論が成り立つかを確かめる場である。

本書は、応答すべき論証として扱うとよい。各部を読むたびに主張を書き留め、Norton と Walton-Roberts のような一般的な教科書で反例や別の見方を見つけて、議論する。より純粋に理論的な著作の前に読むと、それらの位置づけがつかみやすくなる。