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Misbehaving: The Making of Behavioral Economics(行動経済学の逆襲) cover

経済学

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Misbehaving: The Making of Behavioral Economics(行動経済学の逆襲)

Richard H. Thaler

英語原題: Misbehaving: The Making of Behavioral Economics

行動経済学の創始者の1人による、この分野がどのように発展してきたかを一人称で語った記録です。Thalerは標準理論では説明できなかった人間の意思決定の異常現象、経済学界を徐々に説得した実験と議論、そして金融、貯蓄政策、公共プログラムへの実践的応用について語ります。

前提知識: 前提知識は不要です。一般読者向けに書かれており、関連する経済学はその都度説明されます。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Thaler, R. H. (2016). Misbehaving: The Making of Behavioral Economics. W. W. Norton & Company. (First published 2015.)

章の要約

本書は、序文、8部に分かれた33の短い章、間奏(インタールード)、結論からなり、本文は約370ページで、その後に参考文献(373〜391ページ)と索引が続く。各部には年代の幅が付されており、1970年代の大学院時代から2004年以降の政策への関与まで、セイラーの経歴をおおむね順にたどる。CFA協会の Financial Analysts Journal に掲載されたロナルド・モイの書評が言うように、本書は研究者としての著者の人生、出会った経済学者たちの逸話、そしてこの分野の歴史を織り交ぜたものである。各章は、それぞれの部の中のエピソードとして読むのがよい。

第I部 始まり:1970〜78年(第1〜6章:想定上は無関係な要因/保有効果/リスト/価値理論/カリフォルニア・ドリーミン/試練)

冒頭の部は、人々が実際にどう行動するかに関心を抱いたロチェスター大学の大学院時代から、自分の考えを初めて打ち出すまでのセイラーを追う。第1章は、合理的な意思決定者にとっては関係がないはずなのに実際には影響する「想定上は無関係な要因」を紹介し、第2章は、あるものを所有すると、それをより高く評価するようになる保有効果に充てられている。

第II部 メンタル・アカウンティング:1979〜85年(第7〜10章:お買い得とぼったくり/サンクコスト/バケツと予算/ポーカーのテーブルで)

この部はメンタル・アカウンティング、すなわち人々がお金を別々の区分に入れ、交換可能なものとして扱わない仕方を扱う。アダム・オリヴァーの書評は、取引効用の議論を取り上げている。これは、お買い得を手にした喜びとぼったくられた痛みのことであり、購入したもの自体の価値だけが重要だという標準的な仮定を超えるものである。サンクコストと「バケツ」への予算の振り分けには、それぞれ独立した章がある。

第III部 セルフ・コントロール:1975〜88年(第11〜12章:意志の力? 問題なし/プランナーとドゥーアー)、続いて間奏(第13章:現実世界での「行動の誤り」)

セルフ・コントロールの章は、人々が現在に置く過大な重み(現在バイアス)と、一人の人間の中にいる先を見通すプランナーと近視眼的なドゥーアーというセイラーのモデルを扱う。間奏の章「現実世界での『行動の誤り』」が、本書のこの区切りを締めくくる。

第IV部 ダニーとの共同研究:1984〜85年(第14〜16章:何が公正に見えるか?/公正さのゲーム/マグカップ)

この部は、セイラーとダニエル・カーネマンとの共同研究を扱う。章題が示すテーマは、公正さの認識とそれを研究するためのゲームであり、そのあとに「マグカップ」と題する章が続く。

第V部 経済学界との対決:1986〜94年(第17〜20章:論争の始まり/アノマリー/チームの結成/アッパー・イースト・サイドでの狭いフレーミング)

ここで本書は、主流派の経済学者たちとの論争に移る。モイの書評は、初期の行動経済学者が直面した二つの反論をまとめている。人々は最適な計算ができるかのように行動するというミルトン・フリードマンの「あたかも」論と、賭け金の小さい誤りは重要ではないという主張である。

第VI部 ファイナンス:1983〜2003年(第21〜26章:美人投票/株式市場は過剰反応するか?/過剰反応への反応/価格は正しくない/クローズドエンド型ファンドをめぐる戦い/ショウジョウバエ、氷山、マイナスの株価)

6章からなるこの部は、専門家が価格の誤りを利用して解消すると期待されていた金融市場へと議論を広げる。モイによれば、セイラーはアンドレイ・シュライファー、ハーシュ・シェフリン、シュロモ・ベナルツィらの同僚と協力し、市場の専門家も素人と同じ種類の行動上の誤りを犯すと結論づけた。

第VII部 シカゴへようこそ:1995年〜現在(第27〜30章:ロースクール/研究室/フットボール/ゲーム番組)

シカゴ大学を舞台に、この部は行動分析をさまざまな場面に応用する。モイは、ナショナル・フットボール・リーグのチームがドラフト上位指名を過大評価していることを示したケイド・マッセイとの研究、選択が期待効用理論と矛盾するゲーム番組 Deal or No Deal の出場者に関する研究、そして新しい建物の研究室を誤った基準で選んだシカゴのビジネススクール教授たちの話を紹介している。

第VIII部 世の役に立つ:2004年〜現在(第31〜33章:明日はもっと貯蓄しよう/公の場へ/イギリスでのナッジ)、および結論:次は何か?

