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Introduction to Optics(光学入門) cover

物理学

物理学

Introduction to Optics(光学入門)

Rayf Shiell; Iain McNab

英語原題: Pedrottis' Introduction to Optics

物理学・電気電子工学系の学部生向けの光学教科書。幾何光学から干渉、回折、偏光を経てレーザーへと進み、ホログラフィー、非線形光学、眼の光学など独立した発展的話題も扱う。各章は演習問題と段階的なテストレットで終わり、序文は1学期用のいくつかの履修経路を示している。

前提知識: 電磁気学を含む微積分ベースの初等物理学、基礎的な微分方程式、複素数、行列の扱いに慣れていること。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
opticswave opticsinterference and diffractionpolarizationlasers教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Shiell, R., & McNab, I. (with contributions by M. Romerein). (2024). Pedrottis' Introduction to Optics (4th ed.). Cambridge University Press.

章の要約

第4版は、Frank Pedrotti、Leno Pedrotti、Leno S. Pedrotti による古典的な光学教科書を全面的に改訂したもので、新しい著者が執筆している。全体は977ページ、5つのテーマにまとめられた26章からなり、巻末に5つの付録(物理定数、数学公式、参考文献、一部の問題の解答、統合型テストレットの対応表)が付く。各章は演習問題で終わり、その最後の1問は、正解が出るまで段階的に答えていく複数小問の「統合型テストレット(integrated testlet)」である。

テーマI、第1〜5章:光学の全体像/幾何光学/光学機器を理解する/波/光源・ディスプレイ・検出器

最初のテーマでは、さまざまな角度から光を導入する。第1章は波と粒子の二重性、光子、電磁波、放射量測定を扱う。第2章は最も長い章で、反射と屈折、ホイヘンスの原理とフェルマーの原理、鏡とレンズ、バージェンスに続き、ABCD行列と基点を用いる行列法、最後に計算光学と厳密な光線追跡を扱う。第3章は幾何光学を絞り・瞳・窓、拡大鏡、顕微鏡(超解像の方法を含む)、望遠鏡、カメラに応用する。第4章は波動方程式と複素表示から球面波・円筒波・ガウスビーム、電磁波、偏光、ドップラー効果までの波の記述を築く。第5章は原子・分子・固体におけるエネルギーの量子化に進み、続いて光源、ディスプレイ(LCD、OLED、マイクロLED)、検出器、ノイズを扱う。

テーマII、第6〜11章:光のスカラー場によるアプローチ

第6章は重ね合わせ(定常波、うなり、位相速度と群速度)を扱う。第7章は二光束干渉、ヤングの二重スリット、薄膜、ニュートンリングを取り上げる。第8章は干渉計(マイケルソン、トワイマン・グリーン、マッハ・ツェンダー、ファブリ・ペロー)と多層膜、反射防止膜・高反射膜を展開する。第9章は空間コヒーレンスと時間コヒーレンスに充てられる。第10章は単スリット、二重スリット、矩形・円形開口、回折格子によるフラウンホーファー回折を扱う。第11章は太陽スペクトルとフラウンホーファー線から始め、プリズム、回折格子、分光器をまとめて論じる。

テーマIII、第12〜15章:光のベクトル場によるアプローチ

第12章はマクスウェル方程式と境界条件から界面での反射と透過を導く。フレネルの式、位相変化、エバネッセント波、金属からの反射が含まれる。第13章は光ファイバーと通信技術で、変調やファイバーモードから減衰とパルス広がりまでを扱う。第14章と第15章は偏光の対をなす。前者はジョーンズベクトル、ジョーンズ行列、ストークスベクトル、ミュラー行列を用い、後者は吸収・反射・散乱・複屈折による偏光、波長板、旋光性、光弾性を扱う。

テーマIV、第16〜18章:レーザーとレーザービーム

第16章は、アインシュタインの理論、二準位系のレート方程式、線幅の広がりを含む光と物質の相互作用を述べる。第17章は、基本要素や実際のレーザーの種類から、四準位レート方程式、利得飽和、Qスイッチ、モード同期まで、レーザーとその動作を説明する。第18章はガウスビーム、球面鏡共振器、高次のエルミート・ガウスビームを扱う。

