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シグレー機械設計 cover

工学

工学

シグレー機械設計

J. Keith Nisbett; Richard G. Budynas

英語原題: Shigley's Mechanical Engineering Design

機械部品を設計し、想定荷重に耐えられるか評価するための標準的な参考書です。2024年版では応力とたわみ、疲労、締結部品、軸、軸受、歯車などを扱います。材料力学と材料の基礎を学んだ機械工学系の上級学部生に適しています。

前提知識: 静力学、材料力学、工学材料の入門。動力学の知識があると役立ちます。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
mechanical designmachine elementsfatiguefailure analysisengineering

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Nisbett, J. K., & Budynas, R. G. (2024). Shigley's Mechanical Engineering Design (2024 release). McGraw Hill.

章の要約

本書は4部・全20章と、2つの付録(「Useful Tables」と「Answers to Selected Problems」)からなり、約1,100ページに及ぶ。構成は機械設計の論理をそのまま順に並べたものである。まず材料、荷重、たわみの基礎、次に部品が破損するかどうかの問題、続いて個々の要素の設計、最後に2つの特別なトピックが置かれる。McGraw Hillは、本書を機械設計の学習を始める学生向けのものであり、概念の基礎的な展開と部品の実用的な仕様決定とを融合させていると説明している。

第1部 第1〜4章:Basics(基礎)

第1部は4つの章からなる。「Introduction to Mechanical Engineering Design」「Materials」「Load and Stress Analysis」「Deflection and Stiffness」。これらは合わせて、設計の場、設計者が必要とする材料特性、そして以降のすべての章が前提とする、荷重を受ける部材の応力とたわみの計算を整える。

第2部 第5〜6章:Failure Prevention(破損の防止)

「Failures Resulting from Static Loading」と「Fatigue Failure Resulting from Variable Loading」の2章は、応力の結果を、部品が持ちこたえるかどうかの判断へと変える。すべての機械部品が照らし合わされるべき2つの場合、すなわち一定の荷重と、時間とともに変化する荷重を扱う。

第3部 第7〜18章:Design of Mechanical Elements(機械要素の設計)

12章からなる最も長い部で、第1部と第2部を機械の標準的な要素に適用する。順序は次のとおり。「Shafts and Shaft Components」「Screws, Fasteners, and the Design of Nonpermanent Joints」「Welding, Bonding, and the Design of Permanent Joints」「Mechanical Springs」「Rolling-Contact Bearings」「Lubrication and Journal Bearings」。続いて歯車が3章(「Gears - General」「Spur and Helical Gears」「Bevel and Worm Gears」)、さらに「Clutches, Brakes, Couplings and Flywheels」「Flexible Mechanical Elements」。この部の最後の章「Power Transmission Case Study」は、要素の章の連なりを、別の部品ではなく応用事例で締めくくる。

第4部 第19〜20章:Special Topics(特別トピック)

本書は「Finite-Element Analysis」と「Geometric Dimensioning and Tolerancing」で終わる。前者は応力とたわみを解析する計算手法、後者は製造される部品の幾何形状を指定するための言語である。

主要概念

第1部:基礎

  • 荷重と応力の解析:部品に作用する力から部品内の応力を求めること。
  • たわみと剛性:荷重を受けて部材がどれだけ変形し、それが設計をどう制限するか。
  • 材料:部品の寸法を決める際に設計者が拠りどころとする材料特性。

第2部:破損の防止

  • 静的破損:一定荷重を受ける部品が降伏または破断するかどうかを判断する基準。
  • 疲労破損:変動荷重のもとでの破損で、回転部品や繰り返し荷重を受ける部品の多くを支配する。

第3部:機械要素

  • 軸、締結具、継手:回転部材の設計と、非永久(ボルト)および永久(溶接・接着)接合の設計。
  • ばねと軸受:機械ばね、転がり軸受、潤滑とすべり軸受。
  • 歯車:平歯車、はすば歯車、かさ歯車、ウォームギヤ。
  • クラッチ、ブレーキ、カップリング、はずみ車、巻掛け伝動要素:動力伝達系の残りの構成要素。

