01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Lowndes, V., Marsh, D., & Stoker, G. (Eds.). (2017). Theory and Methods in Political Science (4th ed.). Red Globe Press (Bloomsbury).
章の要約
第4版は約416ページの編著教科書で、序論と18章が二つの部に分かれ、各章は別々の専門家が執筆している。第I部は理論とアプローチ、第II部は方法と研究設計を扱う。出版社は本書を多元的なものと説明し、政治を研究するさまざまな方法を強調し、さらなる読書の案内と研究方法の応用例を備えているとする。今版では David Marsh と Gerry Stoker に Vivien Lowndes が編者として加わり、ポスト構造主義とビッグデータの章が追加された。
序論
3人の編者が冒頭を担当する。続く二つの部、すなわち理論とアプローチ、そして方法と研究設計の枠組みを示す。
第I部:理論とアプローチ
第1章:行動論(Behavouralism)
David Sanders が行動論的アプローチを論じる。
第2章:合理的選択
Andrew Hindmoor と Brad Taylor が、政治分析のアプローチとしての合理的選択を扱う。
第3章:制度論
Vivien Lowndes が制度論の章を書く。
第4章:構成主義と解釈理論
Craig Parsons が構成主義と解釈的アプローチをまとめて扱う。
第5–6章:フェミニズム・ジェンダーのアプローチ/マルクス主義:グローバルな視点
Meryl Kenny と Fiona Mackay がフェミニズムとジェンダーのアプローチを論じる。Ray Kiely のマルクス主義の章には、グローバルな視点という副題が付く。
第7章:ポスト構造主義
Mark Wenman による、今版で新しく加わったポスト構造主義の章。
第8–9章:政治心理学/規範理論
Frank Mols と Paul 't Hart が政治心理学を扱う。Chris Armstrong は規範理論で第I部を締めくくる。このアプローチは、政治が実際にどうであるかではなく、どうあるべきかを問う。
第II部:方法と研究設計
第10–11章:政治学における存在論と認識論/政治分析におけるメタ理論的問題
David Marsh、Selen Ercan、Paul Furlong が存在論と認識論を論じ、Marsh はさらにメタ理論的問題の章を書く。この2章は、政治学で何が知りうるのか、どう知るのかという哲学的問いを扱い、アプローチや方法の選択の背後にある。
第12章:研究設計
Dimiter Toshkov の章は、哲学から、研究を設計する実践へと移る。
第13–15章:質的方法/量的方法/比較の方法
Ariadne Vromen、Peter John、Matt Ryan が、質的、量的、比較という方法の系統をそれぞれ論じる。
第16–17章:実験的方法/ビッグデータ
Helen Margetts と Gerry Stoker が実験的方法を論じ、副題は「野外研究と実験室研究の展望」である。Michael Jensen のビッグデータの章は、副題が「収集と分析の方法」で、今版の二つ目の新規追加である。
第18章:政治学の意義
B. Guy Peters、Jon Pierre、Gerry Stoker が、政治学は何のためにあるのかを論じる章で全体を閉じる。
主要概念
第I部:理論とアプローチ
- 行動論:第1章のアプローチ。
- 合理的選択:第2章のアプローチ。
- 制度論:第3章のアプローチ。
- 構成主義と解釈理論:第4章でまとめて扱われるアプローチ。
- フェミニズム・ジェンダーのアプローチ、マルクス主義、ポスト構造主義:第5章から第7章の三つの批判的アプローチ。
- 政治心理学と規範理論:第I部の最後の二つのアプローチ。
第II部:方法と研究設計
- 存在論と認識論:何が存在し、どう知りうるかという哲学的問いで、第II部の最初の章がこれを政治学に当てはめる。
- メタ理論的問題:第II部の2番目の章が論じる、理論をめぐるさらなる問い。
- 研究設計:研究の計画。
- 質的・量的・比較の方法:第II部の中ほどの3章が扱う方法。
- 実験的方法とビッグデータ:比較的新しい証拠源を扱う2章。
批判的分析
長所
- 意図的な多元性。 出版社は政治へのアプローチの「豊かな多様性」を強調しており、目次もそれを裏づける。行動分析から規範理論まで九つのアプローチが、専門家によってそれぞれ1章を与えられている。
- 理論と方法が一冊に。 第II部は、存在論・認識論・メタ理論の哲学的な章を、研究設計と各方法の章に結びつけるので、読者はアプローチから方法へと道筋をたどれる。
- 学生向けの工夫。 出版社は、さらなる読書の案内と研究方法の応用例を備えていると宣伝し、学部・大学院の政治分析、理論、方法の授業の中心的読み物と位置づけている。
- 新しい内容。 ポスト構造主義とビッグデータは今版で追加され、最後の政治学の意義の章は、この学問の目的に立ち返る。
短所
- 編著ゆえの不均一さ。 多くの執筆者による本であるため、章ごとに文体や、他のアプローチとの比較の程度が異なる。全体をまとめるために設計されているのは、編者の序論と最終章だけである。
- 概観であり、方法の授業ではない。 各方法に1章ずつしかないため、質的・量的・比較・実験・ビッグデータの各方法の見取り図は得られるが、そのどれについても専門の教科書の代わりにはならない。
- 独自の主題である。 本書は政治学がどう行われるかを扱い、特定の主題について何がわかったかを扱うものではない。したがって主題別の教科書を補うものであって代わりにはならず、その価値は、読者が研究課題や授業を念頭に置いているかどうかに左右される。
コースにおける位置づけ
政治学入門のコースでは、概説的な教科書を読んだあとに読む本である。Heywood の Politics、Garner、Ferdinand、Lawson の Introduction to Politics、Rom、Hidaka、Walker の Introduction to Political Science は、政治の内容(概念、イデオロギー、制度、国際政治)を教える。Lowndes、Marsh、Stoker はそれに対し、学問のアプローチがどう異なるか、政治学者はどのように証拠を作るのかを問うので、学生がこの分野の地図をすでに持ってから読むのがよい。
Robert Goodin 編の Oxford Handbook of Political Science は、学問の各サブフィールドの研究の現状を一冊にまとめた参考書であり、あるアプローチがどこで応用されているかを調べる際の相棒となる。アプローチと方法そのものを知るには本書を読む。
本書の使い方
本書は、学部の2~3年生、修士課程の学生、論文や研究方法の授業を始めようとする若手研究者に向く。政治に関する基本的な語彙になじんでいることが役に立つ準備になる。
実際の読み方は次のとおり。
- まず序論を読み、次にアプローチの選択に枠組みを与える第10章の存在論と認識論を読み、それから第I部に戻る。
- 第I部では、授業やプロジェクトに必要なアプローチを読む。 順番どおりでなくてよい。第1~3章(行動論、合理的選択、制度論)と第4章の構成主義と解釈理論は、各アプローチが問いをどう立てるかを比較する際の通常の出発点である。
- 第II部では、研究を始める前に、方法の章を第12章の研究設計と組み合わせて読む。 質的・量的・比較の方法の章が作業の中心であり、実験とビッグデータの章はそれらの証拠源を使う読者向けである。
- 最後に政治学の意義の章を読み、研究が何のためにあるのかを考える。
