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Embedded Formative Assessment(埋め込まれた形成的評価) cover

教育学

教育学

Embedded Formative Assessment(埋め込まれた形成的評価)

Dylan Wiliam

英語原題: Embedded Formative Assessment

教師のための形成的評価の実践的解説で、分単位・日単位の評価がいかに学力を高めうるかに関する著者の研究に基づく。形成的評価がなぜ重要かを説明し、五つの主要な方略を示し、それぞれについて多数の教室での技法を提示し、研究上の根拠を平易な言葉で要約している。

前提知識: 教室での経験か授業への関心があれば十分で、評価理論の知識は前提としない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
formative assessmentclassroom assessmentfeedbackteaching practiceprofessional development教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Wiliam, D. (2017). Embedded Formative Assessment (2nd ed.). Solution Tree Press.

章の要約

第2版(2017年10月刊、約240ページ)は、2011年の初版の7章構成を引き継いでいる。議論を組み立てる2つの章のあとに、形成的評価の五つの鍵となる方略にそれぞれ1章ずつが充てられる。出版社によれば、内容の30パーセント以上が新しく、新たな研究、技法、事例、テンプレート、教育と雇用の現状に関する新しい内容、そして記憶研究や二経路理論(dual-pathway theory)を含む教育神経科学についてのより踏み込んだ議論が加わっている。各方略の章は、その方略を支える研究上の証拠をまとめたうえで、教師が実際に用いてきた実践的な技法を示す。著者は方略の各章ができるだけ独立して読めるように書いている。

第1章:なぜ教育達成が重要なのか

教育達成を高めることを国家的な優先課題とすべき理由を論じる。高い教育達成は個人(健康、寿命、収入)にも社会(刑事司法や医療の費用の削減、経済成長)にも利益をもたらす。本章は、学校の構造、統治、カリキュラム、テクノロジーをめぐる改革がおおむね失敗してきたと論じる。教師の質が最も重要であり、その質は大きくばらつき、ある生徒にとっては他の生徒以上に重要だからである。より優れた新任者を採用したり、効果の低い教師を排除したりしても成果が出るまでに一世代かかるため、現職の教師が上達するよう支援しなければならない、というのが結論である。出版社の一覧では、この章は「Discovering Why Educational Achievement Matters」と表記されている。

第2章:形成的評価を支持する論拠

出版社が無料サンプルとして公開している章である。まず、教師の専門性開発でよく取り上げられる焦点を検討する。教職経験が生徒の進歩に加える効果はささやかであること、指導を学習スタイルに合わせることには証拠がないこと(パシュラーらのレビューと「望ましい困難」に関する研究を引く)、神経神話が広く信じられており、有用な働きをしているのは神経科学ではなく認知心理学であること、そして教師の教科知識を増やして生徒の達成を高めようとする実験的な試みはおおむね失敗してきたことを示す。そのうえで、スクリヴンの「形成的評価(formative evaluation)」(1967年)と、ブルームによるその教室テストへの応用(1969年)から形成的評価の起源をたどり、形成的評価とは何であり何でないかを定義し、五つの方略を紹介して、評価を教えることと学ぶことの架け橋として示す。

第3章:学習の意図と成功の基準を明確にし、共有し、理解する

第一の方略。生徒が何を学ぶことになっているのか、成功とはどのようなものかを確実に知っているようにすることであり、それがなぜ重要かについての研究と、そのための技法を扱う。

第4章:学習者の達成の証拠を引き出す

第二の方略。序論では、生徒が何を考えているかを明らかにする教室での話し合い、活動、課題を設計することとして位置づけられている。出版社は、教室での発問を中心的なテーマとして挙げている。

第5章:学習を前進させるフィードバックを与える

第三の方略。学習を前に進めるよう設計されたフィードバックである。出版社は、意味のあるフィードバックを、事例とテンプレートが更新された領域の一つに挙げている。

第6章:生徒を互いの学習資源として活性化する

第四の方略。仲間同士が互いの学習を支え合う、協働学習と協同学習である。

第7章:生徒を自らの学習の当事者として活性化する

第五の方略。生徒が自分の進歩に責任を持つようにするための、自己評価と自己調整学習である。

主要概念

第1章–第2章:議論

  • 教師の質:著者の説明では教育制度の中で最も重要な単一の要因であり、教師によって大きくばらつく。
  • 現職教師の改善:進歩は選抜ではなく、現在の教師がより良くなるよう支援することにかかっているという結論。
  • 形成的評価:総括的な判断とは区別される、指導と学習が進行している最中にそれを調整するために用いられる評価。本章はこの考え方をスクリヴンとブルームにさかのぼる。
  • 教えることと学ぶことの架け橋としての評価:第2章を締めくくる考え方で、評価こそが教えられたことと学ばれたことをつなぐというもの。

