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Biodesign: The Process of Innovating Medical Technologies(バイオデザイン:医療技術を革新するプロセス) cover

生体医工学

生体医工学

Biodesign: The Process of Innovating Medical Technologies(バイオデザイン:医療技術を革新するプロセス)

Paul G. Yock; Stefanos Zenios; Josh Makower; Todd J. Brinton; Uday N. Kumar; F. T. Jay Watkins; Lyn Denend; Thomas M. Krummel; Christine Q. Kurihara (editors)

英語原題: Biodesign: The Process of Innovating Medical Technologies

医療技術を発明して患者に届けるまでをプロセスとして示す手引き。臨床ニーズの発見と選別、コンセプトの創出と選択、そして開発・規制・償還・事業・資金調達の戦略を通じた実装という三つの段階で構成され、各段階を実際の機器開発プロジェクトの事例と実践的なワークシートで説明する。

前提知識: 特定の技術的な前提はない。工学、医学、経営のいずれかの背景と臨床現場への接触経験があると、プロセスを自分のプロジェクトに適用しやすい。

難易度レベル
中級
学術レベル
大学院
medical device designbiodesignneeds findinginnovationregulatory affairs教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Yock, P. G., Zenios, S., Makower, J., Brinton, T. J., Kumar, U. N., Watkins, F. T. J., Denend, L., Krummel, T. M., & Kurihara, C. Q. (Eds.). (2015). Biodesign: The Process of Innovating Medical Technologies (2nd ed.). Cambridge University Press.

章の要約

本書は分野別ではなくプロセスを軸に構成されている。Identify(特定)、Invent(発明)、Implement(実装)の3部に6つの番号付きステージがあり、各ステージは短い番号付きの節(1.1、1.2など)に分かれ、ケーススタディで締めくくられる。米国議会図書館の目次注記には、この版の序文の3つのテーマとして、価値への着目、グローバルな視点、プロセスに関する洞察が挙げられている。出版社によれば、この版は産業のグローバル化と価値を重視する医療に合わせて書き直され、医学・工学・ビジネスの専門家チームが執筆している。紙の本は長く、議会図書館の記録では839ページ、出版社のデータでは952ページである。

第I部 Identify:ステージ1 Needs Finding(ニーズの発見)

ステージ1は3つの節からなる。Strategic focus(戦略的焦点)、Needs exploration(ニーズの探索)、Need statement development(ニーズ記述の作成)である。戦略的焦点を決めることから始まり、ニーズの探索を経て、ニーズ記述を書くところまで進み、最後にケーススタディが置かれる。

第I部 Identify:ステージ2 Needs Screening(ニーズのスクリーニング)

ステージ2はニーズの候補を絞り込む。節は Disease state fundamentals(疾患状態の基礎)、Existing solutions(既存の解決策)、Stakeholder analysis(ステークホルダー分析)、Market analysis(市場分析)、Needs selection(ニーズの選択)で、同じくケーススタディで終わる。題名から、1つのニーズを選ぶ前に、臨床状況、既存の代替手段、関係者、市場に照らして評価することが分かる。

第II部 Invent:ステージ3 Concept Generation(コンセプト創出)

ステージ3には Ideation(着想)と Initial concept selection(初期コンセプトの選択)があり、ケーススタディが付く。節の数は全ステージの中で最も少ない。

第II部 Invent:ステージ4 Concept Screening(コンセプトのスクリーニング)

ステージ4は、1つのコンセプトを選ぶ前に、現実的な制約に照らして各コンセプトを検証する。節は Intellectual property basics(知的財産の基礎)、Regulatory basics(規制の基礎)、Reimbursement basics(償還の基礎)、Business models(ビジネスモデル)、Concept exploration and testing(コンセプトの探索と検証)、Final concept selection(最終コンセプトの選択)で、その後にケーススタディが続く。

第III部 Implement:ステージ5 Strategy Development(戦略の策定)

ステージ5は最大で、9つの節がある。IP strategy(知財戦略)、R&D strategy(研究開発戦略)、Clinical strategy(臨床戦略)、Regulatory strategy(規制戦略)、Quality management(品質管理)、Reimbursement strategy(償還戦略)、Marketing and stakeholder strategy(マーケティングとステークホルダー戦略)、Sales and distribution strategy(販売・流通戦略)、Competitive advantage and business strategy(競争優位と事業戦略)で、その後にケーススタディがある。節の題名はステージ4の話題(知的財産、規制、償還)を繰り返しているが、ここでは選別の基準ではなく、実行すべき戦略として扱われている。

第III部 Implement:ステージ6 Business Planning(事業計画)

