01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Norton, R. L. (2019). Machine Design: An Integrated Approach (6th ed.). Pearson.
章の要約
第6版は2部17章からなる。第I部「基礎」(第1〜8章)と第II部「機械設計」(第9〜17章)で、付録は材料特性、はりの表、応力集中係数、一部の問題の解答の4つである。Pearsonは、本書を機械工学の3〜4年生向けとし、破損理論と解析、そして機械要素の総合と設計に重点を置くと説明している。
第1章:Introduction to Design(設計入門)
設計の過程とその段階(定義、予備設計、詳細設計、文書化)、問題の定式化、概算と一次近似解析を含む工学モデルと工学スケッチ、そして計算精度を含むコンピュータ支援設計・工学。さらに技術報告書、安全率と設計規格、統計的な考慮、単位を扱う。
第2章:Materials and Processes(材料と加工)
材料特性の定義(引張、圧縮、曲げ、ねじり、衝撃の試験、疲労強度、破壊靱性、クリープ)、特性の統計的性質、硬さと熱処理、コーティングと表面処理。金属、高分子、セラミックス、複合材料を概観し、材料の選定で終わる。
第3章:Kinematics and Load Determination(運動学と荷重の決定)
自由度、機構、代表的な1自由度機構(4節リンク、6節リンク、カムとフォロワ)、そして4節リンクとスライダクランクの位置・速度・加速度の解析。カムの設計と解析の節を経て、荷重解析に入る。荷重の分類、自由物体図、静的・動的・三次元の荷重の事例研究、振動荷重と衝撃荷重、特異関数を用いたはりの荷重を扱う。
第4章:Stress, Strain, and Deflection(応力、ひずみ、たわみ)
応力とひずみ、主応力、平面応力と平面ひずみ、モールの円、軸応力、せん断応力、支圧応力、曲げ、はりのたわみ(特異関数、不静定はり、カスティリアーノの方法)、ねじり、組合せ応力、ばね定数。応力集中、柱、厚肉・薄肉円筒も扱い、事例研究で終わる。
第5〜6章:Static Failure Theories(静的破損理論);Fatigue Failure Theories(疲労破損理論)
第5章は延性材料の破損(フォン・ミーゼス–ヘンキー、最大せん断応力、最大垂直応力)、脆性材料の破損(クーロン–モール、修正モール)、破壊力学、理論の使い方を、事例研究とともに扱う。第6章は疲労破損の機構、応力–寿命、ひずみ–寿命、破壊力学の各モデル、疲労荷重、疲労強度の推定と修正係数、切欠きと残留応力を述べる。続いて完全両振り、変動、多軸の応力に対する設計、高サイクル疲労設計の一般的な手順、事例研究を扱う。
第7〜8章:Surface Failure(表面破損);Finite Element Analysis(有限要素解析)
第7章は表面形状、摩擦、凝着摩耗、アブレシブ摩耗、腐食摩耗、表面疲労、球・円筒・一般接触の接触応力(動的接触を含む)を扱う。第8章は有限要素法を紹介し、要素の種類、メッシュ分割と収束、境界条件、荷重、モデルの検証、モード解析を述べる。
第9章:Design Case Studies(設計事例研究)
第II部の最初の章で、可搬式エアコンプレッサ、干し草梱包の持上げ機、カム試験機の三つの設計事例研究を紹介する。これらは事例研究8、9、10と名付けられ、後の章で事例研究8B〜8D、9B、10B〜10Cとして再び登場する。
第10〜11章:Shafts, Keys, and Couplings(軸、キー、軸継手);Bearings and Lubrication(軸受と潤滑)
第10章は軸の荷重と応力、組合せ荷重での破損、完全両振りまたは変動荷重に対する設計、たわみ、キー、スプライン、しまりばめ、はずみ車、危険速度、軸継手、そして駆動軸の事例研究を扱う。第11章は潤滑剤と粘度、流体潤滑の理論と軸受の設計、続いて転がり軸受、その破損と選定、取付けを扱う。
第12〜13章:Spur Gears(平歯車);Helical, Bevel, and Worm Gears(はすば歯車、かさ歯車、ウォームギヤ)
第12章は歯形の理論、干渉、かみ合い率、歯車列、製造、荷重、曲げと歯面の応力、材料、潤滑を含む。第13章ははすば歯車、かさ歯車、ウォームセットへ広げる。
第14〜17章:Spring Design(ばねの設計);Screws and Fasteners(ねじと締結具);Weldments(溶接構造);Clutches and Brakes(クラッチとブレーキ)
第14章はコイル圧縮ばね、引張ばね、ねじりばね、皿ばね座金を扱う。第15章はねじ形状、パワースクリュー、ボルトと予荷重を与えた継手、継手の剛性、予荷重の管理、せん断を受ける締結具を扱う。第16章は溶接法、溶接継手、溶接部の静的・動的荷重、偏心荷重を受ける溶接パターンを扱う。第17章は円板式とドラム式のクラッチとブレーキを扱う。
