01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Towler, G., & Sinnott, R. (2021). Chemical Engineering Design: Principles, Practice and Economics of Plant and Process Design (3rd ed.). Elsevier.
章の要約
第3版は20章からなり、2部に分かれる。第1部「プロセス設計」は、フローシートの作成から、ユーティリティ、シミュレーション、制御、材料、コスト見積り、経済性、安全、最適化までを扱う。第2部「プラント設計」は、主な機器の選定と設計を扱う。出版社は、本書が化学工学の原理を化学プロセスと機器の設計に応用すると説明し、第3版ではプラントと機器のコスト、規制、技術標準が更新されたとしている。
第1部:Process Design(プロセス設計)
第1–2章:Introduction to Design;Process Flowsheet Development(設計入門;プロセスフローシートの作成)
最初の章は、設計と、プロセスフローシートの作成を紹介する。
第3–5章:Utilities and Energy Efficient Design;Process Simulation;Instrumentation and Process Control(ユーティリティと省エネルギー設計;プロセスシミュレーション;計装とプロセス制御)
設計におけるユーティリティとエネルギーの側面、プロセスシミュレーションの利用、計装と制御を扱う。
第6章:Materials of Construction(構造材料)
構造材料の選定を扱う。
第7–9章:Capital Cost Estimating;Estimating Revenues and Production Costs;Economic Evaluation of Projects(設備投資額の見積り;収益と製造コストの見積り;プロジェクトの経済評価)
経済に関する章は、設備投資額の見積り、収益と製造コストの見積りを経て、プロジェクトの経済評価に至る。出版社は、この版にCost Engineering社のCleopatra Enterprise原価見積りソフトウェアを学生が限定的にオンラインで使える権利が付くと述べている。
第10–12章:Safety and Loss Prevention;General Site Considerations;Optimization in Design(安全と損失防止;立地に関する一般的な考慮事項;設計における最適化)
安全と損失防止、立地に関する一般的な考慮事項、設計における最適化。
第2部:Plant Design(プラント設計)
第13–14章:Equipment Selection, Specification and Design;Design of Pressure Vessels(機器の選定、仕様、設計;圧力容器の設計)
第13章は機器をどのように選定し、仕様を定め、設計するかを紹介し、第14章は圧力容器の設計に移る。
第15–17章:Design of Reactors and Mixers;Separation of Fluids;Separation Columns (Distillation, Absorption and Extraction)(反応器と混合器の設計;流体の分離;分離塔(蒸留、吸収、抽出))
中心となるプロセス機器。反応器と混合器、流体の分離、蒸留・吸収・抽出のための分離塔。
第18–20章:Specification and Design of Solids-Handling Equipment;Heat Transfer Equipment;Transport and Storage of Fluids(固体取扱い機器の仕様と設計;伝熱機器;流体の輸送と貯蔵)
固体を扱う機器、伝熱機器、流体の輸送と貯蔵。
主要概念
第1部:プロセス設計(第1–12章)
- プロセスフローシート:設計がそこから出発するプロセスの表現。
- プロセスシミュレーション:ソフトウェアによるフローシートのモデル化。
- 設備投資額、収益、製造コストの見積り:設計を評価する経済的な基礎。
- プロジェクトの経済評価:財務の観点から代替案を比較すること。
- 安全と損失防止:危険が制御されるように設計すること。
- 設計における最適化:設計変数の中から系統的に選ぶこと。
第2部:プラント設計(第13–20章)
- 機器の選定と仕様:機器をプロセスの要求に合わせること。
- 圧力容器の設計:基本的な機器の機械設計。
- 反応器、混合器、分離塔:プラントの主な単位操作。
- 伝熱機器と流体の輸送:あらゆるプロセスに必要な付帯機器。
批判的分析
長所
- 設計全体にわたる範囲。 第1部はフローシート、エネルギー、制御、材料、コスト、経済性、安全、立地、最適化を扱い、第2部は機器を扱う。両者が合わさって、プロセスの設計とそれを実行するプラントの設計にわたる。
- 実務の設計技術者による執筆。 出版社は、学部での豊富な教育経験を持つ現役の設計技術者が書いたと述べている。
- 多数の設計プロジェクト。 出版社は、多様なプロセス産業から取った100を超える典型的な工業設計プロジェクトを挙げている。
- 長い版の歴史。 著者紹介によれば、初版(Coulson and Richardson の第6巻として)は1983年に出版され、以後おおよそ5年ごとに版を重ねている。
- 現行の標準と分野。 第3版は、API、ASME、ISAの設計規格やANSI規格など最新の米国の規格・標準を示し、食品、医薬、バイオのプロセスと一般的な単位操作に関する新しい内容を加えている。
短所
- 標準は米国が中心。 更新された規格・標準は出版社が挙げる米国のものであり、他の制度のもとで働く設計者は現地の標準を参照する必要がある。
- 基礎科目の修得が前提。 本書は最終学年や総仕上げの設計科目の学生と実務者向けであり、物質・エネルギー収支、熱力学、輸送現象、分離、反応工学を教えるのではなく応用する。
- 広さが深さに勝る。 20章は経済性から圧力容器まで及び、各主題に1章ずつが充てられているので、特殊な機器の設計には専門の参考書が必要になることがある。
コースにおける位置づけ
この化学プロセスのコースの書目の中で、TowlerとSinnottは設計の総仕上げとなる教科書である。Felder、Rousseau、Bullardの Elementary Principles of Chemical Processes とDennの Chemical Engineering: An Introduction は、設計が出発点とする収支を教える。McCabe、Smith、Harriottの Unit Operations of Chemical Engineering とGeankoplisの Transport Processes and Separation Process Principles は、第15–20章が機器に応用する単位操作と分離の理論を与える。
Foglerの Elements of Chemical Reaction Engineering は、第15章が用いる反応器の解析を提供する。TowlerとSinnottは、これらを設計の中で統合することを目的に、その後に読む。
本書の使い方
出版社が想定する読者は、上級のプロセス設計または最終学年の設計科目を履修する化学工学・生化学工学の学生と、化学プロセス、生化学、医薬、石油化学の分野の実務者である。化学工学の基礎科目を修了していることが望ましい。
実際的な進め方は次のとおり。
- 最初に: 第1–2章、続いてプロジェクト全体の経済的な枠組みを与える第7–9章。
- プロセス設計: プロジェクトの必要に応じて第3–6章と第10–12章。安全の第10章は最後に回さず早めに読む。
- 機器: 第13章、続いて自分の設計にある機器の章。反応器と分離は第15–17章、伝熱機器は第19章、流体の輸送と貯蔵は第20章。
- 総仕上げの設計での使い方: 本書の設計プロジェクトから一つを選び、フローシートから機器の寸法とコストまで進める。
