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How Democracies Die(民主主義の死に方) cover

政治学

政治学

How Democracies Die(民主主義の死に方)

Steven Levitsky; Daniel Ziblatt

英語原題: How Democracies Die

二人の比較政治学者が、現代の民主主義はクーデターで崩壊するよりも、裁判所・報道・選挙ルールを弱体化させる選出された指導者によって徐々に侵食される場合が多いと論じる。欧州、ラテンアメリカ、アメリカの事例をもとに、警戒すべき兆候と、民主的競争を枠内にとどめる非公式の規範(ガードレール)を示す。

前提知識: 予備知識は必要ありません。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Levitsky, S., & Ziblatt, D. (2019). How Democracies Die. Crown.

章の要約

約320ページ、全9章の本で、教科書ではなく一般書として刊行されている。出版社は本書を、ヨーロッパとラテンアメリカにおける民主主義の崩壊を20年以上研究してきたハーバード大学の二人の教授の仕事として紹介している。出版社の説明によれば、中心となる主張は、民主主義はもはや革命や軍事クーデターという「轟音」によってではなく、「ため息」とともに終わる、というものである。すなわち、司法や報道といった重要な制度がゆっくりと着実に弱められ、長く守られてきた政治的規範が少しずつ侵食されていく。出版社はまた、権威主義へ向かう道には複数の「出口ランプ」があること、そして本書が1930年代のヨーロッパから現代のハンガリー、トルコ、ベネズエラ、さらにジム・クロウ期のアメリカ南部に至る歴史的・世界的な事例を用いていることを強調している。目録には全9章が挙がっており、以下の要約は章題と出版社の紹介から確実に言える範囲にとどめる。

第1章:Fateful Alliances(宿命的な同盟)

第1章の題は、危険な人物が権力に近づく際の同盟への関心を示唆している。出版社は、本書が世界各地で選挙で選ばれた指導者の行動が民主主義の失敗への道をどのように敷いてきたかを示すと述べている。

第2〜3章:Gatekeeping in America(アメリカにおける門番の役割);The Great Republican Abdication(共和党の大いなる放棄)

アメリカに目を向ける二つの章。題からは、危険な人物に対して誰が門番として機能するのか、そして共和党がその役割を放棄したことが問われていると読める。出版社は本書を2016年の選挙とドナルド・トランプ大統領の就任に結びつけている。

第4章:Subverting Democracy(民主主義を転覆する)

題は、選ばれた指導者が民主的競争を内側から空洞化させる手法を扱うことを示す。出版社の紹介は、弱められる制度として裁判所と報道を挙げている。

第5〜6章:The Guardrails of Democracy(民主主義のガードレール);The Unwritten Rules of American Politics(アメリカ政治の不文律)

これらの章は民主主義の「ガードレール」、すなわち成文憲法を超えて民主的競争を保つ共有された信念と慣行を取り上げる。出版社が引用する評者の一人ラリー・ダイアモンドは、本書をまさにそうした共有された信念と慣行を取り戻すための呼びかけだと評している。第6章の題はアメリカ政治の不文律を指している。

第7〜8章:The Unraveling(ほころび);Trump Against the Guardrails(トランプ対ガードレール)

題から、この二つの章は近年のアメリカ政治におけるガードレールの弱体化と、トランプ政権がそれをどう試したかをたどり、本書の議論を刊行当時の現在へと進めるものと読める。

第9章:Saving Democracy(民主主義を救う)

最終章は診断から処方へと移る。出版社が最後に投げかける問い、すなわちアメリカの民主主義は救えるのかという問いが、その方向を示している。

主要概念

第1〜4章:崩壊はどのように起こるか

  • 緩やかな侵食:本書における民主主義の失敗の中心的なイメージ。制度は一気に倒されるのではなく、一歩ずつ弱められる。
  • 門番の役割:危険な人物を権力から遠ざけるふるい分けの働き。第2章の題に現れる。
  • 出口ランプ:出版社の表現で、国が権威主義的統治から引き返せる分岐点を指す。

