索引 / 001 JA
Law for Business Students(ビジネスを学ぶ学生のための法学) cover

ビジネス

ビジネス

Law for Business Students(ビジネスを学ぶ学生のための法学)

Alix Adams; Stephanie Caplan; Graeme Lockwood

英語原題: Law for Business Students

法学部生ではなく経営学を学ぶ学生のために書かれた、イングランド法の入門教科書である。法制度と、契約、消費者保護、過失、雇用、企業組織など企業が日常的に関わる法分野を、身近な例、判例、各ルールを当てはめる短い問いを使って説明する。

前提知識: 法学の学習経験は必要ない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
business lawcontract lawcompany lawemployment law教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Adams, A., Caplan, S., & Lockwood, G. (2026). Law for Business Students (13th ed.). Pearson.

章の要約

第13版は全26章、約720ページのペーパーバックである。出版社は本書を、法学の学位を目指していない学生のために書かれた教科書と位置づけ、実際の判例を用いてビジネス法がどのように機能するかを示すとしている。また、この版は全面的に改訂され、とくに雇用法を中心とした人工知能が法に与える影響、雇用権利法案(Employment Rights Bill)を含む近年の立法改革、会社法の改正に注意を払ったと説明している。章立ては第12版と同じで、第12版では各章が六つの部にまとめられていた。以下の要約もその区分に従う。

第1–4章:学習スキル/法の性質/法はどのように作られるか/法的紛争の解決

本書は、法の内容に入る前に学習スキルの章から始まる。続いて、法とは何か、法はどこから生まれるのか(立法と裁判所)、紛争はどのように解決されるのかを説明する。これらの章は、本書の残りの部分が前提とする用語と法制度の全体像を与える。

第5–6章:契約法――申込みと承諾/契約法――約因、意思、契約の相対性

契約法は契約の成立から始まる。申込みと承諾によって合意がどのように成立するか、そして拘束力のある契約に必要な追加の要素である約因と法的関係を創設する意思を扱い、契約を履行請求できる者を限定する契約の相対性(privity)の法理にも触れる。

第7–8章:コモン・ロー上の契約条項/物品売買およびサービス契約における制定法上の条項

契約の内容を扱う二つの章である。まずコモン・ローが認める契約条項を、次に制定法が物品の売買やサービスの提供に関する契約に黙示的に組み込む条項を取り上げる。後者は消費者取引と商取引の売買が規制される領域である。

第9–10章:契約の瑕疵――不実表示、錯誤、強迫、不当威圧/違法性と行為能力の欠如がもたらす結果

これらの章は、初めから欠陥を抱えた契約を扱う。不実表示によって誘引された契約、錯誤のもとで結ばれた契約、強迫や不当威圧によって得られた契約、そして違法性や当事者の行為能力の欠如の影響を受ける契約である。

第11–12章:契約の終了と契約違反に対する救済/代理法

契約法の部分は、契約上の義務がどのように終了するか、そして契約が破られたときにどのような救済が得られるかで締めくくられる。第12章は代理を扱う。代理とは、ある者が他者に代わって契約を結ぶ関係であり、企業が実際に契約を結ぶ仕組みの中心にある。

第13–16章:過失不法行為/過失と特別な注意義務の状況/製造物責任/占有者責任、ニューサンス、使用者責任

不法行為に関する四つの章である。過失は二つの章に分けられ、まず一般的な過失不法行為を、次に注意義務について特別な扱いが必要となる状況を論じる。この再構成は第12版で導入されたもので、同版では製造物責任にも独立した章が与えられた。第16章は、建物等の占有者の責任、ニューサンス、そして従業員の不法行為について使用者に責任を負わせる使用者責任(代位責任)を扱う。

第17–19章:職場における権利

雇用法は「職場における権利」として三つの章で示される。雇用契約と職場の安全衛生、雇用における差別からの保護、そして違法解雇・不公正解雇・剰員整理解雇(リダンダンシー)による雇用終了からの保護である。出版社が第13版で最も大きく改訂した分野として挙げているのがこの領域である。

第20–24章:事業組織から会社の総会まで

会社法の入門は、事業が取りうる形態の比較から始まり、続いて登録会社の一生をたどる。会社の設立(第21章)、資本の調達と維持(第22章)、経営とガバナンスにおける取締役・会社秘書役・監査人の役割(第23章)、そして会社の総会、株主の参加、少数株主の保護(第24章)である。

第25–26章:制定法による知的財産の保護/コモン・ローによる知的財産の保護

本書は知的財産で終わる。著作権、意匠、特許、商標という制定法上の権利を扱い、次にパッシング・オフ、悪意ある虚偽表示、守秘義務違反というコモン・ロー上の保護を扱う。

主要概念

第1–4章:法制度

  • 法源:法がつくられる道筋、すなわち立法と裁判所の判断。
  • 紛争解決:法的紛争が解決される経路。第4章の主題である。

第5–12章:契約と代理

  • 申込みと承諾:確定的な申込みと無条件の承諾が一致して合意が成立すること。
  • 約因と意思:合意を履行可能な契約に変える、価値の交換と法的に拘束される意思。
  • 契約の相対性:原則として、契約の当事者だけが契約を履行請求できるという原則。
  • 不実表示、錯誤、強迫、不当威圧:契約を取り消しうるもの、または無効にしうる瑕疵。
  • 代理:代理人が本人を第三者との契約に拘束できる関係。

