01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Born, M., & Wolf, E. (2019). Principles of Optics (7th expanded ed., 60th anniversary printing). Cambridge University Press.
章の要約
本書は全15章で、歴史的な序論と12の付録があり、本文は921ページまで、その後に著者索引と事項索引が続きます。光学を電磁理論の一分野として扱い、マクスウェル方程式から出発して、幾何光学と結像、干渉、回折、部分コヒーレンス、散乱、そして金属と結晶の光学へと進みます。第7版では、コンピュータ断層撮影の節、不均一媒質による散乱の章、周期ポテンシャルによる散乱の解説、レイリー=ゾンマーフェルトの回折理論の節が加わりました。
第1章:電磁場の基本的性質
マクスウェル方程式、物質方程式、境界条件、エネルギー法則、波動方程式と光速、偏光とストークスパラメータを含むスカラー波とベクトル波、平面波の反射と屈折(フレネルの公式)、そして成層媒質中の波の伝播、すなわち誘電体薄膜の理論を扱います。
第2章:電磁ポテンシャルと分極
真空中の電気力学ポテンシャル、分極と磁化およびヘルツベクトル、ローレンツ=ローレンツの公式と初等的な分散理論、積分方程式による波の伝播の扱い(エヴァルト=オシーンの消光定理を含む)を扱います。
第3–4章:幾何光学の基礎;光学的結像の幾何学的理論
第3章は、極めて短い波長の極限として幾何光学を導き(アイコナール方程式と強度の法則)、光線の一般的性質、フェルマーの原理と関連する定理を扱います。第4章は結像の理論を組み立てます。ハミルトンの特性関数、完全結像、射影変換、ガウス光学、広角光束の無非点結像、非点光束、色収差、放射測定と絞り、光線追跡、非球面、そして第7版で加わった投影からの像の再構成です。
第5–6章:収差の幾何学的理論;結像光学系
第5章は収差関数と一次(ザイデル)収差、すなわち球面収差、コマ収差、非点収差と像面湾曲、歪曲収差、および色収差を展開します。第6章はその理論を、眼、カメラ、屈折望遠鏡と反射望遠鏡、照明装置、顕微鏡に応用します。
第7–8章:干渉と干渉計の理論の要素;回折理論の要素
第7章は、波面分割と振幅分割による二光束干渉(ヤング、マイケルソン、マッハ=ツェンダーなど)、コヒーレンス長、ファブリー=ペロー干渉計による多光束干渉を扱います。第8章は、ホイヘンス=フレネルの原理とキルヒホッフの回折理論、さまざまな開口と回折格子・光学装置でのフラウンホーファー回折、直線エッジでのフレネル回折、焦点付近の3次元の光の分布、ホログラフィー、レイリー=ゾンマーフェルト積分を展開します。
第9章:収差の回折理論
収差がある場合の回折積分、ゼルニケの円多項式、公差条件、一次収差の回折像、コヒーレント照明と非コヒーレント照明での広がりのある物体の結像を扱います。
第10章:部分コヒーレント光の干渉と回折
多色場の複素表示、相関関数と相互コヒーレンス関数、準単色光の干渉、相関に起因するスペクトル変化、顕微鏡の照明と結像への応用、部分コヒーレンスの厳密な理論、コヒーレンシー行列、偏光度、ストークスパラメータを扱います。
第11–12章:厳密な回折理論;超音波による光の回折
第11章は厳密解を扱います。境界条件、平面スクリーンと半平面による2次元・3次元の回折、解の一意性です。第12章は、積分方程式の方法とラマン=ナース近似による超音波での光の回折を述べます。
第13章:不均一媒質からの散乱
スカラー散乱理論(一次のボルン近似、周期ポテンシャルからの散乱、多重散乱)、回折トモグラフィーの原理、光学的断面積定理、相反関係、Rytov級数、電磁波の散乱を扱います。
第14–15章:金属の光学;結晶の光学
第14章は導体中の波の伝播、金属表面での反射と屈折、光学定数の電子論、金属薄膜、導体球による回折のミーの理論を扱います。第15章は異方性媒質の誘電テンソル、結晶中の波の伝播、一軸性結晶と二軸性結晶、結晶光学での測定(補償板、干渉像)、応力複屈折と形状複屈折、吸収性結晶を扱います。
付録
12の付録は、変分法、光学・電子光学・波動力学、積分の漸近近似、ディラックのデルタ関数、いくつかの数学的補題と証明、ゼルニケ多項式を扱います。
主要概念
第1–2章:電磁気学的な基礎
- マクスウェル方程式と境界条件:以後のすべての結果の出発点。
- 成層媒質:誘電体薄膜の行列による扱い。
- エヴァルト=オシーンの消光定理:積分方程式による反射と屈折の導出。
第3–6章:幾何光学と収差