第5〜9章:規範と処方

  • 民主主義のガードレール:成文憲法を超えて、政治的競争を限度内にとどめる共有された信念と慣行。
  • 不文律:アメリカの政治制度の非公式な規範で、独立した一章が充てられている。
  • 民主主義を守る:市民と政治家に何ができるかという問いで、最終章で扱われる。

批判的分析

長所

  • 比較の視点。 出版社が引用する『フィナンシャル・タイムズ』の書評は、アメリカ民主主義を例外とみなす見方を退けた点を評価している。著者たちは米国をハンガリー、トルコ、ベネズエラなどと並べて検討する。
  • 平明な文章による記憶に残る枠組み。 ガードレール、門番、不文律という概念は、他の事例にも持ち運べる。出版社が引用する書評は、本書を明快な手引き(『ニューヨーク・タイムズ』)、事実に基づく本(マイケル・モレル)と呼び、『カリフォルニア』誌の評者は、扇動的というより博識だと評している。
  • 評価。 2019年のゴールドスミス・ブック賞を受賞し、ライオネル・ゲルバー賞の最終候補に選ばれた。
  • 簡潔で読みやすい。 約320ページ、9章で、短期間に読み通せる。出版社は授業用の教師用ガイドも提供している。

短所

  • 教科書ではなく一般書。 出版社は本書を一つの議論に絞った切迫した手引きとして提示しており、章の並びはその議論そのものであって、民主化理論の体系的な概観ではない。
  • ある時期に結びついている。 紹介文と章題は、アメリカの事例、とりわけトランプ政権を中心に据えている。後から読む場合、終盤の章が2010年代後半の政治に向けて書かれていることを念頭に置く必要がある。
  • 釣り合いの偏り。 9つの章題のうち少なくとも4つが、アメリカ、共和党、トランプに明示的に言及している。そのため出版社の挙げるヨーロッパやラテンアメリカの事例は主に比較の材料となる。また議論が現在進行形のアメリカ政治に関わるため、より体系的な比較研究と併読するのがよい。

コースにおける位置づけ

民主主義と権威主義のリストの中で、本書は民主主義がなぜ失敗するのかという問いへの読みやすい入口である。エリカ・フランツの Authoritarianism: What Everyone Needs to Know は、権威主義的統治が確立した後に何が起こるかを扱う簡潔な入門書で、両者は自然に並ぶ。レヴィツキーとジブラットがそこへ至る道を描くのに対し、フランツはそうした体制がどのように権力を握り、生き残り、倒れるのかを説明する。

より学術的な書物としては、クリスティアン・ヘルプファーらの編による教科書 Democratization が、研究者が民主主義をどう定義し測定するか、また民主化と後退の波を体系的に概観している。ロバート・ダールの Polyarchy は民主的体制を規定する制度的保障を示しており、侵食を判断する基準になる。フアン・リンスの Totalitarian and Authoritarian Regimes は、民主主義が滑り落ちうる体制の古典的な類型を与える。ハンナ・アーレントの The Origins of Totalitarianism は、極端な事例をめぐる歴史的・哲学的な分析で、性格はまったく異なる。

本書の使い方

政治学の予備知識は不要で、一年次の学生、一般読者、民主化論や比較政治学の講義に備える人に向く。一週間ほどで読み通せる。

  • 中核: 9章すべてを順に読む。題から見て、議論は同盟、門番、転覆(第1〜4章)から、ガードレールと不文律(第5〜6章)へ、近い過去(第7〜8章)へと進み、処方(第9章)で終わる。
  • 本文とあわせて: 出版社が挙げるアメリカ以外の事例(ハンガリー、トルコ、ベネズエラ、1930年代のヨーロッパ)から一つを選び、国別研究で同じパターンを探す。そのうえでガードレールという考え方がそれを説明できるかを考える。
  • 批判的に読む: 著者たちの主張のうち、比較データで検証できるものはどれかを問い、図書館の目録で主張の背後にある研究を探す。
  • 読了後: 学術的な枠組みにはヘルプファーの Democratization へ、古典的な定義にはダールやリンスへ進む。