01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
King, P. H., Fries, R. C., & Johnson, A. T. (2019). Design of Biomedical Devices and Systems (4th ed.). CRC Press.
章の要約
第4版は約540ページで、約24章と4つの付録(カイ二乗表、百分位順位表、40の発明原理と工学パラメータおよび矛盾マトリクス、用語集)からなる。出版社によれば、定評ある教科書の大幅な改訂版であり、生体医工学、生物工学、生物系工学、医療工学の最終学年のキャップストーン設計科目向けで、全章が更新された。目次は設計プロジェクトを最初の着想から製品まで追い、さらに規制、法律、ビジネスの文脈へと進む。出版社の一覧では第2章の題名がピリオドで区切られているので、以下ではそれが読めるとおりに引用する。
Introduction to Biomedical Engineering Design(生体医工学設計への序論);Fundamental Idea Generation Techniques, Process Analysis Tools, and Evaluation Methods(基本的なアイデア創出技法、プロセス分析ツール、評価方法);Design Team Management, Reporting, and Documentation(設計チームの管理、報告、文書化)
本書は設計への序論で始まり、続いてアイデアを生み出し評価する方法とプロセスの分析、さらに設計チームの管理と文書化が扱われる。これらの章は、キャップストーンのチームが着手前に必要とする作業方法を提供する。出版社は、この版に「追求する価値のある」プロジェクトの発見と、資源の乏しい環境での医療のための設計に関する新しい内容があると付け加えている。
Product Definition(製品の定義);Product Documentation(製品の文書化);Product Development(製品開発)
3つの章がプロジェクトを、定義から文書化を経て開発へと導く。公開されている目次からは、3つの題名以上の詳細は分からない。
Hardware Development Methods and Tools(ハードウェア開発の方法とツール);Software Development Methods and Tools(ソフトウェア開発の方法とツール)
ハードウェアとソフトウェアの開発方法とツールに、それぞれ別の章が充てられている。
Human Factors(ヒューマンファクター);Industrial Design(工業デザイン);Biomaterials and Material Testing(生体材料と材料試験)
これらの章は、使用者と機器の物理的な形、機器に使われる材料とその試験を扱う。
Risk Analysis—Devices and Processes(リスク分析:機器とプロセス);Testing(試験);Analysis of Test Data(試験データの解析);Product Liability and Accident Investigations(製造物責任と事故調査)
このグループは、ハザードとリスクの分析、試験、試験データの解析(付録のカイ二乗表と百分位順位表は統計的な扱いがあることを示す)、そして製造物責任と事故調査の法的な側面を扱う。出版社は、本書が医療機器とプロセスの設計における安全と倫理の多くの問題を取り上げていると述べている。
The FDA and Devices(FDAと医療機器);FDA History and Relevant Non-Device Regulations(FDAの歴史と機器以外の関連規制);International Regulations and Standards(国際規制と規格)
規制に関する3章である。FDAの機器に関する規則、その歴史と設計者に関係する機器以外の規制、そして国際規制と規格を扱う。出版社は、関連するFDA規制とそれが設計者の仕事に及ぼす影響が、この版で更新されたと述べている。
Biological Engineering Designs(生物工学の設計)
生物系の設計に関する章で、この版に生物工学設計とCRISPRに関する新しい内容が加わったという出版社の注記と並ぶ。
Intellectual Property(知的財産);Manufacturing and Quality Control(製造と品質管理);Miscellaneous Issues(その他の問題);Professional Issues(職業上の問題);Concept to Product?(コンセプトから製品へ?)