- アイコナール方程式とフェルマーの原理:短波長の極限。
- ハミルトンの特性関数:結像の幾何学的理論。
- ザイデル収差:球面収差、コマ、非点収差、像面湾曲、歪曲。
第7–10章:干渉、回折、コヒーレンス
- キルヒホッフの回折理論:回折の標準的なスカラー理論。
- ファブリー=ペロー干渉計:多光束干渉。
- 相互コヒーレンス関数:部分コヒーレント光の相関による記述。
- ゼルニケ多項式:収差関数の展開。
第11–15章:厳密解、散乱、材料
- 半平面の厳密な回折:ベクトル場の厳密解。
- ボルン近似と回折トモグラフィー:散乱場から散乱体を再構成する。
- ミー理論:導体球による散乱。
- 複屈折:誘電テンソルと、一軸性・二軸性結晶中の光。
批判的分析
長所
- 統一された電磁気学的基盤。 Choice誌の書評(J. Lambropoulos)は、本書が光学の電磁場による記述から始まり、金属と結晶の光学で終わると述べており、目次もその流れを裏付けています。ピーター・ナイト卿による序文は、連続的な物質分布で記述できるすべての光学現象を電磁理論に基づいて体系的に扱う本、という評を引用しています。
- 数学的な厳密さ。 Contemporary Physics誌の書評(R. S. Shorter)は、本書の強みを数学的な明晰さに帰しています。序文は、ボルンの方法を、問題をまず一般的な形で立て、次により単純な特殊な場合に落とすものと説明しています。
- コヒーレンス理論。 序文は振幅と強度の相関の丁寧な扱いを指摘しており、目次でも部分コヒーレンスに長い独立の章(第10章)が割かれています。
- 参照のための付録。 変分法や積分の漸近近似を含む12の付録が、証明と技法を一か所にまとめています。Choice誌の書評者は、付録が大いに有用だと特記しています。
- 主題の広さ。 15の章は、収差理論と光学装置から、厳密な回折、超音波による回折、散乱、結晶光学にまで及び、多くの専門分野の資料になります。
短所
- 古典光学のみ。 目次にはレーザー、非線形光学、量子光学の章がありません。序文は、原子光学と量子光学の巻が初版の序文で予定されていたが、本書の一部ではないと述べています。
- 非常に厳しい数学。 厳密な回折の第11章、ミーの理論の第14章、漸近積分の付録などは、ベクトル解析、フーリエ解析、複素関数に習熟していることを前提とします。Choice誌の書評者は大学院レベルの教科書と呼んでいますが、結像光学系の議論などからは学部生も得るところがあるかもしれません。
- 参考書の形式。 900ページを超え、付録も長いので、通読するより主題ごとに引くのに向いています。
- 版について。 この刷りは1999年の第7版に新しい序文を付けて再録したものなので、それ以降の光学の発展は含まれていません。
コースにおける位置づけ
この光学のリストの中で、Born と Wolf は包括的な大学院レベルの参考書です。Hecht の Optics と Pedrotti の Introduction to Optics は、より低い数学のレベルで光線光学、干渉、回折、偏光を扱う学部向けの教科書で、最初に手に取る本として適しています。French の Vibrations and Waves は波の背景を与え、Walmsley の Light: A Very Short Introduction は光とは何かを数式なしで概観します。Saleh と Teich の Fundamentals of Photonics は隣接する大学院向けの教科書で、光線と波からレーザー、光ファイバー、検出器へと進み、Born と Wolf が扱わない内容を含みます。
典型的な道筋は、まず Hecht か Pedrotti、次に同じ現象を厳密に扱う Born と Wolf、そして現代のフォトニクスのために Saleh と Teich です。
本書の使い方
本書は、大学院生や研究者、そして光学と電磁気学を学び、ベクトル解析、フーリエ解析、複素関数に慣れた学部上級生向けです。
実践的な進め方は次のとおりです。
- 中核: 電磁気学の基礎は第1章、幾何光学と結像は第3章と第4章、干渉は第7章、回折は第8章。
- コヒーレンスと光学装置: 部分コヒーレンスは第10章、光学装置は第6章、回折と収差は第9章。
- 専門的な章: 課題が、厳密な回折、超音波による回折、散乱とトモグラフィー、金属、結晶を必要とするときは第11〜15章。
- 付録の活用: 変分法と漸近的な方法は、それに依存する章の前に読む価値があります。
- 序文を読む: 本書がどのように成立したか、またコヒーレンス理論や回折トモグラフィーなどの主題がなぜ収められているかが説明されています。