第13–16章:不法行為

  • 過失:注意義務に違反し損害を生じさせた不注意な行為に対する責任。
  • 製造物責任:欠陥のある製品によって生じた損害に対する責任。
  • 使用者責任:従業員が職務の過程で犯した不法行為について使用者が負う責任。

第17–19章:雇用

  • 雇用契約:雇用関係を定める合意と、それに重なる制定法上の規律。
  • 不公正解雇と違法解雇:剰員整理解雇を含め、不適切な雇用終了から労働者を守る制定法上・契約上の保護。

第20–26章:会社と知的財産

  • 登録会社:登録によって設立され、独自の資本規制とガバナンスをもつ事業形態。
  • 少数株主の保護:会社の意思決定を支配できない株主を守る法的な仕組み。
  • パッシング・オフ:競業者による誤認表示から事業の信用(グッドウィル)を守るコモン・ロー上の訴権。

批判的分析

長所

  • 法律家でない読者のための設計。 出版社は本書を、法学の学位を取らない学生のために書かれたものとし、中心となる概念をわかりやすく説明し、ビジネスとの関連で選んだ実際の判例で例示するとしている。その目的は、法理をそれ自体として習得することではなく、読者が法的論点を見つけ、ビジネスの場面に規則を当てはめられるようにすることだと述べられている。
  • 本文に組み込まれた学習支援。 本書は学習スキルを扱う独立した章から始まり、出版社は繰り返し登場する要素として、シナリオ、「考えてみる価値のあること(worth thinking about)」という討論のポイント、試験のヒント、章のまとめ、余白に示される重要用語、付録に概略解答のある復習問題、発展問題を挙げている。他のビジネス科目と並行して受講する最初の法学科目にとって、この支援は実際的な利点である。
  • ビジネスに関わる法の広い範囲。 法制度、契約、代理、不法行為、雇用、会社法、知的財産を一冊で扱っている。
  • 最新の法状況。 第13版は、雇用権利法案、会社法の改正、人工知能が法に与える影響など近年の動向に合わせて改訂されたと説明されており、雇用のように変化の速い分野では重要である。

短所

  • イングランド法であること。 判例、制定法、制度はイングランドの法制度のものである。他の法域の学生には現地の資料が必要であり、本書は国際ビジネス法や比較ビジネス法の案内書ではない。
  • 会社法は入門的な深さにとどまる。 会社法は本書の最後の五つの章を占める。ガバナンスや取締役の義務は広い概観の一部として扱われており、会社法やコーポレート・ガバナンスの専門科目が求める深さには達していない。
  • 変化する法。 この版は執筆時点でまだ法案だった立法を追っているため、読者は、その後の改革(とくに雇用法)によって本書の説明する規則が変わっていないかを確認する必要がある。

コースにおける位置づけ

このコースにおいて本書は、ビジネスを学ぶ学生向けにイングランド法を概観する二冊の入門書の一つである。Marson と Ferris の Business Law は、同じ読者に向けて似た範囲(法制度、契約、過失、雇用、事業組織)を扱っている。どちらも最初の科目の主教材になりうるし、難しいテーマについては一方をもう一つの説明として使うと役に立つことが多い。Clarkson と Miller の Business Law: Text and Cases はアメリカ法の大部なケースブック型教科書であり、アメリカ法を学ぶ学生や比較をしたい読者にとってのみ有用である。

残りの本は、会社法の部分をさらに先へ進める。Mallin の Corporate Governance は、第23–24章のガバナンスの主題(取締役会、株主、ガバナンス・コード、国際比較)を発展させる。Gower Principles of Modern Company Law はイギリス会社法の包括的な体系書であり、専門的に学ぶ者にとって第20–24章の次の自然な一歩となる。Micheler の Company Law: A Real Entity Theory は法人格についての理論的研究であり、最初の科目よりも、後の研究志向の学習に向いている。

本書の使い方

本書は、必修の法学科目を履修するビジネス・経営・会計の1年生や、イングランドのビジネス法が求められる職業資格の道を進む人に適している。法学の予備知識は必要ない。

実際的な読み方は次のとおりである。

  • 第1–4章から始める。 早く契約に進みたい学生も、法がどのように作られ、紛争がどのように解決されるかを扱う章は読んでおくべきである。後の章は立法と判例法の区別に依拠しているからである。学習スキルを扱う第1章は、最初の評価課題の前に読む価値がある。
  • 多くの科目で中心となる部分: 契約に関する第5–11章を順に読む。成立、条項、瑕疵、救済は互いに積み重なっているからである。企業が従業員や代理人を通じてどのように契約するかを科目が扱う場合は、代理に関する第12章を加える。
  • シラバスに応じて選ぶ: 不法行為(第13–16章)、雇用(第17–19章)、会社法(第20–24章)は、それぞれ独立したまとまりである。知的財産(第25–26章)は選択扱いになることが多いが、マーケティング、テクノロジー、クリエイティブ産業に進む学生には役に立つ。

シナリオと復習問題には書いて取り組み、法的論点、規則、その事実への当てはめを示すようにする。付録の概略解答と比べるのは、自分で解いてからにする。復習の際には試験のヒントを活用する。雇用法と会社法は版と版のあいだにも変わる分野なので、試験の前に最新の資料で現在の法状況を確認する。