第4部:特別トピック

  • 有限要素解析:応力とたわみの数値解析。
  • 幾何公差方式(GD&T):部品形状と許容される変動を指定するための標準的な表記法。

批判的分析

長所

  • 明快な論理順序。 応力とたわみから、静的・疲労破損、そして要素の設計へと進むため、各要素の章は、すでに築かれた道具立てに頼ることができる。学生は、歯車や軸がなぜそのように検討されるのかを理解できる。
  • 1冊に多くの部品を収める。 第3部の12章が、軸、締結具、溶接、ばね、軸受、潤滑、歯車、クラッチとブレーキ、巻掛け伝動要素を扱うので、1冊で機械設計の一連の科目に対応でき、その後も参照書として使える。出版社は、判断の根拠と産業用部品の規格の両方に習熟させることを狙いとしていると述べており、それが実務でも手元に残される理由である。
  • 要素のあとに置かれた事例研究。 第18章は「Power Transmission Case Study」であり、要素の章の主要な流れは、個別の話題で終わらず応用例で締めくくられる。
  • 確立した著者陣と長い歴史。 出版社は、本書が機械設計の標準として約50年にわたり使われてきたと述べている。Keith Nisbettは本書を使って25年以上教えており、Richard Budynasは機械設計の教育と実務に40年以上の経験をもち、免許を持つプロフェッショナル・エンジニアである。
  • 選択問題の解答が付録にあり、自己採点ができる。

短所

  • 1つの科目には多すぎる。 20章・約1,100ページあるため、1つの科目ですべてを扱うことはできない。教員または学生が要素を選ばなければならず、目次はどれが中核かを示していない。
  • 設計の初期段階には手薄。 設計プロセス全体は第1章にしか現れない。概念の創出や設計方法論は、後述のような別の本に委ねられており、本書は部品の解析と寸法決定に集中している。
  • 有限要素法と公差設計は各1章。 いずれも入門であり、これらの手法を深く使う必要のある学生は、専門書やソフトウェアの文書が必要になる。
  • リリース方式の版。 McGraw Hillは「evergreen」配信モデルのもと、番号付きリリースで本書を提供しており、ここに示す章立ては2024 releaseのものである。リリース間で内容が変わりうるので、学生は自分の科目がどのリリースを前提とするか確認すべきである。

コースにおける位置づけ

Shigleyは、このコースの一覧では部品設計の本格的な参照教科書である。Mott、Vavrek、WangのMachine Elements in Mechanical Designは、似た要素を段階的に問題を解きながら進める方式をとっており、Shigleyより手引きの多い扱いを求める学生にとって、最初の本や補助の本として有用である。JuvinallとMarshekのFundamentals of Machine Component DesignとNortonのMachine Design: An Integrated Approachは同程度の水準の代替であり、JuvinallとMarshekはまず解析的基礎(静的破損理論、疲労、表面損傷)を展開してから部品に適用し、Nortonは繰り返し登場する事例研究を通じて話題を結びつける。この3冊のどれを主教材にしてもよく、難しい話題について別の説明が欲しいときに他を使う。

CrossのEngineering Design MethodsとPahlとBeitzのEngineering Design: A Systematic Approachは、部品の寸法決定より前の段階、つまり設計課題をどう明確にし、概念をどう選ぶかを扱う。Shigleyはその段階に導入の1章しか充てていないので、概念設計を含む設計の科目では、それらのどちらかと組み合わせるのがよい。

本書の使い方

本書は、静力学、材料力学、工学材料の入門を終えた機械工学の学生向けで、クラッチ、ブレーキ、はずみ車の章には動力学の知識が役立つ。出版社は、機械設計の学習を始める学生を対象としていると述べている。

実践的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 第1〜6章を順に読む。特に、要素の章の土台となる破損の検討である第5章と第6章を丁寧に。
  • 科目に応じて要素を選ぶ: 第7〜9章(軸、締結具、継手)が通常の出発点である。科目に応じて、ばね、軸受、歯車を加える。第18章は部品がどう組み合わさるかを示しており、それ以前の要素の章の一部しか学んでいなくても読む価値がある。
  • 任意: 第19章と第20章は、有限要素解析と公差設計の入門として、後の科目やプロジェクトでこれらに出会う学生向け。
  • 演習: 各章の問題を解き、付録Bの選択問題の解答と照らし合わせる。設計計算が拠りどころとする表には付録Aを使う。