01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Pahl, G., Beitz, W., Feldhusen, J., & Grote, K.-H. (2007). Engineering Design: A Systematic Approach (3rd ed.). Springer.
章の要約
本書は約617ページ、全12章からなる。ケン・ウォレス(Ken Wallace)とリュシエンヌ・ブレッシング(Luciënne Blessing)がドイツ語第6版を英訳・編集したものである。出版社の説明によれば、方法の骨子は、設計過程をまず段階に分け、さらに各段階を個別の手順に分け、それぞれに固有の作業方法を与えるというもので、柔軟に、また課題に合わせて適用することが想定されている。以下のページ数は本書の重心を示している。「エンボディメント設計」の1章だけで約210ページ、全体の3分の1を超える。
第1–2章:序論;基礎
約25ページの冒頭章に続いて、「基礎」と題する約35ページの章が置かれている。出版社の主題一覧では基礎が筆頭に挙げられており、2007年版は短期的な流行を避けて基本を一貫して重視していると説明されている。
第3–4章:製品計画、解の探索と評価;製品開発プロセス
第3章(約60ページ)は、製品計画を解の探索とその評価に結びつける。第4章は製品開発プロセスを扱う短い章である。出版社は、この版の変更点として、製品計画の扱いの拡充と、組織構造、コンカレント・エンジニアリング、リーダーシップとチーム行動に関する節の新設を挙げている。
第5–6章:課題の明確化;概念設計
課題の明確化(約15ページ)が概念設計(約65ページ)に先行する。出版社はこの二つを一つの主題としてまとめており、まず課題を明らかにし、次に概念を生み出すという流れである。出版社が引用するMITの評者は、機能の観点からの設計の扱いを本書の強みとして特に挙げている。
第7章:エンボディメント設計
群を抜いて長い章で、エンボディメント設計の規則、原則、指針を扱う。同じ評者は、概念設計と詳細設計のあいだの段階を、重要な設計判断の大半が下される局面であり、本書でとくに優れた部分だと指摘している。出版社は、この版で新しい例が加わり、摩耗を抑える設計とリサイクルのための設計が補われたとも述べている。
第8–9章:機械的結合、メカトロニクスとアダプトロニクス;サイズレンジとモジュラー製品
専門的な2章が続く。第8章は機械的結合を、メカトロニクスおよびアダプトロニクスとあわせて扱う。後二者はこの版で強調されている追加事項である。第9章はサイズレンジとモジュラー製品を扱う。
第10–12章:品質のための設計;最小コストのための設計;まとめ
品質手法とコスト見積もり手法にそれぞれ1章が充てられており、出版社によればどちらもこの版で更新された。本文は7ページの「まとめ」で閉じられる。
主要概念
第1–6章:プロセスと初期段階
- 段階と手順:設計過程は複数の段階に分けられ、各段階はそれぞれ固有の作業方法をもつ手順に分解される。
- 製品計画:何を開発するかを決める初期の活動で、この版で扱いが拡充された。
- 課題の明確化:解を探す前に、設計課題が何を求めているかを確定すること。
- 概念設計:解の概念を生成し評価する段階で、機能の観点から進められる。
第7–12章:エンボディメント設計と支援手法
- エンボディメント設計:規則、原則、指針に従って、概念に物理的な形を与えること。
- 機械的結合、メカトロニクス、アダプトロニクス:この版で追加または拡充された具体的な設計主題。
- サイズレンジとモジュラー製品:第9章の主題。
- 品質手法とコスト見積もり:本文の最後に置かれた二つの手法の章。
批判的分析
長所
- プロセス全体を通す完結した道筋。 章の順序は、製品計画と課題の明確化から、概念設計、エンボディメント設計を経て、品質とコストへと進み、各段階が次の段階にどうつながるかが見える。出版社が引用するMITのウォーレン・シーリング(Warren Seering)は、本書を体系的設計法に関する現存する最も完備した論考と呼び、設計過程の各段階と関連する実践が記録されていると述べている。
- 判断が下される箇所に厚みがある。 エンボディメント設計が本書の約3分の1を占める。シーリングは、概念設計と詳細設計のあいだが重要な設計判断の大半が下される段階であり、本書でとくに強い部分だと指摘している。
- 第3版での更新。 出版社は、製品計画の拡充、組織、コンカレント・エンジニアリング、チーム行動の追加、品質とコストの章の更新、摩耗、リサイクル、機械的結合、メカトロニクス、アダプトロニクスに関する補足を挙げている。
短所
- 分量と密度。 617ページのうち第3〜7章が半分以上を占め、短い入門書というより、段階ごとに参照する参考書である。
- ドイツ語の文献。 各章のページに示された参考文献は、VDI指針、DIN規格、ドイツ語の雑誌論文など、ドイツ語の文献が大半で、英語の読者がたどるのは難しい。
- 範囲。 挙げられている主題は方法とエンボディメントの規則であり、機械設計の教科書が扱う応力、疲労、部品の計算ではない。内容は2007年時点の実務の状況を反映している。
コースにおける位置づけ
この設計コースでは、ナイジェル・クロス(Nigel Cross)の Engineering Design Methods が、設計者の仕事の進め方と、漠然とした要求から詳細な提案へ至る方法を簡潔にまとめた手引きである。同じ領域をはるかに短く学ぶ最初の一冊として自然であり、そのうえでPahlとBeitzを読めば、規則と指針を伴った完全な手順が得られる。部品志向の教科書(Shigleyの Mechanical Engineering Design、Nortonの Machine Design、Fundamentals of Machine Component Design、Machine Elements in Mechanical Design)は、軸、軸受、歯車などの要素の荷重、応力、破損、寸法決定を扱う。これらは概念に形が与えられた後に生じる解析上の問いに答えるもので、本書を置き換えるのではなく補うものである。
本書の使い方
出版社は本書を、実務の設計者、学生、設計教育者のための指針として位置づけている。機械要素と工学力学の基礎があり、できれば設計プロジェクトの経験があると取り組みやすい。まず第1章と第2章を読み、その後は段階の順に進む。第3〜6章は計画、課題の明確化、概念、第7章は形の決定である。第8〜11章は、プロジェクトが必要とするとき(結合、モジュラー製品群、品質、コスト)に拾い読みする主題として扱い、第12章は全体の振り返りに使う。
実践的には、進行中または過去のプロジェクトと並行して読み、一度に一つの段階を適用するとよい。エンボディメント設計の解析面については、第7章を上記の部品設計の教科書のいずれかと併読する。