最後の章は、特許、著作権、営業秘密、ライセンス、製造と品質管理、雑多な問題をまとめた章、職業上の問題、そしてコンセプトがどう製品になるのかを問う題名の最終章である。出版社は、この分野の起業の事例が複数あることを特徴の一つに挙げ、起業と臨床試験に関する新しい内容があると述べている。
主要概念
設計プロセスとチームワーク
- アイデア創出と評価の方法:アイデアを生み出し判断する技法と、プロセス分析ツール。
- 製品の定義、文書化、開発:プロジェクトを各段階へ導く章。
- 発明原理と矛盾マトリクス:40の発明原理、工学パラメータ、矛盾マトリクスに関する付録。設計上の矛盾を解くための道具である。
安全、試験、規制
- 機器とプロセスのリスク分析:独立した章がある。
- 試験データの解析:試験結果の統計的な取り扱い。カイ二乗表と百分位順位表が支える。
- FDA規制と国際規格:FDAと機器、FDAの歴史、国際規制と規格についての別々の章。
ビジネスと職業の文脈
- 知的財産:特許、著作権、営業秘密、ライセンス。
- 製造と品質管理、および製造物責任。
批判的分析
長所
- キャップストーン科目のために書かれている。 出版社は想定される用途を最終学年のキャップストーン設計科目と明示しており、目次はアイデア創出とチームワークから、開発、試験、規制、製造、職業実践へという科目の流れに沿っている。
- 規制、責任、知的財産がそろっている。 FDA、国際規格、製造物責任と事故調査、知的財産の章は、設計チームがプロジェクトの後半で出会う主題をまとめている。
- 業界と教育の経験を持つ著者。 著者紹介によれば、Paul King はヴァンダービルト大学の名誉教授で、医療機器業界で約35年にわたり教員・実務家を務めた。Richard Fries は1978年から医療機器設計者で、20を超える特許を持つ。Arthur Johnson はメリーランド大学の名誉教授で、医療機器とヒューマンファクターの科目を教えてきた。
- 新しい追加内容。 出版社は、この版の新しい内容として、起業、生物工学設計、臨床試験、CRISPR、3D印刷を含む例の追加、更新されたFDA規制、起業の事例を挙げている。
短所
- 深さより広さ。 ヒューマンファクターから特許まで約24章にわたる主題があるため、それぞれは入門的である。設計管理やリスクマネジメントを詳しく追う必要のあるチームには、専門の教科書が必要になる。
- 寄せ集めに見える章がある。 「その他の問題」や「職業上の問題」といった題名は、単一の筋ではなく話題の集まりであることを示唆する。
- 米国中心の規制。 FDAの章が2つあり、国際規制と規格の章は1つなので、規制の内容は米国寄りである。
- 章より下の公開情報が乏しい。 公開されている目次は章題のみで、統計、リスク、規制の各章がどこまで深いかは示されていない。
コースにおける位置づけ
King、Fries、Johnson は、キャップストーン科目の工学設計と規制の参考書である。Yock らの Biodesign はプロセスと事業化の相棒で、プロジェクトをニーズ、コンセプト、実装の段階に整理し、事業計画と資金調達で終わる。一方 King らは工学と規制の章に重点を置く。Tranquillo、Goldberg、Allen の Biomedical Engineering Design は、チームが臨床ニーズの発見から市場投入の準備まで進む全過程を案内する学生向けの教科書であり、Ogrodnik の Medical Device Design は、設計手法と、欧州と米国の分類規則、品質マネジメント規格、規制要件を組み合わせている。
この本のどの1章よりも深く掘り下げる専門書が2冊ある。Teixeira の Design Controls for the Medical Device Industry はFDAの品質システム規則とISO 13485の設計管理要件を解説し、Elahi の Safety Risk Management for Medical Devices はISO 14971を軸に構成されている。
本書の使い方
本書は、キャップストーン設計科目を履修する生体医工学、生物工学、生物系工学、医療工学の最終学年の学生と、医療機器業界に入るエンジニアのための本である。出版社は前提知識を示していない。一般的な工学の素養と、試験とデータ解析の章のための基礎的な統計が、妥当な準備である。
キャップストーン科目では、プロジェクトの開始時に最初の3章(序論、アイデア創出と評価、チーム管理と文書化)を読み、プロジェクトが進むにつれて製品の定義、文書化、開発の章を使う。ヒューマンファクター、リスク分析、試験、データ解析の章はプロジェクトの中盤に、FDA、国際規制、知的財産、製造の章は設計レビューの前に読む。最後の章は職業実践のための読み物として扱い、作業中は付録の表と用語集を参照用に使う。
