01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Williams, P. D., & McDonald, M. (Eds.). (2023). Security Studies: An Introduction (4th ed.). Routledge.
章の要約
約728ページの大部な編著の教科書で、編者による導入の章に続き、それぞれ別の専門家が執筆した40の章が四つの部に分かれて並ぶ。ラウトレッジは第4版を、COVID-19、ポピュリズムの台頭、気候変動、世界における中国とロシアの位置、トランプ政権といった動向を取り込むために全面的に改訂・更新したものと説明しており、大国間競争、新興技術、経済的脅威についての章が新たに加わった。四つの部は、出版社の言葉では、伝統的・批判的の両面から主要な理論的アプローチを探り(第1部)、現代の議論を支える中心的概念を説明し(第2部)、制度的な安全保障の枠組みを概観し(第3部)、世界の安全保障への主要な現代的課題を検討する(第4部)。目次には各章の執筆者が挙がっており、以下では有用な場合に限って記す。
導入:An Introduction to Security Studies(安全保障研究への導入)
ポール・D・ウィリアムズとマット・マクドナルドによる編者の冒頭の章で、専門家による各章が始まる前にこの分野を示す。
第1部 伝統的アプローチ:第1〜3章(Realisms;Liberalisms;Constructivisms)
国際関係論で確立した理論を安全保障に適用する三つの章で、執筆者はマイケル・A・ジェンセン、コーネリア・ナヴァリ、マット・マクドナルド。題が複数形であることは、各アプローチが単一の教義ではなく、立場の一群として示されることを示唆する。
第1部 批判的アプローチ:第4〜8章(Critical Theory;Feminisms;Poststructuralism;Securitization;Postcolonialism)
伝統的な国家中心の見方に異議を唱えるアプローチを扱う五つの章。批判理論(ピナル・ビルギン)、フェミニズム(サンドラ・ウィットワース)、ポスト構造主義(リンダ・オーハル)、安全保障化(ヨンナ・ニーマン)、ポストコロニアリズム(ニヴィ・マンチャンダ)。
第2部 主要概念:第9〜17章
九つの概念の章。不確実性(ケン・ブースとニコラス・J・ウィーラー)、大国間競争(ベヴァリー・ロク、今版で新設)、文化(マイケル・N・バーネット)、戦争(ポール・D・ウィリアムズ)、強制(ローレンス・フリードマンとスリナス・ラガヴァン)、平和と暴力(ヘレン・デクスター)、人間の安全保障(グンヒルド・フーゲンセン・ジョルヴ)、保護する責任(アレックス・J・ベラミー)、開発(ダニエル・ベスウィック)。戦争や強制といった伝統的な観念と、人間の安全保障や開発という広がった課題の両方が含まれる。
第3部 制度:第18〜23章
制度的な背景を扱う六つの章。同盟(サラ・ビェルグ・モラー)、地域機構(ルイーズ・フォーセット)、国際連合(トーマス・G・ワイスとダニエル・ザック)、平和活動(マイケル・ピュー)、核軍縮・不拡散体制(W・パル・シドゥ)、民間軍事・警備会社(デボラ・アヴァント)。
第4部 現代の課題:第24〜33章
暴力と組織的な脅威を扱う十の章。ジェノサイドと人道に対する罪、民族紛争、テロリズム、対テロ、対反乱、インテリジェンス、経済的脅威(今版で新設)、国境を越える組織犯罪、世界の武器取引、移民と難民。
第4部 現代の課題:第34〜40章
広がる課題を扱う七つの章。エネルギー安全保障(マイケル・T・クレア)、女性・平和・安全保障(アイスリング・スウェイン)、環境変化(マット・マクドナルドとサイモン・ダルビー)、保健(ジェシカ・カーク)、新興技術(ポール・D・ウィリアムズ、今版で新設)、サイバーセキュリティ(レア・シアーズ)、宇宙空間(カサンドラ・スティア)。
