01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Todaro, M. P., & Smith, S. C. (2020). Economic Development (13th ed.). Pearson.
章の要約
第13版は15章、約930ページである。Pearsonは、必要な理論、開発を動かす政策課題、近年の研究を完全かつバランスよく紹介する本だと説明しており、政策志向の立場から、経済理論を政策論争や国別の事例研究の文脈の中で示している。いくつかの章題には「理論と政策」「事例と政策」「論争と好機」といった副題が付いており、この立場を示している。目次は部に分けられていない。
第1〜2章:経済開発入門:グローバルな視点、比較経済開発
冒頭の2章は、経済開発とは何かを述べ、グローバルな視点から途上国を見渡し、続いてそれらの経済を互いに、また豊かな国々と比較する。
第3〜4章:経済成長と開発の古典的理論、開発と低開発の現代的モデル
理論を扱う2つの章である。まず成長と開発の古典的理論、次に開発と低開発に関するより新しいモデルが示される。このため理論は早い位置にあり、個別の主題を扱う章の前に置かれている。
第5〜6章:貧困・不平等と開発、人口増加と経済開発:原因・帰結・論争
第5章は開発との関係における貧困と不平等を扱う。第6章は人口増加を扱い、副題からは、原因と帰結だけでなく、それをめぐる論争も含まれていることがわかる。
第7〜10章:都市化と農村から都市への移動:理論と政策、人的資本:経済開発における教育と保健、農業の変革と農村開発、環境と開発
部門と資源に関する一連の章である。都市と人口移動、人的資本としての教育と保健、農業と農村経済の変革、そして開発と環境の関係が取り上げられる。
第11〜15章:開発政策の立案と市場・国家・市民社会の役割、国際貿易理論と開発戦略、国際収支・債務・金融危機と持続可能な回復:事例と政策、外国資金・投資・援助・紛争:論争と好機、開発のための金融と財政政策
最後の5章は政策と国際経済に向かう。第11章は、開発において誰が何をすべきか、つまり市場、国家、市民社会の役割を考える。続く章は、貿易理論と開発戦略、国際収支、債務と金融危機、外国資金と援助、そして最後に開発のための公共財政と財政政策を扱う。
主要概念
基礎と理論(第1〜4章)
- 比較開発:途上国の経験を互いに、また豊かな経済と照らし合わせること。
- 成長と開発の古典的理論:成長と開発を説明するための、より早い時期の分析枠組み。
- 低開発のモデル:開発と低開発がどのように生じるかについての、より新しいモデル。
福祉と部門(第5〜10章)
- 貧困と不平等:所得分配と貧困の程度が開発とどう関係するか。
- 人口増加:原因、帰結、論争。
- 農村から都市への移動:農村と都市の間の人の移動で、理論と政策の両面から論じられる。
- 人的資本:開発を支える投資としての教育と保健。
- 農業の変革:開発が進む中での農業と農村経済の変化。
- 環境と開発:経済開発と環境上の制約との関連。
政策と国際経済(第11〜15章)
- 市場・国家・市民社会:開発政策の立案における役割分担。
- 貿易理論と開発戦略:貿易への開放度と国の開発戦略との関係。
- 国際収支・債務・金融危機:対外的な制約と、持続可能な回復のための政策。
- 外国資金・投資・援助・紛争:外部資源がもたらす好機と論争。
- 開発のための財政政策:開発の手段としての課税、公共支出、資金調達。
批判的分析
長所
- 幅広くバランスのとれた範囲。 15章が、成長理論、貧困、人口、都市、教育と保健、農業、環境、貿易、債務、援助、財政政策をカバーする。Pearsonはこれを完全でバランスのとれた入門と位置づけており、一般的な開発の授業の単一の主教科書に向く。
- 構成に表れた政策志向。 Pearsonは、理論が政策論争と国別事例の中に置かれていると述べており、章題は繰り返し政策、事例、論争に言及している。そのため読者は、理論が実践とどう出会うかに目を向けるよう導かれる。
- 定期的な改訂。 第13版であることは、教科書として長く使われてきたことを示しており、Pearsonは紙の本と電子教科書の両方を販売している。
短所
- 深さより広さ。 これほど幅の広い概説では、各主題に割ける紙幅が限られ、協調、不平等、農村市場についての形式的なモデルを求める読者は、より専門的な教科書が必要になる。
- 分量。 約930ページで部にも分かれておらず、1つの授業が扱える範囲を超えている。目次は推奨される読み順も示していないので、教員も読者も章を選ぶ必要がある。
コースにおける位置づけ
Todaro と Smith は、開発経済学の書目のなかで、幅広く政策志向の学部向け教科書である。Ian Goldin の Development: A Very Short Introduction は、開発とは何か、どのように起こるのかを問う短い入門で、この大部な本の前に読むのに適している。Banerjee と Duflo の Poor Economics は、無作為化されたフィールド実験に基づいて貧しい世帯がどう意思決定するかを語る一般読者向けの本で、第5・6・8章と併せて読むのによい。
Debraj Ray の Development Economics は理論志向の代替であり、歴史と期待、調整の失敗、不完備市場、不平等と成長の相互作用を軸に単純な形式モデルを組み立て、これらの主題を、より広い概説の一部としてではなく本書全体の組織原理としている。大学院向けには、Bardhan と Udry の Development Microeconomics が貧しい経済のミクロ経済理論を扱う簡潔な教科書であり、De Janvry と Sadoulet の Development Economics: Theory and Practice は理論、証拠、政策の設計を結びつける大学院水準の教科書である。
本書の使い方
Pearsonの紹介には前提知識が記されていない。経済学の入門科目が妥当な出発点であり、政策志向で事例に基づく叙述からは、高度な技術的訓練のない学生に読まれることを想定した本だと考えられる。経済学、国際関係、公共政策などの学部生に向く。
実際的な進め方は次のとおりである。
- 中核: 第1〜5章が枠組み、主要な理論、そして貧困と不平等への中心的な関心を与える。
- 関心に応じて選ぶ: 第6〜10章は人口、都市、人的資本、農業、環境を扱う。授業やプロジェクトに合うものを選ぶ。
- 政策と国際経済: 第11〜15章は政策や国際面に重点を置く授業向けで、特に市場・国家・市民社会の役割を扱う第11章が重要である。
国別の事例研究は理論が試される場として扱い、国どうしで比較する。実証の数字は古くなるので、結論を出す前に主要な数値を最新のデータで更新する。本書を Ray や Bardhan と Udry の本と組み合わせる場合は、政策の背景を Todaro と Smith で、その背後にあるモデルをより専門的な本で学ぶとよい。
