01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Smith, S. (2015). Taxation: A Very Short Introduction. Oxford University Press. Very Short Introductions.
章の要約
短い本で、序論と6章が約120ページにまとめられ、用語集、読書案内、索引が続く。著者はユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの経済学教授で、財政研究所(Institute for Fiscal Studies)の元副所長であり、経済学を知らない読者に向けて書いている。出版社の紹介文は本書のねらいをこう述べる。税制はつねに政治的な問題であり続けるが、税が何のためにあり、さまざまな税がどう機能するのかを人々が理解すれば、税に関する公共の意思決定はよりよいものになる。
序論
舞台を設定する2ページの導入である。税は道路、裁判所、防衛、福祉、そして多くの国では医療や教育の大部分をまかなう。2012年には、税はアメリカで国民所得の4分の1を占め、欧州連合の加盟国では平均して5分の2近くを占めた。序論は、税が個人に及ぼす影響(可処分所得の減少、申告の手間、調査への不安、税を減らすための行動の変化)と、税が左派と右派の政治的論争の中心にある理由を述べる。
第1章:なぜ税があるのか
最初の章(3〜11ページ)は、課税は何のためにあるのかという基本的な問いを立てる。具体的な内容は公開されている要約には示されていないが、序論はこの問いを公共サービスの財源という観点から位置づけている。
第2章:税の構造
税制は国によって大きく異なるが、ほぼすべての国が個人所得税、売上税(消費税)、法人利潤への課税という同じ大枠の要素に頼っている。この章は、そうした類似の下にある課税ベース、税率、法的・実務的な仕組みの多様性を示し、過去50年で税収が実質で大きく伸びた理由を説明する。所得と支出の増加、税率の上昇、そして付加価値税のような新しい税の導入である。
第3章:税負担を負うのは誰か
帰着の章で、形式的帰着(誰が法的に納税義務を負うか、誰から税が徴収されるか)と実質的・経済的帰着(最終的に誰が負担を負うか)を区別する。次に、平均的な負担はどれほどか、それが集団間でどう分布しているか、特に家計の所得によってどう異なるかを問い、累進的な分布と逆進的な分布の違いを説明する。
第4章:税と経済
最も長い章(48〜74ページ)で、課税の費用は支払われる税額だけではないと論じる。三種類の費用、すなわち政府の行政費用、納税者のコンプライアンス費用、税が行動を変えるときに生じる歪みの費用を挙げる。続いて最適物品税の原理、労働市場への影響と税のくさび、公平性と効率性のトレードオフ、所得税と給付の相互作用を扱う。
第5章:脱税と執行
約20ページ(75〜96ページ)の章で、脱税と、税務当局が税制をどう執行するかを扱う。Google Books が本書について挙げる頻出語には過少申告、納税コンプライアンス、罰則が含まれるが、章の要約は公開されていない。
第6章:税制の論点
最終章は、よい税制とは何かを問い、アダム・スミスの四原則(負担の公平、税額の確実性、納付の便宜、費用の最小化)と中立性の原則から出発する。次に多くの国が直面する三つの論点、すなわち税制の抜本的な簡素化、単一税率(フラット)の所得税、食料などの基礎的な財を売上税の対象から外すことを取り上げる。最後に環境税と税制の将来を扱う。
主要概念
序論・第1〜2章:目的と構造
- 課税ベース:税が課される対象。同じ種類の税でも国によって大きく異なる。
- 主な税の種類:個人所得税、付加価値税などの売上税、法人利潤への課税。
第3〜4章:帰着と経済的費用
- 形式的帰着と実質的帰着:法的に税を払う義務を負う者と、最終的に負担を負う者の区別。
- 累進課税と逆進課税:所得に占める割合が所得とともに上がる、または下がる税負担。
- コンプライアンス費用と行政費用:税制を運営し、税制に対応するための費用。
- 歪みの費用(超過負担):税が人々や企業の行動を変えることで生じる経済的費用。
- 税のくさび:労働への課税によって生じる、雇用主が支払う額と労働者が受け取る額の差。
第5〜6章:執行と政策
- 脱税と執行:違法な税の不払いと、税務当局がそれに対抗する手段。
- アダム・スミスの四原則:公平、確実、便宜、低費用というよい課税の原則。
- 中立性:税は特定の活動を他より優遇すべきでないという原則。
- フラット税:単一税率の所得税で、検討される改革案の一つ。
批判的分析
長所
- 税制政策の経済学者による著作。 出版社の著者紹介は、スミスが財政研究所に在籍し、英国財務省、IMF、OECDの顧問を務めたことを記しており、本書の章立ても理論だけでなく税制が実際にどう運用されているかへの関心を反映している。
- 中核的な考え方を平易な言葉で。 公共経済学の中核的な考え方(帰着、超過負担、最適物品税、税のくさび)が、経済学を知らない読者向けの本で示されており、公共経済学の授業への橋渡しとして役立つ。
- 理論だけでなく実務も。 行政、コンプライアンス、執行にしっかり紙幅が割かれている。第4章はこれらを課税の費用として数え、第5章は脱税と執行に充てられている。
- 政策志向の結び。 第6章は原則を現実の論争(簡素化、フラット税、食料の非課税、環境税)に当てはめ、それまでの分析が政府の直面する選択にどう関わるかを示す。
短所
- 非常に短い。 約120ページなので、各トピックは数ページしか扱われない。演習のある授業用テキストではなく、帰着や超過負担の背後にある形式的分析は教科書に委ねられている。
- 2010年代初めのデータ。 序論で引用される数字は2012年のもので、刊行後に多くの国で税制が変わっている。
- 国際課税の扱いが見えない。 公開されている章の要約からは、多国籍企業への課税や国際的な租税競争の扱いは見て取れない。これらは今日の税の議論の中心にあり、学生は別の文献を読む必要がある。
コースにおける位置づけ
本書は、このコースの公共財政の部分への短い入口である。ジョナサン・グルーバーの Public Finance and Public Policy は本格的な学部教科書で、政府がなぜ介入するのか、社会保険はどう設計されるのか、税は行動と所得分配にどう影響するのかについて、理論と実証を組み合わせて論じる。スミスの第3章と第4章は、グルーバーの税の章を平易な言葉で予習するものになる。トマ・ピケティの The Economics of Inequality は分配の側面で自然な組み合わせとなる本で、労働と資本の間の所得分配と、再分配で何が達成できるかに焦点を当てている。
労働経済学の側では、エーレンバーグ、スミス、ハロックの Modern Labor Economics が政策への応用の一つとして課税を扱っており、税のくさびや所得税と給付の相互作用についてのスミスの議論はそれに直接つながる。カユック、カルシーヨ、ジルベルベルグの Labor Economics は大学院テキストであり、ずっと後で読むものである。
本書の使い方
経済学の知識は前提とされておらず、巻末の用語集が専門用語を定義している。
- 早い段階で通読する。 公共経済学の授業の前か最初の数週間のうちに、数回に分けて読み通せる。
- 中核となる章: 第3章(帰着)と第4章(経済的費用、最適物品税、税のくさび)は、教科書が形式化する経済学の考え方を担っている。2回読むとよい。
- 背景となる章: 序論と第1〜2章は税制の事実と語彙を与え、脱税と執行を扱う第5章は課税の実務的な側面を補う。
- 政策の章: 第6章はレポートやゼミの準備に使う。三つの論点それぞれについて、双方の効率性と公平性の議論を書き出してみる。
- その後に: 第3〜4章の後で、グルーバーのような教科書で帰着と死荷重の図に取り組む。読書案内でさらに深め、最新の数字は政府やOECDの最近のデータで確認する。
