01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Fogler, H. S., Goldsmith, B. R., Nikolla, E., & Singh, N. (2025). Elements of Chemical Reaction Engineering (7th ed.). Pearson.
章の要約
本書は19章と10の付録からなり、1,000ページを超える。各章の終わりには「And Now… A Word from Our Sponsor—Safety」(AWFOS–S)と題する安全の話があり、付属のウェブサイトには対話型のシミュレーションと追加資料がある。序文によれば、学部の授業は通常第1–13章を中心とし、大学院の授業ではこれに拡散律速と有効係数(第14–15章)、非理想反応器と滞留時間分布(第16–18章)、電気化学反応器(第19章)が加わる。
第1–2章:Mole Balances;Conversion and Reactor Sizing(物質収支;転化率と反応器の寸法決定)
最初の構成要素。第1章は反応速度と一般的な物質収支式を定義し、回分式、連続槽型、管型、充填層、流動層の各反応器に適用し、工業用反応器を概観する。第2章は転化率を定義し、各反応器の設計式を導き、連続流れ反応器の寸法を決め、直列の反応器を扱い、空間時間と空間速度を導入する。
第3–4章:Rate Laws;Stoichiometry(速度式;化学量論)
第3章は速度式を扱う。素反応型とべき乗則型から非素反応と可逆反応まで、速度定数とアレニウスの式による温度依存性、分子シミュレーションを含む。第4章は回分系と流れ系の化学量論を扱い、液相と気相の濃度、可逆反応と平衡転化率を含む。
第5–6章:Isothermal Reactor Design: Conversion;Isothermal Reactor Design: Moles and Molar Flow Rates(等温反応器の設計:転化率;等温反応器の設計:物質量とモル流量)
第5章は最初の四つの構成要素を、回分反応器、CSTR、管型反応器の設計アルゴリズムにまとめる。充填層の圧力損失を含み、化学プラントの設計の総合も扱う。第6章は設計を物質量とモル流量で書き直し、マイクロリアクター、膜反応器、非定常の撹拌槽、半回分反応器に適用する。
第7–8章:Collection and Analysis of Rate Data;Multiple Reactions(速度データの収集と解析;複合反応)
第7章はデータから速度式を得る方法を扱う。積分法と微分法、非線形回帰、微分反応器、実験計画である。第8章は選択率と収率、並列反応、逐次反応、複雑な反応、選択率を高める膜反応器を通じて複合反応を扱う。
第9–10章:Reaction Mechanisms, Pathways, Bioreactions, and Bioreactors;Catalysis and Catalytic Reactors(反応機構、経路、生物反応とバイオリアクター;触媒と触媒反応器)
第9章は活性中間体と擬定常状態仮説、ミカエリス・メンテン式と阻害を含む酵素反応、細胞増殖・ケモスタット・ウォッシュアウトを含むバイオリアクターを扱う。第10章は触媒、触媒反応の段階、速度式と律速段階の組み立て、不均一系のデータ解析、マイクロエレクトロニクス製造における反応工学、触媒の劣化を扱う。
第11–13章:Nonisothermal Reactor Design(非等温反応器の設計)
第11章は定常のエネルギー収支と断熱プラグフロー反応器を展開し、断熱平衡転化率、段間冷却・加熱、最適供給温度を含む。第12章は熱交換のある流れ反応器、熱効果のあるCSTR、多重定常状態、非等温の複合反応、管型反応器内の温度変化を加える。第13章は回分・半回分反応器の非定常エネルギー収支に移り、暴走反応の事例を含む。
第14–15章:Mass Transfer Limitations in Reacting Systems;Diffusion and Reaction(反応系における物質移動の制約;拡散と反応)
第14章は拡散、物質移動係数、単一粒子への物質移動、未反応核縮小モデル、充填層での物質移動律速反応を導入する。第15章は触媒ペレット内の拡散と反応を扱う。有効拡散係数、内部有効係数と総括有効係数、見かけの速度論の偽装、拡散律速の判定基準である。
第16–18章:Residence Time Distributions of Chemical Reactors;Predicting Conversion Directly from the Residence Time Distribution;Models for Nonideal Reactors(化学反応器の滞留時間分布;滞留時間分布から直接転化率を予測する;非理想反応器のモデル)
第16章は滞留時間分布を定義して測定し、診断とトラブルシューティングに用いる。第17章はそれから、離散化(セグリゲーション)モデル、最大混合モデル、槽列モデルによって転化率を予測する。第18章は分散モデルと二パラメータモデルによって非理想反応器を記述する。
