01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Held, D., McGrew, A., Goldblatt, D., & Perraton, J. (1999). Global Transformations: Politics, Economics and Culture. Polity.
章の要約
本書は約540ページで、序論、八つの主題別の章、結論、方法論の付録から構成される。出版社は、現代世界を作り変えつつある過程を明らかにする高く評価された研究として紹介している。当時、グローバル化をめぐる議論、およびそれが国民国家の終焉を意味するのかという議論は、しばしば「論争と混乱に陥っていた」。出版社はさらに、体系的・歴史的・比較的であり、政治、経済、文化、環境、軍事・法律の分野の変化を平明な言葉で扱うと説明している。節題から、主題別の章に共通する型が見える。多くは、ある領域の歴史を振り返り、その中でのグローバル化の歴史的諸形態を比較し、各国社会が現代のパターンにどのように「組み込まれて」(enmeshed)いるかを見る。
Introduction
序論は五つの節からなる。The Globalization Debate;Sources of Contention in the Globalization Debate;Rethinking Globalization: An Analytical Framework;Determining the Shape of Contemporary Globalization;The Book Ahead である。論争を整理し、後の章が用いる分析の枠組みを提案し、構成を予告する。
The Territorial State and Global Politics
この章は帝国から近代国民国家へ進み、グローバルな政治の出現、多層的ガバナンスと政治的権威の拡散を論じ、政治的グローバル化の歴史的諸形態(政治共同体の変容)を比較し、各国の組み込まれ方の違いを検討して、政治的グローバル化と構造的影響を述べて終わる。
The Expanding Reach of Organized Violence
軍事の章は、軍事的グローバル化とは何かを問い、戦争システムのグローバル化と世界軍事秩序をたどり、グローバルな軍備のダイナミクスを見て、歴史的諸形態を比較し、世界軍事秩序への各国の現代的な組み込まれ方を検討し、その政治的帰結で終わる。
Global Trade, Global Markets
この章は、貿易を古代から国民国家の成立まで、産業革命から第二次世界大戦までの世界貿易の興隆と衰退、そしてグローバルな貿易秩序までたどる。歴史的諸形態を比較し、グローバル貿易体制への各国の組み込まれ方とグローバルな貿易関係の影響を見て、国家の自律性と主権で結ばれる。
Shifting Patterns of Global Finance
金融の章は、金融グローバル化と組み込みの指標を示し、初期のパターン、古典的な金本位制の時代(1870〜1914年)、戦間期、ブレトンウッズ体制を経て、現代の金融グローバル化を描く。その後、歴史的諸形態を比較し、各国の組み込まれ方を検討し、経済的自律性と主権を論じる。
Corporate Power and Global Production Networks
ここで著者たちは、多国籍企業とグローバルな生産を論じる。産業革命以前の国際ビジネス、1850〜1939年の多国籍企業の拡張から、生産のトランスナショナル化とグローバルな生産ネットワークまでである。章は、ビジネスのグローバル化の歴史的諸形態、現代の組み込みのパターン、国内への影響を比較する。
People on the Move
移民の章は、グローバルな移民の歴史的諸形態、現代の移民のパターン、時期間の比較、移民と国家の組み込み、そしてグローバル化・移民・国民国家の関係を扱う。
Globalization, Culture and the Fate of Nations
この章は、文化のグローバル化を分析し、歴史的視点に置き、現代の文化的グローバル化の形とその政治的影響を述べ、歴史的諸形態をまとめる。
Catastrophe in the Making: Globalization and the Environment
環境の章は、歴史的視点での環境のグローバル化、歴史的諸形態の変化、環境劣化の階層化と国家の組み込み、現代の地球環境変化のパターンとその政治的影響を検討する。
Conclusion: the Shape of Contemporary Globalization;Methodological Appendix
結論は各章を総合し、付録は比較の背後にある方法を扱う。
主要概念
序論
- グローバル化の分析枠組み:序論による「グローバル化の再考」で、領域を越えて歴史的諸形態を比較するために用いられる。
- 現代のグローバル化の形:本書が過去と現在を比較する対象。
政治・暴力・貿易・金融・生産の各章
- グローバル化の歴史的諸形態:各章がその領域の過去と現在のパターンを比較する。
- 国家の組み込み:各国社会がグローバルなパターンにどう組み込まれているか。国によって異なる。
- 国家の自律性と主権:貿易と金融の章のテーマ。
移民・文化・環境の各章
- 文化的グローバル化とその政治的影響:文化の章の焦点。
- 環境劣化の階層化:不平等な曝露を扱う環境の章の方法。
批判的分析
長所
- 領域をまたぐ共通の構造。 政治、軍事、貿易、金融、生産、移民、文化、環境が、歴史・比較・組み込みという繰り返される順序で扱われるので、領域どうしを比べられる。
- 歴史的な奥行き。 章の見出しは帝国、古代、近世初期にまで遡り、グローバル化は新しいという主張を検証できる。
- 広さ。 出版社は扱う領域の幅を強調し、グローバル化の分析への最も包括的な入門だと述べている。目次には一冊の中に八つの領域が並ぶ。
- 論争から始まる序論。 序論は、自らの枠組みを提示する前にグローバル化論争とその対立の源を整理するので、議論は読者がすでに知っている立場に対置される。
短所
- 分量。 約540ページで、構造の似た八つの領域の章があり、長い読み物であって入門書ではない。
- 証拠の古さ。 1999年の刊行なので、その後の展開は扱えず、描かれる現代のパターンは20世紀末のものである。
- 特定の関心への適合のばらつき。 移民など一つの領域だけに関心のある読者は、長い章を読み通す必要があり、専門書のほうがよいかもしれない。
コースにおける位置づけ
グローバル化と開発のコースの中で、Global Transformationsは総合的な学術書であり、短い入門書の後に読むのがよい。StegerのGlobalization: A Very Short Introductionと論集Introduction to International Developmentは読みやすい概観で、McMichaelとWeberのDevelopment and Social ChangeとPeetとHartwickのTheories of Developmentは、それぞれ開発を歴史的過程として、また開発理論の主要な学派として扱う。
EvansのEmbedded Autonomyは、特定の国家がコンピュータ産業にどう対処したかを扱う焦点の絞られた比較研究である。Heldらはより広いグローバル化の全体像を示し、そうした事例研究をその中で読むことができる。貿易と金融の章における国家の自律性の扱いは、Evansの関心に直接つながる。
本書の使い方
グローバル化をめぐる議論にすでに触れたことのある、社会学・政治学・国際関係論の学部生や大学院生に向く。
実践的な読み方は次のとおり。
- 中核: 序論と結論。枠組みと全体の議論を担う。
- 関心に応じて: コースに合う領域の章を選ぶ。政治・軍事・貿易・金融の章はまとまっており、移民・文化・環境の章は個別に読める。
- 比較: 二つの領域の章を読んだら、歴史的諸形態と国家の組み込まれ方がどう違うかを書き出す。
- 任意: 比較がどのように構築されたかを知りたい読者のための方法論の付録。
