01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Chabay, R. W., & Sherwood, B. A. (2015). Matter and Interactions, Volume 1: Modern Mechanics (4th ed.). Wiley.
章の要約
第4版の第1巻は、序文、12の章、チェックポイントと奇数番号の問題の解答からなります。3つの短い補遺(気体と熱機関、半導体デバイス、波動)は本巻には収められず、出版社のウェブサイトで提供されています。電気と磁気の相互作用を扱う第2巻は第13章から始まります。
第1章:Interactions and Motion
運動のベクトル記述を導入し、速度をベクトル量として扱います。また、本書全体を貫く運動量の計算を始めます。章末問題には相対論的な因子を用いる運動量の計算も含まれ、高速運動は最初の章からコースの一部になっています。
第2章:The Momentum Principle
運動量の原理は、本書の中心となる原理の第一です。この章では、力を計算し、運動量、次いで位置を更新するという小さな時間刻みによる運動の予測を扱い、この反復的な方法を、合力が一定のときに得られる解析解と対比します。演習には自由落下の問題や速度対時間のグラフが含まれます。
第3章:The Fundamental Interactions
運動量の原理に力を与える基本的な相互作用を示す章で、原理そのものと、その後に続くより身近な接触力の間に位置します。
第4章:Contact Interactions
物体どうしが接触するときに生じる力を扱います。長い章で、後半の節(4.14)では大気の一定密度モデルを組み立てます。
第5章:Determining Forces from Motion
推論の向きを逆にし、観測された運動から合力を求めます。演習には、ロープで支えられた物体、ブロック間の摩擦、力の図、合力が円の中心向きになる円運動などがあります。
第6章:The Energy Principle
本巻の中心となる第二の原理です。後半では脱出速度と軌道を、万有引力定数を用いて扱い、問題ではジュール単位で仕事とエネルギーを答えます。
第7章:Internal Energy
エネルギーを物体全体の運動から物質の内部に蓄えられたエネルギーへ広げ、巻末の熱に関する話題への準備をします。
第8章:Energy Quantization
原子系の量子化されたエネルギー準位を導入します。問題の解答は電子ボルトで示されます。
第9章:Translational, Rotational, and Vibrational Energy
エネルギーを並進、回転、振動の各部分に分けます。早い節(9.2)で慣性モーメントを導入し、回転エネルギーに用います。
第10~11章:Collisions;Angular Momentum
衝突の章では、一次元の場合を含め、保存原理を相互作用する物体に適用します。第三の原理である角運動量は第11章で扱われ、回転と角速度に関する問題が付きます。第5版では角運動量の原理が衝突より前に移されている点に注意してください。
第12章:Entropy: Limits on the Possible
本巻はエントロピーで終わります。副題は、それを可能なことの限界を定めるものとして位置づけています。この章では比熱など物質の熱的性質も扱われます。
主要概念
第1~5章:運動と力
- 運動量の原理:系にはたらく合力が、運動量の変化の割合を決める。
- 基本的な相互作用:後の章で用いられる力を説明する基本的な相互作用。
- 接触相互作用:接触している物体間の力で、独立した章で扱われる。
第6~9章:エネルギー
- エネルギーの原理:系のエネルギーの変化は、周囲が系にした仕事に等しい。
- 内部エネルギー:物質の内部に蓄えられたエネルギー。
- エネルギーの量子化:原子系のエネルギー準位。
第10~12章:衝突、回転、エントロピー
- 衝突:保存量を通して解析される相互作用。
- 角運動量:運動量の原理に対応する回転の量。
- エントロピー:最終章の主題で、可能なことの限界として位置づけられる。
批判的分析
長所
- 原理にもとづく構成。 章題は運動量の原理、エネルギーの原理、角運動量を軸に組まれています。出版社は、少数の基本原理とそこから導かれるモデルを重視する教科書と説明しており、目次もそれを反映しています。
- 最初から計算を使う。 時間刻みによる運動の予測は第2章で既に現れ、著者のサイトにはVPythonによるデモプログラムとVPythonの入門動画があるため、計算によるモデル化は付け足しではなくコースの一部です。
- 力学の中の原子・現代物理。 内部エネルギー、エネルギーの量子化、エントロピーが同じ巻に入り、相対論的な運動量は第1章の問題に現れます。出版社はこの20世紀物理の統合を設計上の目標として示しています。
- 補助教材。 著者のサイトには2019年にRuth Chabayが行った力学の講義動画があり、VPythonの指導を含みます。本書自体にもチェックポイントとその解答、奇数番号の問題の解答があります。
短所
- 通常と異なる順序。 目次には、運動学、振動、万有引力を独立した章とするものがなく、原理中心の章に組み込まれています。従来のシラバスに沿う授業では、話題と章の対応づけが必要です。
- 正誤表。 著者は第4版について長い正誤表を公開しており、第2章の例題や多数の問題の解答が含まれます。印刷された解答に頼る前に確認してください。
- 版による違い。 第5版(2025年、著者が2名追加)では章の順序が変わっており、ページや章の参照はそのまま使えません。
- 入門レベルの上限。 本巻は入門レベルで終わり、ラグランジュ形式やハミルトン形式は目次に含まれません。
コースにおける位置づけ
力学のコースの中で、本書は1年次向けの教科書です。微積分を使う入門で、保存の原理を運動量の原理と簡単なプログラムを通して学びます。数学的な注意を払ってニュートン力学を扱い、その後ラグランジュ形式とハミルトン形式に進む中級コースであるTaylorの『Classical Mechanics』や、問題が豊富な学部向けのDavid Morinの『Introduction to Classical Mechanics』の前に読む本です。
SusskindとHrabovskyの『The Theoretical Minimum』は、独学向けの簡潔な講義形式の代替で、ニュートンの法則からラグランジュ・ハミルトンの考え方へ素早く進みます。Goldsteinの『Classical Mechanics』は大学院レベルの扱いです。Smitsの流体力学の本や、リストにある工学系の材料力学の本は、本巻が扱わない変形する媒体を扱います。
本書の使い方
本書は、微積分を使う物理の授業を始める物理、工学などの理系の学生向けです。前提とされているのは、高校の物理と微分の最初の授業(または並行して学ぶ微積分)です。
実践的な進め方は次のとおりです。
- 中核: 第1~6章を順に。ベクトル、運動量の原理、力、エネルギーの原理を確立し、以降のすべての章がこれに依存します。
- 次に: 物質、量子化、回転を扱う第7~9章、続いて第10~11章(上記の版に関する注意を踏まえて)。
- 仕上げ: エントロピーを扱う第12章で、本巻の熱的な締めくくりとなります。
- 並行して: 第2章以降のエネルギーの章に対応するVPythonプログラムを書くか実行し、読みながらチェックポイントを使い、解答を正誤表と照らし合わせてください。
