01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Heywood, A. (2021). Political Ideologies: An Introduction (7th ed.). Red Globe Press / Bloomsbury Academic.
章の要約
全13章からなる学部向けの教科書である。イデオロギーそのものを扱う冒頭の章、一つのイデオロギーまたは思想群をそれぞれ扱う11の章、そしてイデオロギーがなぜ重要かを論じる結びの章から構成される。出版社は第7版を、過去と現在の政治を形づくってきた教義を網羅的に見渡す概説と説明している。前半は伝統的なイデオロギー、すなわち保守主義、社会主義、自由主義、アナーキズム、ファシズムを扱い、後半はより現代的な運動、すなわちポピュリズム、フェミニズム、緑の思想、多文化主義、宗教的原理主義を扱う。以下に章題を示す。記述は目次と出版社の紹介から確実に言える範囲にとどめる。
第1章:Introducing Political Ideologies(政治イデオロギーの紹介)
枠組みを示す章で、題が示すとおり、個々の伝統を順に取り上げる前に、政治イデオロギーという主題を導入する。
第2〜4章:Liberalism(自由主義);Conservatism(保守主義);Socialism(社会主義)
古典的な三つの近代イデオロギーに、それぞれ一章が充てられている。出版社は、これらをアナーキズム、ファシズムとともに、過去と現在の政治を支配してきた伝統的イデオロギーに数えている。
第5〜7章:Anarchism(アナーキズム);Nationalism(ナショナリズム);Fascism(ファシズム)
目次で個別に立てられた三つの伝統。ナショナリズムは、並び順ではアナーキズムとファシズムの間に置かれている。
第8〜12章:Populism(ポピュリズム);Feminism(フェミニズム);Green Ideology(緑の思想);Multiculturalism(多文化主義);Religious Fundamentalism(宗教的原理主義)
現代のイデオロギー。ポピュリズムは今版の新章で、世界各地のポピュリスト運動の台頭と、それに関連する自由民主主義的価値の衰退を扱う。出版社によれば、フェミニズムの章はセクシュアリティ、クィア政治、トランスの問題により多くの紙幅を割き、宗教的原理主義の章はより幅広い宗教を考察している。
第13章:Why Political Ideologies Matter(なぜ政治イデオロギーは重要か)
出版社によれば全面的に改訂された結びの章。個々の伝統から離れ、イデオロギー研究が何を説明するのかという問いに戻り、自由民主主義の衰退やポピュリズム・権威主義の台頭といった出来事にも触れる。
主要概念
第1章:イデオロギーとは何か
- 政治イデオロギー:本書を貫く中心概念。政治についての一群の観念で、後の章が個々の伝統を通じてそれを例示する。
第2〜7章:伝統的イデオロギー
- 自由主義・保守主義・社会主義:第2〜4章で扱われる三つの主要な教義。
- アナーキズム:独立した一章が与えられた伝統で、出版社は伝統的イデオロギーの一つに数えている。
- ナショナリズムとファシズム:第6章と第7章で扱われるさらに二つの伝統。
第8〜13章:現代の運動
- ポピュリズム:今版の新章。出版社は自由民主主義的価値の衰退と結びつけている。
- フェミニズム、緑の思想、多文化主義:ジェンダー、環境、文化的多様性をめぐる運動。
- 宗教的原理主義:今版では、より幅広い宗教にわたって扱われる。
- なぜイデオロギーが重要か:結びの章の問い。
批判的分析
長所
- 一章に一つの伝統。 目次は主要なイデオロギーに一貫した順序で一章ずつを与えており、学生は個々の伝統をすぐに探し出し、章どうしを比較できる。
- 本文に組み込まれた学習の補助。 出版社は、より多様な人々を取り上げるようになった「キー・シンカー」のコラムと、考えを最近の政治的出来事に適用する「行動する政治イデオロギー」のコラムに言及している。
- オンライン資料。 付属ウェブサイトには、テストバンク、PowerPointスライド、用語のフラッシュカード、追加の「行動する政治イデオロギー」事例、インタラクティブなシミュレーションがあり、追加費用なしで利用できる。
- 近年の政治への更新。 第7版はポピュリズムの章を加え、ポピュリズムと自由民主主義の衰退を踏まえて結びの章を改訂している。
短所
- 宣伝文句。 「最も読みやすく、簡潔で、しかも包括的」という主張は販売上の表現であり、一章を試し読みして自分で判断すべきである。
- 概説であって論証ではない。 各章が一つの伝統全体を扱うため、一次文献に腰を据えて取り組む余地は限られる。原典の議論を知りたい学生は思想家自身の著作を読む必要がある。
- 原理そのものではなくイデオロギー。 出版社は本書を政治的信条と教義の概説として示しているので、どの原理が正当化されるかを持続的に論じたい読者は規範理論の著作が必要になる。
- 教科書の規模。 13章にコラムとオンライン資料が加わり、短い入門書ではなく授業用の教科書であるため、選択的に読む計画を立てるのがよい。
コースにおける位置づけ
近代政治思想のリストの中で、ヘイウッドの本は「主義」を最も幅広く見渡す概説である。アダム・スウィフトの Political Philosophy: A Beginners' Guide for Students and Politicians は、社会正義、民主主義、自由、平等といった政治的価値ごとに構成され、丁寧な推論が政治的議論にどう関わるかを示す。そのため、何が信じられているかではなく何が正しいかを問う点でヘイウッドを補う。ウィル・キムリッカの Contemporary Political Philosophy は、ロールズ以後の英米政治哲学の主要な学派を一つずつ提示し、その批判を検討する。
ロールズの A Theory of Justice、ノージックの Anarchy, State, and Utopia、アイリス・マリオン・ヤングの Justice and the Politics of Difference は、それぞれリベラル、リバタリアン、批判的な政治理論の原典である。ヘイウッドの自由主義、アナーキズム、フェミニズムの章は、これらの著作を位置づける背景を与える。
本書の使い方
政治学の予備知識は不要。政治イデオロギーや入門政治学の講義を受ける一年次の学生や、今日の政治的なラベルがどこから来たのかを知りたい人に向く。
- 中核: 第1章、続いて自由主義、保守主義、社会主義の第2〜4章。他の章が利用する語彙を与えてくれる。
- 次に: 残りの伝統的イデオロギー(第5〜7章)、そして講義の進行に合わせて現代の章(第8〜12章)。
- 本文とあわせて: 「キー・シンカー」のコラムを手がかりに、各イデオロギーについて一次文献を一つ選び抜粋を読む。オンライン事例と用語フラッシュカードにも取り組む。
- 仕上げ: 第13章を最後に読み、その問いを現在の政治的論争に当てはめて試す。
- 読了後: 価値に基づく推論にはスウィフトを、哲学的な深みにはキムリッカか原典を組み合わせる。