最後の部は政策に向かう。モイは退職貯蓄の例を紹介している。加入方式をオプトインからオプトアウトに切り替えること、そして給与の上昇に合わせて拠出額を引き上げるデフォルトである。この部はキャス・サンスティーンとの共著 Nudge に依拠し、イギリス政府によるナッジの活用で終わる。結論では、この分野の今後を展望する。

主要概念

第I〜III部:初期のアノマリー

  • 想定上は無関係な要因:合理的な選択には影響しないはずなのに実際には影響する、状況の特徴。
  • 保有効果:あるものを所有すると、それをより高く評価するようになること。
  • メンタル・アカウンティングと取引効用:お金を交換可能なものとしてではなく別々の勘定で扱うこと、そして取引そのものから満足や不満を得ること。
  • プランナーとドゥーアー:セルフ・コントロールを、長期的なプランナーと現在に集中するドゥーアーの葛藤としてとらえるモデル。

第IV〜V部:公正さと経済学界

  • 公正さ:何が公正かについての人々の判断。標準的な理論が無視する形で行動を制約する。
  • アノマリー:標準的な理論では説明できない実証的な規則性。
  • 「あたかも」論による擁護:人々が計算できなくてもモデルは最適化を仮定してよいというフリードマンの議論。本書はこれに異を唱える。

第VI〜VIII部:市場と政策

  • 過剰反応と価格の誤り:株価が本源的価値から乖離しうることを示す証拠。
  • ナッジ:デフォルトの選択肢などの選択の設計を工夫し、人々が自分の利益にかなう行動をとりやすくすること。
  • Save More Tomorrow(明日はもっと貯蓄しよう):将来の昇給に合わせて拠出額が自動的に上がる退職貯蓄の仕組み。

批判的分析

長所

  • 当事者が語る分野の歴史。 本書は、セイラー自身が確立に関わった考え方(保有効果、メンタル・アカウンティング、セルフ・コントロール、行動ファイナンス)を内側から描く。LSE Review of Books(2015年7月)のオリヴァーの書評は、内容は実質的であり、一般向け科学書によくある欠点、すなわち分野を矮小化したり誤って伝えたりすることはないと評価している。
  • 読みやすく記憶に残る。 モイは本書を楽しい旅と呼び、研究と人々の実際の行動の話を織り合わせる手腕を称賛している。第VII部の多様な事例と第VIII部の政策の話は、概念を覚えやすくしている。
  • 反論に真剣に向き合う。 第V部とファイナンスの章は、主流派からの反論(「あたかも」論、賭け金の小ささ、市場での裁定)と、それに対して集められた証拠を軸に構成されており、この分野がどのように受け入れられていったかを示している。

短所

  • 概説ではなく個人史。 オリヴァーは本書を、逸話で補われた個人的な知的歴史であり、アメリカとアメリカを拠点とするイスラエルの研究者が中心だと述べる。モーリス・アレに触れず、ロバート・サグデンとグレアム・ルームズの研究や、エルンスト・フェールらヨーロッパ大陸の研究者の仕事も取り上げていないと指摘する。学生は本書を、誰がこの分野を築いたかの完全な記録として受け取るべきではない。
  • アノマリーが生じる理由やナッジの倫理についての議論が少ない。 オリヴァーは、本書が現象の説明にあまり重きを置かず、期待効用を規範的な理想として保持し、操作だという批判への応答が短すぎると論じる。
  • 形式的な扱いはない。 一般読者向けの本として、考え方を物語で説明し、モデルや演習問題はない。
  • 2015年で止まっている。 物語は、セイラーの2017年のノーベル賞受賞や、その後のこの分野をめぐる議論より前で終わる。

コースにおける位置づけ

Misbehaving とミシェル・バデリーの Behavioural Economics: A Very Short Introduction は、このコースにある二冊の一般読者向けの本であり、互いに補い合う。バデリーはテーマ別に分野を整理し、セイラーがあまり触れない領域(社会的影響、性格と感情、行動マクロ経済学)も扱う。一方セイラーは、中核的な考え方がどのように発見され、擁護されてきたかを示す。地図としてバデリーを、歴史としてセイラーを読むとよく、順序はどちらでもかまわない。

リストにある学部向け教科書、エドワード・カートライトの Behavioral Economics とウィルキンソンとクラースの An Introduction to Behavioral Economics は、メンタル・アカウンティング、現在バイアス、プロスペクト理論など、セイラーが描く考え方の背後にあるモデルを示す。彼が語る論文の多くは、カメラー、ローウェンスタイン、ラビン編の Advances in Behavioral Economics に収められた文献群に属し、サンジット・ダーミの大学院レベルの The Foundations of Behavioral Economic Analysis で形式的に扱われている。オリヴァーの書評は、心理学の側面についてはダニエル・カーネマンの Thinking, Fast and Slow と併せて読むことを勧めている。

本書の使い方

本書は一般読者向けに書かれており、経済学の知識は必要ない。行動経済学の授業の前や開始直後の学生、行動ファイナンスに関心のあるファイナンスの学生、ナッジの政策利用に関心のある人に向いている。

推奨する読み方:

  • 背景知識として通読する: 授業の最初の数週間に通して読む。章は短く、年代順の構成によって、一つの発見がどのように次の発見につながったかがわかる。
  • テーマ別に読む: メンタル・アカウンティングとセルフ・コントロールは第II〜III部、行動ファイナンスは第VI部、ナッジと政策は第VIII部。それぞれ教科書の対応する章と並行して読む。
  • 批判的に読む: オリヴァーの指摘を念頭に置く。ある章が発見の功績を記している場合は、教科書やサーベイ文献で他の貢献者も確認し、ナッジの章を選択設計の倫理を議論する出発点として使うとよい。

各部で紹介されるアノマリーと実験の一覧を作り、授業でそのテーマが出てきたときに、セイラーと共著者によるものが多い原論文を調べるとよい。