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Vibrations and Waves(振動と波動) cover

物理学

物理学

Vibrations and Waves(振動と波動)

A. P. French

英語原題: Vibrations and Waves

MIT物理学入門シリーズの一冊として書かれた、振動と波動に関する簡潔な教科書です。単振動、減衰と共鳴、連成振動子と基準モード、進行波と定常波を、大学1年程度の数学の範囲で展開します。

前提知識: 1年次の力学と1変数の微積分が前提です。複素数は本文中で導入されます。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
oscillationswavesnormal modesresonance教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

French, A. P. (1971). Vibrations and Waves. W. W. Norton & Company.

章の要約

M.I.T. 入門物理シリーズの一冊である。シリーズの序文によれば、このシリーズは短く自己完結した本の集まりで、実験と直観の相互作用を重視し、さまざまな授業の構成に組み込めるように作られている。本書は約300ページに8章を収め、各章の末尾に問題があり、そのあとに短い文献案内と問題の解答が続く。フレンチの序文は、本書の性格を決める三つの選択を述べている。第一に、議論はほぼ完全に力学系に限られ、この分野の言葉は力学的な変位とスカラーの波動方程式によって展開される。第二に、扱いは記述的ではなく定量的・解析的である。第三に、基準振動(ノーマルモード)が入門課程で通常よりも重視される。理論は実際の例と結びつけられ、可能な場合には実際のデータや写真で示される。本書は現在も CRC Press から刊行されている。

第1章:周期運動

正弦振動と単振動、回転ベクトル表示、そして回転ベクトルから複素数と複素指数関数への移行を扱う。序文によれば、複素指数関数は全体を通じて使われるため早い段階で導入される。

第2章:周期運動の重ね合わせ

一次元での振動の重ね合わせを、等しい振動数の場合、異なる振動数の場合(うなり)、多数の場合について扱う。続いて直交する振動の合成(リサジュー図形を含む)と、平行な重ね合わせと垂直な重ね合わせの比較を扱う。

第3章:物理系の自由振動

基本的なばね・質点の問題を複素指数関数で解き、続いて一連の物理的な振動子を取り上げる。弾性体とヤング率、浮かぶ物体、振り子、U字管の水、ねじれ振動、「空気のばね」、質量をもつばね。章は自由振動の減衰と、非常に大きな減衰の効果で終わる。

第4章:強制振動と共振

減衰のない駆動振動子と減衰のある駆動振動子を複素指数関数の方法で解き、抵抗項の効果、過渡現象、吸収される仕事率を扱う。共振の例は力学を越えて、電気的共振、光学的共振、原子核の共鳴、核磁気共鳴にまで及び、章は非調和振動子で締めくくられる。

第5章:連成振動子と基準振動

二つの連成振り子と対称性の議論から出発し、基準振動の重ね合わせと基準振動数を求める一般的な解析法を組み立て、連成系の強制振動へ進む。さらにN個の連成振動子、その基準振動と性質、縦振動、Nが非常に大きい極限、結晶格子の基準振動へと拡張する。序文は、この扱い方をジャック・テスマンの授業に負うとしている。

第6章:連続体の基準振動、フーリエ解析

張った弦、弦上のモードの重ね合わせ、弦の強制振動。棒の縦振動、気柱、気体の弾性。二次元と三次元の基準振動。そしてフーリエ解析を実際に適用し、直交関数と結びつける。

第7章:進行波

波とは何か、進行波と基準振動の関係、特定の媒質中の波の速さ、重ね合わせと波のパルス、位相速度と群速度を伴う分散、遮断、力学的な波が運ぶエネルギーと運動量(力学的な放射圧を含む)、そして二次元と三次元の波を扱う。

第8章:境界の効果と干渉

パルスの反射、インピーダンスと無反射終端、縦波と横波と偏り、ホイヘンス=フレネルの原理、平面波の反射と屈折、ドップラー効果、そして干渉と回折(二重スリット、回折格子、単スリット、実際のスリット系)を扱う。