最後のステージには、Operating plan and financial model(運営計画と財務モデル)、Strategy integration and communication(戦略の統合と伝達)、Funding approaches(資金調達の方法)、Alternate pathways(代替ルート)があり、ケーススタディが付く。巻末には、執筆チームの紹介、図版クレジット、用語集、索引が続く。

主要概念

第I部:Identify(ステージ1〜2)

  • ニーズ記述:臨床上のニーズを文章にしたもの。ステージ1が目指す成果物である。
  • ニーズのスクリーニング:疾患状態、既存の解決策、ステークホルダー、市場に照らして候補のニーズを判断すること。

第II部:Invent(ステージ3〜4)

  • コンセプトのスクリーニング:1つを選ぶ前に、知的財産、規制、償還の基礎とビジネスモデルに照らしてコンセプトを検証すること。

第III部:Implement(ステージ5〜6)

  • 戦略の策定:知財、研究開発、臨床、規制、品質、償還、マーケティング、販売、競争の各戦略。
  • 事業計画:運営計画と財務モデル、資金調達の方法、代替ルート。

批判的分析

長所

  • 使いやすい順序。 目次はニーズからコンセプト、事業計画までの順序を明示しており、チームは自分の現在地と次の段階を把握できる。出版社が紹介する各章末の「Getting Started」は、各回の学びを読者自身のプロジェクトでの行動に結びつけるためのものである。
  • 分野横断の広さ。 出版社は医学・工学・ビジネスの専門家が執筆していることを強調しており、節の題名は臨床ニーズ、知的財産、規制、償還、品質、マーケティング、販売、資金調達にわたる。
  • 各ステージの終わりにケーススタディ。 目次には6つのステージそれぞれにケーススタディが挙がっており、出版社によれば世界各地の製品を扱い、成功例も失敗例も含む。
  • 補助資料。 出版社は、この版のために作られた100本近い動画、外部サイトへのリンク、補足の付録、付属ウェブサイトを挙げており、電子書籍の中からアクセスできる。

短所

  • 工学の教科書ではなくプロセスの本である。 目次には工学的な設計手法や技術的な解析に充てられた節が見当たらず、紹介文も特定、スクリーニング、戦略を強調している。工学設計の手法が必要な読者は別の本で補う必要がある。
  • スタートアップと事業化の路線に傾いている。 各ステージは事業計画、資金調達、代替ルートで終わるため、製品を市場に出そうとするチームに最も役立つ。事業化を意図しない学生プロジェクトでは、一部しか使わないだろう。
  • 分量。 800ページを超え、オンライン資料も一式あるため、プロジェクトに合う部分を選ぶこと自体が作業の一部になる。

コースにおける位置づけ

機器設計の書目の中で、Biodesign はプロセスと事業化に重点を置く一冊である。Tranquillo、Goldberg、Allen の Biomedical Engineering Design も、チームが臨床ニーズを見つけて市場投入に備える過程を案内する学生向けの教科書で、プロセスとあわせて工学的手法も学びたい最初の設計科目にはこちらが近い。Ogrodnik の Medical Device Design は、欧州と米国に向けた分類規則、品質マネジメント規格、規制要件を加えている。一方 Biodesign は、規制や償還を基礎と戦略のレベルで扱う。

プロジェクトが正式な品質文書の段階に入ったら、Teixeira の Design Controls for the Medical Device Industry(米国FDAの品質システム規則とISO 13485)や Elahi の Safety Risk Management for Medical Devices(ISO 14971)が、Biodesign がステージ5の節として扱う話題(規制戦略、品質管理)を集中的に論じている。King、Fries、Johnson の Design of Biomedical Devices and Systems は、組み合わせて使える工学設計と規制の参考書である。

本書の使い方

Biodesign はチーム向けである。大学院やフェローシップのプログラム、卒業設計の授業、スタートアップの臨床医やエンジニア、起業家が対象となる。当サイトは技術的な前提知識を挙げていない。臨床現場に触れた経験と、工学またはビジネスの素養があると役立つ。

実際のプロジェクトと並行して、1ステージずつ読むとよい。ステージ1〜2(ニーズ)はどの読者にとっても中核で、ニーズの選択がその後のすべてを左右するため、学生チームは発明に取りかかる前にこの2つを終えるべきである。ステージ3〜4はアイデアから選ばれたコンセプトへ進む。ステージ5はテーマ別に引く参考部分で、知財・規制・償還の節は疑問が生じたときに読めばよい。ステージ6は事業計画を作るチーム向けである。各ステージの後にケーススタディを読み、自分の判断を実例と見比べ、「Getting Started」と付属ウェブサイトの資料を作業用のチェックリストとして使う。