主要概念
第1部:アプローチ
- リアリズム、リベラリズム、構成主義:安全保障を説明する三つの伝統的な枠組み。
- 批判的アプローチ:批判理論、フェミニズム、ポスト構造主義、ポストコロニアリズムで、誰の安全が問題なのかを問い直す。
- 安全保障化:第7章に現れる、ある問題が安全保障上の事柄として扱われるようになる過程。
第2〜3部:概念と制度
- 人間の安全保障と保護する責任:それぞれ第2部に独立した章を持つ概念。
- 大国間競争、強制、戦争:戦略的競争の古くからの語彙で、今版で更新されている。
- 制度の枠組み:同盟、地域機構、国際連合、平和活動、不拡散体制。
第4部:課題
- 暴力と犯罪:テロリズム、対テロ、対反乱、ジェノサイド、組織犯罪、武器取引。
- 非伝統的な脅威:エネルギー、環境変化、保健、移民、サイバー、宇宙。
批判的分析
長所
- 幅広さと構造。 41の寄稿が、理論から概念、制度、課題へと進む四つの部に整理されており、講義の骨格として使いやすい。
- 伝統的・批判的アプローチの並置。 第1部は、リアリズム、リベラリズム、構成主義に、フェミニズム、ポスト構造主義、ポストコロニアリズムと同等の紙幅を与えており、学生はそれらの間の論争に触れることができる。
- 最近の動向への対応。 新版は大国間競争、新興技術、経済的脅威の章を加え、COVID-19などの出来事に合わせて他の章も更新している。
- 専門家による執筆。 目次には各主題の専門の執筆者が挙がっている。出版社が引くシェフィールド大学のルース・ブレイクリーは、本書が世界の厄介な問題の影響を最も受ける人々を中心に据え、学生が複雑な安全保障上の課題を分析する道具を与えるものだと述べている。
短所
- 長さ。 約728ページは初学者が必要とする量をはるかに超えており、ほとんどの講義では章を選んで使うことになる。
- 編著であること。 40人の執筆者がいるため文体や強調点が異なり、同じ概念が章ごとに違った扱いを受けることがある。
- 宣伝文句。 出版社はこの主題で最も包括的な教科書だと称しているが、この主張は目次やリスト内の他の教科書と照らして確かめるべきである。
コースにおける位置づけ
安全保障研究のリストの中で、本書は体系的な講義を求める読者のための主たる教科書である。クリストファー・ブラウニングの International Security: A Very Short Introduction ははるかに短い見取り図で、最初に読むのがよい。アラン・コリンズの Contemporary Security Studies は最も近い代替で、やはりアプローチを紹介して軍事・非軍事の多様な問題に適用する編著の教科書である。講義では通常、二つの編著のどちらか一方を選ぶ。
二つの章はこのリストの古典に直結する。安全保障化の章は、ブザン、ウェーヴァー、デ・ウィルデの Security: A New Framework for Analysis へ自然につながり、リアリズムの章は、古典的なリアリズムの主張であるミアシャイマーの The Tragedy of Great Power Politics とウォルツの Man, the State, and War へつながる。
本書の使い方
事前の履修は不要だが、国際関係論の入門講義があると役立つ。学部生と修士課程の学生に向き、手元に置いて必要な箇所を読む参照用として最も力を発揮する。
- 中核: 導入、伝統的アプローチの三つの章、批判的アプローチの一、二章、そして戦争、人間の安全保障、保護する責任の概念の章。
- 次に関心に応じて: 制度は第3部、学んでいる問題は第4部(テロと対テロ、環境と保健、サイバーと宇宙など)を使う。
- 本文とあわせて: 現在の危機を一つ選び、伝統的な章と批判的な章を一つずつ使って、二つの短い分析を書く。
- 読了後: 理論の章の背後にある原典の議論には、ウォルツ、ミアシャイマー、ブザンらへ進む。
