01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Porter, M. E. (1998). Competitive Strategy: Techniques for Analyzing Industries and Competitors. Free Press. (Original work published 1980.)
章の要約
1998年の Free Press 版は、3つの部に分かれた16章と2つの付録からなり、約430ページである。前付には、序文、はしがき、1980年版の序文が並んでいる。図書館の目録の記述は、本書を、産業全体を分析してその進化を予測し、競合他社と自社の位置を理解するための分析手法の枠組みと説明している。出版社の紹介は、これに加えて、全体が5つの競争要因と3つの基本戦略に基づいていると述べる。
第1〜2章:産業の構造分析;基本戦略
第1部「一般的な分析手法」は産業構造から始まる。競争の強さを決める構造的要因、構造分析が競争戦略にどう役立つか、そして産業をどう定義するか。第2章は、3つの基本戦略、「どっちつかず」に陥ること、各戦略のリスクを示す。
第3〜5章:競合分析の枠組み;市場シグナル;競争上の動き
競合他社を扱う3章。第3章は、競合分析の構成要素、競合の反応プロファイル、産業予測との関係、競合情報システムの必要性を示す。第4章は、市場シグナルの種類と、シグナルの特定における歴史の使い方を扱い、シグナルへの注目が妨げになりうるかを問う。第5章は、産業の不安定性、競争上の動き、コミットメント、焦点、情報と秘密を論じる。
第6〜8章:買い手と供給業者に対する戦略;産業内部の構造分析;産業の進化
第6章は買い手の選択と購買戦略を扱う。第7章は産業の内部に進み、戦略グループ、戦略グループと企業の収益性の関係、分析ツールとしての戦略グループ・マップを扱う。第8章は、産業の進化に関する基本概念、進化の過程、主要な関係を紹介する。
第9〜13章:分散産業の競争戦略;新興産業の競争戦略;産業の成熟への移行;衰退産業の競争戦略;グローバル産業における競争
第2部「典型的な産業環境」は、分析を5つの状況に応用する。分散産業、新興産業、成熟産業、衰退産業、グローバル産業である。各章は、その状況の構造的特徴、選択できる戦略、落とし穴を検討し、分散の克服、新興産業の予測手法、衰退への備えといった主題を含む。
第14〜16章:垂直統合の戦略分析;生産能力の拡張;新規事業への参入
第3部「戦略的意思決定」は、3つの意思決定を検討する。垂直統合の利点とコスト(長期契約や統合の意思決定における錯覚を含む)、生産能力拡張の要素と過剰投資の原因(先制戦略を含む)、そして内部開発、買収、段階的参入による新規事業への参入である。
付録A〜B:競合分析におけるポートフォリオ手法;産業分析の進め方
付録は、ポートフォリオ手法と、産業分析を実際に行うための実用的な手引きを加えている。
主要概念
第1〜2章:産業構造と基本戦略
- 産業の構造分析:産業構造から競争の強さを説明すること。出版社はこれを5つの基本的な競争要因として提示している。
- 基本競争戦略:3つのポジションで、出版社は、最低コスト、差別化、集中と説明している。
- どっちつかず:どの基本戦略も明確に追求しないことのリスク。
第3〜8章:競合、シグナル、産業のダイナミクス
- 競合の反応プロファイル:競合分析の4つの構成要素を合わせて得られる、競合他社の姿。
- 市場シグナルと競争上の動き:企業が互いの行動をどう読み取るか。
- 戦略グループ:1つの産業内で似た戦略をとる企業の集まり。
- 産業の進化:産業が時間とともにどう変化するか。
第9〜16章:産業環境と戦略的意思決定
- 分散、新興、成熟、衰退、グローバルの各産業:第2部の5つの状況。
- 垂直統合、生産能力の拡張、参入:第3部の3つの意思決定。
批判的分析
長所
- 使うために組み立てられた道具箱。 第1部が分析手法を示し、第2部がそれを5つの産業状況に、第3部が3つの戦略的意思決定に応用する。付録Bは産業分析の実用的な手引きである。
- 細かな構成。 各章の下の節見出しによって、競合の反応プロファイルや戦略グループ・マップなど、特定の手法を直接見つけることができる。
- 産業分析だけでなく競合分析も。 4つの章(第3〜5章と第7章)が競合他社と戦略グループを扱っているので、本書は5つの競争要因だけの本ではない。
- 選んで読める。 第2部のライフサイクルに沿った各章は、研究対象の産業に応じて個別に読める。
短所
- 1980年の本文。 本文は1980年に書かれたものである。ここで取り上げた版では前付に序文が加えられているが、グローバル競争や新興産業などの章はその時代を反映しており、その後の技術やプラットフォーム市場の展開は目次にない。
- 物語ではなく参考書。 本書は一連の手法として構成され、それぞれに節がある。戦略の予備知識がない読者には、密度が高く感じられるかもしれない。
- 産業を先に見る視点。 目次は産業構造、競合、戦略グループを中心とし、優位の源泉としての企業の資源や能力に関する章はない。
- 事例は含まれない。 事例は別の本 Cases in Competitive Strategy にあり、図書館目録の記録はその刊行を1983年としている。応用例は別に探す必要がある。
コースにおける位置づけ
本書は、この戦略コースにおける産業分析と競合分析の一次文献である。Joan Magretta の Understanding Michael Porter は、Porter の協力を得て書かれた簡潔な手引きで、5つの競争要因、競争優位、バリューチェーンを凝縮している。Porter 自身の本の前にも、併読にも向く。Richard Rumelt の Good Strategy Bad Strategy は、一貫した戦略が何を含むかを論じたもので、一般読者と学生に向けて書かれている。
幅を求めるなら、Exploring Strategy が産業・セクター分析を多くの主題の1つとして扱い、分析の深さを求めるなら、Robert Grant の Contemporary Strategy Analysis が経済学と資源ベース・ビューを土台に分析を組み立てる。Besanko、Dranove、Shanley、Schaefer の Economics of Strategy は、産業組織論とゲーム理論を形式的に扱い、経済学的な基礎を求める読者が次に進む本である。
本書の使い方
本書は、戦略を学ぶ MBA の学生と上級の学部生、5つの競争要因と基本戦略の枠組みの原典を求めるマネジャーとコンサルタント、そして産業組織論が企業にどう応用されるかに関心のある経済学の読者に向いている。正式な前提条件はないが、ミクロ経済学の基礎があると助けになる。
実践的な読み方は次のとおり。
- 最初に: 第1章と第2章、そして付録B。
- 競合: 第3〜5章、続いて戦略グループの第7章。
- 選択的に: 第9〜13章は産業のタイプに応じて、第14〜16章は対応する意思決定のために。
- 併せて: Porter が2008年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』に発表した論文「The Five Competitive Forces That Shape Strategy」。これらの要因をより短い形で述べ直している。
実在の産業を1つ選び、付録Bを使って自分で分析を行い、その結果を各章と比べるとよい。