第3章–第7章:五つの鍵となる方略

  • 学習の意図と成功の基準:何を学ぶのか、成功をどのように見分けるのかについて共有された記述。
  • 証拠を引き出す:生徒が何を理解しているかを示すよう設計された発問、話し合い、課題。
  • 学習を前進させるフィードバック:生徒に次に何をすべきかを伝える情報。
  • 相互評価と自己評価:生徒が互いの学習資源となり、自らの学習の当事者となること。

批判的分析

長所

  • 明快な枠組み。 五つの方略は、多くの個別の教室技法を一つのモデルにまとめている。初版の序論で著者は、ほとんどの技法は新しいものではなく、それらがどう組み合わさるかを示す枠組みこそが本書の貢献だと述べている。出版社とハイディ・アンドレードの推薦文は、この版の技法を70以上と数えている。
  • 実践と並べて示される証拠。 無料公開の第2章がその方法をよく示している。主張は名前の挙がった研究やレビューに結びつけられ、形成的評価が提案される前に、よく知られた考え方(学習スタイル、脳科学に基づく教育、教科知識の研修)が証拠に照らして検証される。出版社のページに掲載されたロリー・シェパードの推薦文は、方略がなぜ効果を持つのかを理論と証拠によって説明している点を評価している。
  • 実践者でもある研究者による執筆。 ウィリアムはロンドンの学校で数学と理科を教えたのち、ポール・ブラックとともに1998年の形成的評価に関する研究レビューを共同執筆した。その文章は教室の細部と研究の要約のあいだを行き来する。
  • 独立した方略の章。 方略の各章が独立しているため、教師や研究グループは一度に一つの方略に取り組むことができる。

短所

  • 一方向から論じられている。 冒頭の章は、形成的評価こそが教師の成長への最良の投資だとする議論であり、他のアプローチとの比較は著者自身によって行われている。読者はこれを一つの主張として受け止め、より幅広い文献と照らし合わせる必要がある。
  • 学校中心で、アメリカの政策を前提にしている。 事例は学校の教室から取られ、第2章は専門性開発に関するアメリカの州の要件を論じている。大学の教員は技法を自分の環境に合わせて調整する必要がある。
  • 測定論の教科書ではない。 本書は分単位、日単位の形成的な実践に集中しており、信頼性と妥当性、テストの作成、標準化テストの得点の解釈は、コースの他の本に委ねられている。

コースにおける位置づけ

評価のリストの中で、本書は形成的な実践に焦点を絞った本である。W・ジェームズ・ポパムの Classroom Assessment: What Teachers Need to Know と、スーザン・ブルックハートとアンソニー・ニトコの Educational Assessment of Students は、信頼性、妥当性、テスト作成、標準化テスト、成績評価を扱う総合的な教科書であり、形成的評価はそれぞれの扱う範囲の一部にとどまる。基礎についてはそのどちらかを読み、形成的評価の章を教室での日課に変えるためにウィリアムを使うとよい。

ハイディ・アンドレード、ランディ・ベネット、グレゴリー・シゼック編の Handbook of Formative Assessment in the Disciplines は研究レベルでの続編にあたり、数学、理科、言語科目といった個々の教科の内部で形成的評価がどう機能するかを問う。R・マイケル・ファーの Psychometrics: An Introduction はテストの背後にある測定理論を扱っており、本書との重なりはほとんどない。

本書の使い方

本書は現職の教師と学校のリーダーに向けて書かれており、評価理論の予備知識を前提としない。教職課程の学生は、教育実習と並行して読むと最も得るものが多い。教師の研修グループでの使用にも適している。

実践的な読書計画:

  • 中核: 第2章を通して読む。形成的評価を定義し、他のすべてを組み立てる五つの方略を示しているからである。政策をめぐる議論を必要としない読者は、第1章を手早く読めばよい。
  • 方略: 最初は第3章–第7章を順に読み、その後は一度に一つの章に戻る。ある章から二つか三つの技法を選んで数週間使い、生徒の反応に何が変わったかを記録してから、新たな技法を加えるとよい。
  • 並行して: 授業で集めた証拠と、それをもとに何をしたかを短く記録しておく。これこそ本書が育てようとしている習慣である。

研究の基盤を知りたい読者は、各章が引用する文献をたどるとよい。まずはブラックとウィリアムのレビューから始めるのがよい。ソリューション・ツリー社は別冊の Handbook for Embedded Formative Assessment も刊行しており、出版社のページに関連商品として掲載されている。