01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Massey, D. (2005). For Space. SAGE Publications.
章の要約
本書は、5部15章、約230ページからなる一貫した議論である。出版社は、空間についての想像力を活性化させるための熱のこもった主張だと説明する。哲学に由来する既存の前提や、21世紀の世界を特徴づける見慣れた語り方を取り上げ、それらが空間の挑戦と可能性の両方についての理解をいかに制約しているかを示す。議論は哲学的・理論的な検討と、個人的・政治的な省察の両方を通じて進められる。出版社の説明の導きの糸は、時間が変化の次元であるなら、空間は社会の次元、すなわち他者たちの同時的な共存の次元だという点にある。
第1部:場面設定(開かれた命題)
冒頭の1章が、残りの部分が拠って立つ命題を示す。空間をどう考えるかが、世界や他者や政治についての私たちの理解を形づくる、という主張である。
第2部:見込みのない結びつき(空間/表象;同時性の牢獄;脱構築の水平性;空間における生)
空間と表象、同時性、脱構築、生きられた空間を扱う4つの章は、哲学に由来する確立した前提との対決を担う。出版社の説明によれば、ここで議論は空間を固定的・中立的な概念と対置し、本書の残りで使われる別の概念を準備する。
第3部:空間的な時代に生きる?(近代の歴史を空間化する;瞬間性/奥行きのなさ;空間不在のグローバル化;(通説に反して)空間は時間によって消滅させられえない;代替案のための要素)
5つの章は、現代世界の見慣れた特徴づけを取り上げる。出版社によれば、本書は、いわゆる「空間的な時代」をどう特徴づけるのが最もよいかを問う。章では、近代の歴史、瞬間性、空間を欠いたものとして提示されるグローバル化、そして時間によって空間が消滅するという主張(本書はこれに異議を唱える)が取り上げられる。この部の最終章は、代替案のための要素を提案する。
第4部:方向の再設定(空間を貫く断面;場所のとらえがたさ)
2つの章が議論の方向を再設定し、「空間を貫く断面」と「場所のとらえがたさ」で場所に目を向ける。出版社の説明は、場所の感覚や、場所を超えた場所への責任をどのように育てうるかを本書が問うとしている。
第5部:空間の関係論的な政治(寄せ集められてあること:場所という出来事の政治;空間と場所に規則はない;時間-空間の形成と争い)
最後の3つの章は政治的な帰結を引き出す。場所を寄せ集められるという出来事として捉え、空間と場所には固定された規則を前提にできないと論じ、時間-空間がつくられ争われる過程を考察する。
主要概念
第1–2部:空間を考え直す
- 社会的なものとしての空間:空虚な容器ではなく、共存する他者たちの次元として理解される空間。
- 同時性(シンクロニー):章題「同時性の牢獄」に現れる語で、時間を欠いた同時的な配置として扱われる空間を指す。
- 生きられた空間:日常生活や諸関係を通じてつくられる空間。
第3–5部:グローバル化、場所、政治
- 空間的な時代:現代世界は空間的に組織されているという考えと、それに対する本書の問い直し。
- 空間不在のグローバル化:その地理を無視するグローバル化の説明。
- 寄せ集められてあること(スロウントゲザーネス):場所を、複数の軌跡が絶えず出会い続けることとして捉える見方。
- 関係論的政治:場所と人びとの相互連関に基づく政治。
批判的分析
長所
- 主張をもった議論。 本書は、空間を開かれた、関係的な、つねに構築途上のものとして想像すべきであり、それがグローバル化、都市、場所の理解を変える、という明確な立場を論じる。
- 分野を越えた届き方。 出版社は、空間を時間と絡み合ってつねに変化するものとして扱う芸術家オラファー・エリアソンを、熱心な読者として引用している。
- 複数の語り口の混合。 出版社は、哲学的・理論的な検討と個人的・政治的な省察を組み合わせ、「真剣で、ときに不遜」だと強調している。
- コンパクト。 約230ページで、1つの一貫した議論が5部にわたって展開される。
短所
- 理論的に難しい。 出版社は、議論が哲学的・理論的な検討を通じて進むと説明しており、「脱構築の水平性」のような章題も同じ方向を示している。社会理論に不慣れな読者には補助が必要である。
- 入門的というより主張的。 本書は空間へのアプローチの概観ではなくマニフェストであり、読者のために代替案を整理してはくれない。
- 方法論の本ではない。 本書が示すのは空間についての考え方であり、空間を研究するための技法ではない。
コースにおける位置づけ
『For Space』は空間と場所についての理論的な議論である。トゥアンの『Space and Place』とクレスウェルの『Place: An Introduction』は、マッシーが土台にし、また批判する、人間主義的・概念的な空間と場所の扱いへの、学生向けの短い入門書である。ルフェーヴルの『The Production of Space』は、社会的空間は生産されると論じた先行する理論的著作であり、この考えの系譜を知りたい読者の自然な併読書となる。『Cultural Geography: A Critical Introduction』と『Cultural Geography』は、こうした議論をより広い下位分野の中に位置づける概説的な教科書である。
本書の使い方
人文地理学、社会理論、都市研究などの大学院生や上級の学部生、そして社会科学・人文学における空間論的転回に関心のある人に向く。
よい進め方は、第1部をゆっくり読むことである。本書がその後で展開する命題がここで述べられるからだ。第2部と第3部は、受け継がれた空間観に対する主要な議論をなし、第4部と第5部は場所と政治についての積極的な立場を展開する。時間の限られた読者は、第1部、次に「空間を貫く断面」と「場所のとらえがたさ」、そして最後の章を読むとよい。場所の概念が初めてなら、トゥアンまたはクレスウェルと、空間の生産についての先行する議論を知りたければルフェーヴルと組み合わせて読むこと。