主要概念

第1–3章:振動

  • 単振動:変位に比例する復元力によって生じる正弦的な運動。
  • 複素指数関数:微分方程式を代数に変える振動の表し方。
  • うなりとリサジュー図形:同じ直線上の振動、あるいは直交する振動を重ね合わせたときに生じるパターン。
  • 減衰:抵抗力によって自由振動が減衰すること。

第4–6章:共振と基準振動

  • 共振:固有振動数の近くで駆動された振動子の大きな応答と、最大の仕事率の吸収。
  • 基準振動:連成系のすべての部分が一つの振動数で振動するパターン。
  • 連続体:弦、棒、気柱を、多数の連成振動子の極限として扱うこと。
  • フーリエ解析:基準振動の直交性を使って、一般の運動を基準振動の和として表すこと。

第7–8章:波

  • 位相速度と群速度:波の山の速さと波群の速さで、分散のある媒質では異なる。
  • インピーダンス:境界での反射を決め、無反射終端を可能にする性質。
  • ホイヘンス=フレネルの原理:屈折、回折、干渉の背後にある作図法。

批判的分析

長所

  • 基準振動を全体の軸に据える。 序文は、連続体の力学を一個あるいは数個の粒子の力学に結びつけるため、そして直交性と完全性が再び現れる量子力学を見据えて、本書が通常よりも基準振動を重視すると述べている。第5章と第6章は、二つの振り子から結晶格子、フーリエ解析までこれを貫いている。
  • 豊富な物理的な例。 第3章の振動子の一覧と、電気回路から核磁気共鳴にまで及ぶ第4章の共振の概観は、数学を実際の系に結びつける。序文は、実際のデータや写真を用いていることにも触れている。
  • 数学を段階的に導入する。 複素指数関数は第1章で登場するが、偏微分方程式は本書のかなり後まで先送りされる。著者は、微分方程式を事前に学んでいることは望ましいが不可欠ではないと考えている。
  • 解答付きの問題。 各章は問題で終わり、文献案内のあとに問題の解答をまとめた短い部分がある。

短所

  • 意図して力学系に限っている。 序文は、電気系や光学系はおおむね除いたと説明している。電磁波と波動光学はほかの本で学ぶ必要がある。
  • 古い提示。 1971年の初版で、記法、例、写真はその時代のものである。改訂版は出ておらず、増刷されているだけである。
  • 微積分が前提。 序文は、微積分にかなりなじんでいること、初歩的な運動学と力学をしっかり使いこなせることを求めている。

コースにおける位置づけ

この波動・光学のコースで、フレンチの本は光学の土台となる振動と波の数学を提供する。ウォルムズリーの Light: A Very Short Introduction は数学を使わない概観で、先に読んでも並行して読んでもよい。ヘクトの Optics とペドロッティらの Introduction to Optics は、フレンチが意図的に脇に置いた電磁波と光の波を取り上げる。ホイヘンス=フレネルの原理、スリット、回折格子を扱うフレンチの第8章は、それらの本の干渉と回折の扱いに直接つながる。サレーとタイクの Fundamentals of Photonics とボルンとウォルフの Principles of Optics はずっと後の段階である。また、序文が意図しているとおり、フレンチの基準振動の章は量子力学におけるフーリエの方法への準備にもなる。

本書の使い方

本書は、初歩的な力学と多少の微積分を身につけた一、二年生に向いている。振動と波についての短い授業にも、一般物理学の教科書の波動の章の副読本にも使える。

  • 中核: 複素指数関数、減衰、共振、基準振動を担う第1、3、4、5章。続いて、弦、フーリエ解析、進行波を扱う第6章と第7章。
  • 選択的に: 第2章は手早く読めるが、リサジュー図形とうなりは目を通す価値がある。第4章の共振の例の概観は、最初に読むときは任意でよい。
  • 光学への橋渡し: 第8章は、光学の授業が始まる直前に読む。

章末の問題を解き、解答が示されているものはそれと照らし合わせる。本書の図はそうした実験に基づいているので、可能であれば記述されている実演(連成振り子、張った弦)を再現するか、シミュレーションを使うとよい。