01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Brookhart, S. M., & Nitko, A. J. (2018). Educational Assessment of Students (8th ed.). Pearson.
章の要約
本書は3部19章からなり、そのあとに10の付録、用語集、参考文献、索引が続く。Pearsonは、学級での評価と教育テストの最初の授業の中心教材と位置づけ、教育測定の基礎と、形成的評価・総括的評価を作成して活用するための段階的な手順を提供すると説明している。
第I部 第1〜2章:Classroom Decision Making and Using Assessment(学級での意思決定と評価の活用);Describing the Goals of Instruction(指導目標の記述)
冒頭の章は、評価を学級での意思決定の中に位置づけ、続いて、後の章で評価の計画に使われる指導目標の記述に進む。付録Dには、認知・情意・精神運動の各領域の教育目標分類の要約がある。
第I部 第3〜4章:Validity of Assessment Results(評価結果の妥当性);Reliability of Assessment Results(評価結果の信頼性)
妥当性と信頼性にそれぞれ1章が充てられている。出版社によれば、この扱いは学級での評価を想定しており、大規模な統計的手法を用いずに質の高い評価を作る方法を示す。計算の詳細は付録G(信頼性係数)と付録F(基本的な統計概念)にある。
第I部 第5章:Professional Responsibilities, Ethical Behavior, and Legal Requirements in Educational Assessments(教育評価における専門的責任、倫理的行動、法的要件)
第I部の最後の章は、評価の専門的・倫理的・法的な側面を扱う。付録には、教師に必要な評価の知識と技能(A)、公正なテスト実施の規範(B)、教育測定における専門的責任の規範(C)についての資料が含まれる。
第II部 第6〜8章:Planning for Integrating Assessment and Instruction(評価と指導を統合するための計画);Diagnostic and Formative Assessments(診断的評価と形成的評価);Providing Formative Feedback(形成的フィードバックの提供)
第II部は、評価を授業と結びつける計画に独立した1章を充て、続いて形成的評価に2章を割く。出版社によれば、第8章のフィードバックの扱いは今回の版で改訂され、学力と学習の自己調整への効果が示されている。
第II部 第9〜10章:Fill-in-the-Blank and True-False Items(穴埋め問題と真偽問題);Multiple-Choice and Matching Exercises(多肢選択問題と組み合わせ問題)
これらの章は、題名にある客観式問題の種類を扱う。出版社は、本書の方法を、段階的な指導と、各評価タイプの質を判断するチェックリスト、良い評価と悪い評価が学習にどう影響するかを示す例によるものと説明している。
第II部 第11〜13章:Higher-Order Thinking, Problem Solving, and Critical Thinking(高次の思考、問題解決、批判的思考);Essay Assessment Tasks(論述式評価課題);Performance and Portfolio Assessments(パフォーマンス評価とポートフォリオ評価)
第11章は、高次の思考、問題解決、批判的思考の評価に専念する章である。第12章と第13章は、論述課題、パフォーマンス評価、ポートフォリオを扱う。
第II部 第14〜15章:Preparing Your Students to Be Assessed and Using Students' Results to Improve Your Assessments(生徒に評価の準備をさせ、結果を評価の改善に使う);Evaluating and Grading Student Achievement(学習成果の評価と成績づけ)
第II部は、生徒に評価の準備をさせること、結果を評価の改善に使うこと、学習成果の評価と成績づけで終わる。出版社の概要は、保護者と評価について話し合うことも扱うと付け加えている。
第III部 第16〜19章:Standardized Achievement Tests(標準学力テスト);Interpreting Norm-Referenced Scores(集団準拠スコアの解釈);Finding and Evaluating Published Assessments(市販の評価の探索と評価);Scholastic Aptitude, Career Interests, Attitudes, and Personality Tests(学力適性、職業興味、態度、性格のテスト)