主要概念
第1〜4章:設計、材料、荷重、応力
- 工学モデルと一次近似解析:詳細な計算の前に、工学スケッチを用いて見積もる。
- 機構とカムの解析:自由度、グラスホフの条件、リンクのベクトル閉回路解析、カムフォロワの運動。
- 特異関数:第3章と第4章で使われる、はりの荷重とたわみの方法。
第5〜8章:破損、表面、有限要素解析
- 静的破損理論:フォン・ミーゼス–ヘンキー、最大せん断応力、最大垂直応力、クーロン–モール、修正モール。
- 応力–寿命、ひずみ–寿命、LEFMの各アプローチ:疲労をモデル化する三つの方法。
- 修正グッドマン線図:変動応力のもとでの設計に用いる道具。
- 接触応力:球、円筒、一般接触での応力分布と表面疲労。
第9〜17章:機械要素と事例研究
- 繰り返し登場する事例研究:第9章の三つの設計を後の章で発展させる。
- 予荷重を与えた締結具と継手剛性:静荷重と動荷重のもとで引張を受けるボルト。
- 歯車の応力:平歯車、はすば歯車、かさ歯車、ウォームギヤの曲げ応力と歯面応力。
批判的分析
長所
- 理論と設計が一つの構成にある。 第I部が解析の道具(荷重、応力、静的・疲労破損、表面破損、有限要素)をつくり、第II部がそれを機械要素に適用する。Pearsonはこれを、破損理論と総合・設計に重点を置くものと説明している。
- 章をまたぐ事例研究。 第9章で示す三つの事例研究は、軸、軸受、歯車、ばね、締結具の章に再び現れ、一つの設計がいくつもの要素を通して追われる。
- 基礎の幅。 運動学、リンク、カム(第3章)、独立した有限要素解析の章(第8章)、そして拡充された疲労の扱い(応力–寿命、ひずみ–寿命、LEFMの各アプローチ)がいずれも目次にある。Pearsonは、本書は特定のコンピュータプログラムに依存せず、コンピュータ支援工学を重視していると述べる。
- 専門的な設計主題。 溶接構造とばね(引張ばね、ねじりばね、皿ばね座金を含む)の章は、許容強度と設計手順に細かく立ち入る。
短所
- 要素の範囲に欠落がある。 目次にはベルト、チェーンなどの巻掛け伝動の章がなく、リベットや接着を扱う独立した章もない。
- 長い第I部。 運動学と有限要素解析を含む8章が最初の要素の章より前にあり、機械要素の設計は第10章からようやく始まる。
- 版の細部が特定しにくい。 Pearsonは、ハードカバーを2019年刊、Masteringを2020年の更新、電子版を2021年刊で著作権表示2022年として挙げ、すべて第6版とする。したがって年は形態によって異なる。
- 事例研究の番号。 事例研究は第9章で8から番号が振られ、後の章では8B、9Bなどと呼ばれる。そのため、一つの章だけを読む場合は、第9章に戻ってどの設計の続きかを確かめる必要がある。
コースにおける位置づけ
Norton の本は、Juvinall と Marshek の Fundamentals of Machine Component Design と最も重なる。どちらも、要素に入る前に荷重、応力、破損、疲労についての長い基礎部分を置く。Norton は運動学、カム、有限要素の章を加え、三つの事例研究を要素の章を通して追う。一方、Juvinall と Marshek はベルトとチェーン、リベットと接着、マイクロ・ナノスケールの要素、変速機の事例研究を扱う。どちらを主教材にしてもよく、もう一方は別の角度からの説明として役立つ。
Mott の Machine Elements in Mechanical Design は、要素の選定と寸法決定を段階を追って示す実践的な本として、Shigley's Mechanical Engineering Design は、要素を設計し想定荷重に耐えるかを確かめる上級向けの中核的な参考書として紹介されている。Cross の Engineering Design Methods と Pahl と Beitz の Engineering Design: A Systematic Approach は設計の過程を扱い、Norton の第1章の前、あるいは並行して読める。
本書の使い方
Pearsonは本書を機械工学の3〜4年生向けとしている。静力学、動力学、材料力学が前提だが、第4章は応力、ひずみ、たわみを復習し、第3章には独自の運動学が含まれる。
実践的な進め方は次のとおり。
- 中心: 第1、4、5、6章。疲労(第6章)は、軸、ばね、締結具、溶接の設計で繰り返し現れる。
- 選択: 材料の知識が薄ければ第2章、運動学の独立した科目がなければ第3章、摩耗と接触応力は第7章、課程で有限要素ソフトを使うなら第8章。
- 事例研究: 要素の章の前に第9章を読み、その後、一つの事例研究を第10章から第15章まで追う。
- 要素: 第10〜17章は課程が必要とする順に読めるが、歯車(第12〜13章)や転がり軸受(第11章)は第7章の接触応力の考え方を応用するのにふさわしい箇所である。
各章末の問題を解き、選択した解答を付録Dで確認する。