テーマV、第19〜26章:発展的な話題

続く8つの章は、それぞれ独立している。収差、フーリエ光学(結像と分光)、フレネル回折(コルニュのらせんとバビネの原理を含む)、ホログラフィー、物質の光学的性質(ローレンツモデルとドルーデモデル)、非線形光学と光の変調、レーザー技術と応用(医療応用、ライダー、超短パルス、光ピンセット、光周波数コム)、眼の光学である。

主要概念

テーマIとII:幾何光学とスカラー波動光学

  • 近軸行列法:ABCD行列と基点でレンズ系を記述する。現在は幾何光学の章に含まれる。
  • 絞り・瞳・窓:機器における像の明るさと視野を決める。
  • 重ね合わせ・干渉・コヒーレンス:第6〜9章のスカラー波の枠組み。
  • フラウンホーファー回折と回折格子:分解能と分光器の基礎。

テーマIIIとIV:ベクトル波とレーザー

  • フレネルの式:界面での振幅の反射と透過。
  • ジョーンズ計算とミュラー計算:偏光および部分偏光の行列による記述。
  • アインシュタインの関係式とレート方程式:光と物質の相互作用からレーザー利得に至る道筋。
  • ガウスビームと共振器モード:レーザー出力の標準的な記述。

テーマV:発展

  • 波面収差:球面収差、コマ収差、非点収差、歪曲収差、色収差。
  • フーリエ光学とフレネル回折:空間周波数による結像と近接場の回折。
  • 非線形効果と電気光学効果:高調波発生、位相整合、ファラデー効果、音響光学効果。

批判的分析

長所

  • 現象が先。 序文によれば、各トピックは観察される現象から始まり、その後に説明と導出が続く。脚注や「A closer look」のコラムでは、自宅や教室でできる実験が紹介される。
  • 柔軟な構成。 序文は4つの1学期用の履修経路(光学の概観、幾何光学重視、物理光学、レーザー光学)を示し、ほかの順序も可能だと述べている。同じ本が複数の講義に対応できる。
  • 評価の仕組みを内蔵。 統合型テストレットと付録Eの対応表により、段階的な自己点検ができる。本書で印が付いた図はインタラクティブなアニメーションとしても提供される。
  • 書評での評価。 Barry R. Masters は Optics & Photonics News(2025年4月)の書評で、教育的な工夫、段階的な導出、例題、章末テストを高く評価している。

短所

  • 分量とレベル。 977ページあり、1つの講義で扱える範囲を大きく超える。序文が挙げる前提は、基礎物理を2〜3学期と微積分を2学期で、物理光学とレーザー光学の経路にはさらに中級の電磁気学が加わる。
  • 第3版とは別の本。 章立てが再編され(行列法は第2章に、多光束干渉は第8章に、プリズムは格子とともに第11章に入った)、以前の Introduction to Optics の章番号は引き継げない。
  • 公表された書評がまだ少ない。 刊行が新しく、授業での使い心地についての根拠は出版社の紹介と上記の書評に限られる。

コースにおける位置づけ

波動・光学のコースでは、幾何光学、物理光学、レーザー光学に現代の応用を加えた、主要な光学教科書である。French の Vibrations and Waves は第4章・第6章の波動の背景を補い、Walmsley の Light: A Very Short Introduction は、まず概念をつかみたい読者向けの数式を使わない概説である。

Hecht の Optics は扱う範囲が近く、最も近い代替書である。Pedrotti は26のモジュール式の章、履修経路、テストレットによって、トピックごとの講義設計に向く。Saleh と Teich の Fundamentals of Photonics はフォトニクス素子へ進み、Born と Wolf の Principles of Optics は数理理論の包括的な参考書である。

本書の使い方

微積分に基づく基礎物理と2学期分の微積分を修めた、物理学および電気・電子工学の学部生を対象とする。

実践的な進め方:

  • 中核: 基礎として第1〜4章、干渉・コヒーレンス・回折・分光器として第6〜11章、フレネルの式と偏光として第12章・第14章・第15章。
  • 講義に合わせた選択: 序文の4つの経路のいずれかに従う。概観の講義なら第2章の2.7節まで、第3章、第17章の最初の4節。レーザー光学なら第16〜18章と第25章を加える。
  • 任意: 第13章と第19〜26章はそれぞれ独立しており、必要に応じて選べる(光ファイバー、収差、ホログラフィー、非線形光学、眼)。
  • 演習: 各章末の統合型テストレットを順番に解き、付録Eで各小問を確認する。コラムや脚注にある自宅・教室での実験も試す。