第III部は、学級から市販・標準化された道具へと移る。第16章には、中間評価、ベンチマーク評価、州の説明責任評価についての改訂された議論がある。ほかの章は、集団準拠スコアの解釈、市販の評価の探索と評価、適性・興味・態度・性格のテストを扱う。付録HとIは、市販テストとテスト出版社の一覧である。
主要概念
第I部:評価の基礎
- 妥当性:評価結果がそれに基づく判断をどの程度支えるか。第3章で扱う。
- 信頼性:評価結果の一貫性。第4章で扱い、計算手順は付録Gにある。
- 評価の倫理と法的要件:第5章と付録B、Cが扱う専門的責任。
第II部:学級評価の作成と活用
- 診断的評価と形成的評価:指導の途中で次の手立てを決めるために使う評価。形成的フィードバックには独立した章がある。
- 問題・課題の種類:穴埋め、真偽、多肢選択、組み合わせ、論述、パフォーマンス、ポートフォリオ。
- 成績づけ:学習成果の評価と成績づけ(第15章)。
第III部:標準テストの解釈と活用
- 集団準拠スコア:第17章の主題。
- 市販の評価:その探し方と評価のしかた(第18章)。
批判的分析
長所
- 原則から実践までの完結した道筋。 3つの部は、妥当性・信頼性・倫理から、主要な課題タイプの設計、標準テストへと進み、付録が補助的な統計や規範を加える。一冊で全体の流れを追える。
- フィードバックと形成的評価に独立した紙幅がある。 第6〜8章は、評価と指導の統合、形成的評価とフィードバックに3章を割き、出版社はこの版でフィードバックの扱いが改訂されたことを強調している。
- 自己点検の支援。 出版社は、各評価タイプの質を判断するチェックリスト、良い評価と悪い評価が学習にどう影響するかを示す例、付録Jの偶数番号の練習問題の解答を挙げている。
- 高次の思考を直接扱う。 第11章は、問題解決と批判的思考を独立した章で扱う。
短所
- 分量と幅広さ。 19章、10の付録、用語集は、多くの単一の授業で扱える範囲を超えており、教員や独習者は取捨選択を迫られる。第19章(適性・興味・態度・性格のテスト)は、学級中心の授業では任意としてよい。
- 米国の制度が前提。 出版社の説明は州が義務づけるテストや州の説明責任評価に触れており、他の制度の下にある読者はその部分を読み替える必要がある。
- 技術を用いた評価は主に付録にとどまる。 付録Eは技術を用いたテストにおけるユニバーサルデザインを扱うが、目次にはデジタル評価の章はない。
- 測定理論は控えめ。 出版社は、本書が教育測定の基礎を提示し、学級評価の扱いでは大規模な統計的手法を避けると説明している。心理測定の深い知識を求める読者には専門書が必要である。
コースにおける位置づけ
評価の読書リストの中で、本書は教師教育向けの総合的な教科書である。Pophamの『Classroom Assessment: What Teachers Need to Know』は、学級評価の設計・解釈・活用への実践的な入門であり、Wiliamの『Embedded Formative Assessment』は形成的評価の技法に焦点を当てた書物で、どちらも第6〜8章の補助になる。『Handbook of Formative Assessment in the Disciplines』は、教科ごとの形成的評価を見たい読者向けの研究ハンドブックである。
測定の深みを求めるなら、Furrの『Psychometrics: An Introduction』が、信頼性と妥当性がどう推定されるか、そして項目反応理論について概念的に扱う。これらは本書の第3〜4章と付録F、Gが学級の水準で扱う主題である。BrookhartとNitkoは幅広い最初の教科書にあたり、そのあとでこれらを、実践重視または理論的な深まりのために使うとよい。
本書の使い方
本書は、教員養成課程の学生と現職教員向けに書かれており、学級評価と標準テストをあわせて扱う授業に向く。出版社は、本書を最初の授業のための教材とし、教職への関心以外の前提条件には触れていない。統計の付録が基礎を補う。
読み方の例:第I部は順に読む。妥当性と信頼性が後の章の土台になるからである。第II部では、第6〜8章を計画と形成的実践のために丁寧に読み、第9〜13章は、特定の評価を作る際にチェックリストを使いながら参照する。第15章(成績づけ)は、成績に関する判断を下す前に役立つ。第III部は選んで読める。スコア報告の解釈には第16〜17章、市販テストの選択には第18章、適性・興味・性格の測定を扱う授業の場合のみ第19章を読む。規範とユニバーサルデザインの付録は参照用とし、偶数番号の練習問題を解いて付録Jの解答で確認するとよい。