第19章:Electrochemical Reactor Design(電気化学反応器の設計)
第7版で新たに加わった。電気化学反応の用途(エネルギー貯蔵と変換、電析、腐食、化学品生産)、基本的な定義と速度式、等温および非等温の電気化学反応器のモデル化を扱う。
主要概念
第1–6章:等温反応器の基本アルゴリズム
- 物質収支:出発点となる式で、反応器の種類ごとに適用される。
- 速度式と化学量論:速度を濃度と転化率の関数として表す構成要素。
- 反応器の寸法決定と設計アルゴリズム:構成要素を組み合わせて反応器の体積や時間を求める。
第7–10章:データ、複合反応、機構、触媒
- 速度データの解析:積分法、微分法、回帰法。
- 選択率と収率:複合反応の尺度。
- 擬定常状態仮説とミカエリス・メンテン式:機構と酵素を扱う道具。
- 触媒の劣化:触媒の活性の低下。
第11–13章:非等温の設計
- エネルギー収支:非等温反応器で「組合せ」の段階に取って代わる構成要素。
- 多重定常状態と暴走:発熱反応器の不安定性。
第14–19章:輸送の制約、非理想流れ、電気化学
- 有効係数:触媒ペレット内の拡散律速を表す比。
- 滞留時間分布:実際の反応器を特徴づけ、診断するための道具。
- セグリゲーションモデルと最大混合モデル:分布から転化率を予測する方法。
- 電気化学反応器:速度が電流と電位に結びついた反応器。
批判的分析
長所
- 統一されたアルゴリズム。 序文は、構成要素(物質収支、速度式、化学量論、続いて組合せと評価。非等温の場合は「組合せ」の代わりにエネルギー収支)を説明し、多くの式の暗記ではなく推論で問題を解くとしている。
- 対話型の教材。 80を超える対話型シミュレーション(Living Example Problems、WolframとPython)を備えたウェブサイトと結びついており、Polymath、Wolfram、Python、MATLAB、COMSOLのチュートリアル、補助資料、自己テスト、ウェブモジュールがある。
- すべての章に安全の話。 各章末の安全の話は実際の事故や概念に基づき、NFPAの菱形やスイスチーズモデルから、T2 Laboratoriesの事故、リチウムイオン電池の過熱まで及ぶ。
- 広い範囲。 著者らは学部と大学院の両方向けの教科書として構成しており、その境目は第13章の後にある。第7版では電気化学反応器の章が加わった。
短所
- 非常に長い。 1,000ページを超え、一つの授業をはるかに超える内容を含む。序文は、本の厚さの制約から、さらに多くの資料がウェブに移されたと述べている。
- ウェブ資料への依存。 拡張資料、Professional Reference Shelf、シミュレーションの多くはウェブサイトにあるため、本だけでは完全な体験は得られない。付録は使用するソフトウェアを説明している。
- ソフトウェアの多用。 Living Example Problemsと多くの宿題は、Polymath、Wolfram、Python、MATLABのいずれかを必要とする。
コースにおける位置づけ
この化学プロセスのコースの書目の中で、Foglerは反応器設計の教科書である。Felder、Rousseau、Bullardの Elementary Principles of Chemical Processes とDennの Chemical Engineering: An Introduction は、物質収支とエネルギー収支を扱う最初の科目向けの教科書で、通常の準備となる。Foglerの物質収支の方法はこれらの上に築かれている。McCabe、Smith、Harriottの Unit Operations of Chemical Engineering は単位操作と輸送現象を、Geankoplisの Transport Processes and Separation Process Principles は運動量・熱・物質移動と分離プロセスを扱い、どちらもFoglerの第14–15章の拡散と反応を補う。
TowlerとSinnottの Chemical Engineering Design はその後に来る、プロセスとプラントの設計を扱う総仕上げの教科書で、第15章に反応器の設計がある。Foglerは、設計が使う反応速度論と反応器の解析を提供する。
本書の使い方
序文によれば、本書は学部と大学院の両方の教科書として意図されている。物質収支とエネルギー収支、熱力学、微分方程式、いくらかの物理化学を学んでおくとよい。
実際的な進め方は次のとおり。
- 学部の中核: 第1–13章を順に読む。第1–6章は土台で、飛ばしてはならない。第5章と第6章で各部分が合流し、第11–13章でエネルギー収支が加わる。
- 大学院および発展的な話題: 拡散律速には第14–15章、非理想反応器には第16–18章、電気化学反応器には第19章。
- 本と並行して: Living Example Problemsを実行してパラメータを変え、安全の話を読み、ウェブのノートと自己テストを使う。
まず構成要素を身につけ、すべての問題を同じ方法で立ててから、ソフトウェアに頼る。
