01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Kumar, V., Abbas, A. K., & Aster, J. C. (2021). Robbins and Cotran Pathologic Basis of Disease (10th ed.). Elsevier.
章の要約
第10版は29章からなり、索引の前までの本文は約1,330ページ、全体では約1,380ページである。出版社は、人間の疾患とその細胞・分子的基盤についての詳細な概観であると説明しており、1,000点を超える写真とフルカラーの図、各節の冒頭の太字の概説、要点ボックス、推奨文献、模式図が備わる。章の順序は二つの部分に分かれる。最初の10章は臓器を横断する疾患の過程と区分を扱い、第11章からは臓器系ごとに進む。
第1〜2章:冒頭の2章
最初の2章は最初の70ページを占め、第3章から炎症と修復が始まる。出版社の更新項目の一覧には、細胞レベルの内容、すなわち未折り畳みタンパク質応答と非アポトーシス性の細胞死の経路が含まれており、疾患の細胞・分子的基盤という本書の掲げる焦点に合っている。
第3〜4章:炎症と修復;血行動態の異常、血栓塞栓症、ショック
炎症と修復(第3章)、血行動態の異常、血栓塞栓症、ショック(第4章)は、冒頭の章に続いて、傷害に対する一般的な反応と血流の障害を扱い、それぞれ約45ページと25ページである。
第5〜7章:遺伝性疾患;免疫系の疾患;腫瘍
遺伝性疾患(5)、免疫系の疾患(6)、腫瘍(7)は、機序に基づく疾患の区分である。腫瘍の章がこのうち最長で約70ページあり、出版社はリンパ腫の分類やがん検出のためのリキッドバイオプシーなど、最近の内容を強調している。
第8〜10章:感染症;環境性・栄養性疾患;乳幼児期・小児期の疾患
感染症(8)、環境性・栄養性疾患(9)、乳幼児期・小児期の疾患(10)で最初の部分が完結する。感染によるもの、環境要因や栄養要因によるもの、そして幼少期に特有の疾患である。出版社はコロナウイルス感染症を注目の話題に挙げている。
第11〜14章:血管;心臓;白血球、リンパ節、脾臓、胸腺の疾患;赤血球と出血性疾患
臓器系の章は、心血管系と造血系から始まる。出血性疾患は第14章にあり、出版社は更新項目として血栓性微小血管症とヘパリン起因性血小板減少症も挙げている。
第15〜21章:肺、頭頸部、消化管、肝臓と胆嚢、膵臓、腎臓、下部尿路と男性生殖器系
これらの章は、肺(15)、頭頸部(16)、消化管(17)、肝臓と胆嚢(18)、膵臓(19)、腎臓(20)、下部尿路と男性生殖器系(21)である。この群で最長なのは第17章と第18章で、それぞれ約70ページと58ページである。
第22〜25章:女性生殖路;乳房;内分泌系;皮膚
さらに四つの臓器系で、各章はそれぞれ約50、30、70、40ページである。
第26〜29章:骨、関節、軟部腫瘍;末梢神経と骨格筋;中枢神経系;眼
最後の一群は、筋骨格系、神経と筋、中枢神経系、眼を扱う。出版社は更新項目に炎症性ミオパチーを挙げている。最終章は約1,328ページで終わる。
主要概念
第1〜10章:疾患の過程
- 細胞傷害と細胞死:細胞が損傷にどう応答するか。出版社が挙げる未折り畳みタンパク質応答や、非アポトーシス性の細胞死の経路を含む。
- 炎症と修復:傷害への応答とそれに続く過程。
- 血行動態の異常と血栓塞栓症:血流と凝固の異常、およびショック。
- 遺伝性、免疫性、腫瘍性の疾患:臓器系を横断する疾患の機序。
第11〜29章:臓器系
- 臓器系の疾患:各臓器の主な疾患。章の一覧が示す順に並ぶ。
- 臨床病理学的対応:細胞・分子の変化から、構造、検査、臨床所見へとつなぐこと。出版社が強調している。
- 分子・遺伝学的検査:出版社は、遺伝学的・分子的検査と個別化医療についての内容が更新されたと述べている。
批判的分析
長所
- 一貫したレイアウトによる包括的な扱い。 一般的な過程から臓器系へと進む構成に、節の概説と要点ボックスが加わり、機序と各臓器の疾患を行き来できる。
- 豊富な図版。 出版社は、新しい肉眼像・顕微鏡像を含む1,000点を超える写真とフルカラーの図があると述べており、形態を通じて学ぶこの分野に合っている。
- 新しさ。 出版社は、C型肝炎の新しい治療、リンパ腫の分類、コロナウイルス感染症、リキッドバイオプシー、クローン性造血と動脈硬化など、この版で新しい話題を挙げている。
- 評者による推薦。 Doody's Review Service で、Ivan Damjanov(カンザス大学医療センター)は、現代の主要な病理学の教科書として強く推薦している。出版社はまた、授業だけでなく USMLE や専門医試験の準備にも適していると説明している。
短所
- 大きさ。 約1,380ページなので参考書であり、通読できるコースは少ない。最初に読むには、より短い併用書や復習書が必要である。
- 前提とされる知識。 想定される読者は医学生、病理の研修医、病理医で、解剖学、組織学、生理学、生化学を前提とする。
- 版への依存。 コロナウイルス感染症やリキッドバイオプシーなどの注目の話題は古くなるのが早く、推奨や分類は最新の資料で確認すべきである。
- 診断アトラスや臨床マニュアルではない。 本書は疾患の病理学的基盤を教える。治療の指針や詳細な診断基準は臨床や病理学の参考書に当たること。
コースにおける位置づけ
Robbins and Cotran は、病理学のリストの中の包括的な参考書である。四冊が、それぞれ異なる形でこの前、あるいは並んで位置する。Crash Course Pathology はこの分野に初めて接する学生向けの簡潔な復習書、Pathology Illustrated は注釈付きの図や写真による見開きで各話題を示す。Robbins & Kumar Basic Pathology は最初のコース向けに書かれた短い併用書で、第11版は22章、約840ページ、Underwood's Pathology: A Clinical Approach は機序を臨床像に結びつける医学生向けの教科書である。
Rubin's Pathology: Mechanisms of Human Disease はもう一つの包括的な教科書で、約1,400ページ、1,700点を超える画像とオンラインのバーチャル顕微鏡動画がある。コースが使う方を主教科書とし、別の説明が必要な話題でもう一方を開くとよい。順序としては、短い本で全体像をつかみ、コース本体には Basic Pathology か Underwood's を、そして Robbins and Cotran を深さのために、また機序の復習や上級学年で使うのが妥当である。
本書の使い方
本書は、臨床前の学年以降の医学生、病理科やその他の科の研修医、生物医科学の大学院生に向いている。想定される素養は解剖学、組織学、生理学、生化学である。
読み進め方の一例:疾患の過程を扱う冒頭の章(第1〜10章)を順に読む。臓器系の章が、傷害、炎症、腫瘍、遺伝・免疫の機序についての語彙を繰り返し用いるからである。続いて臓器系の章を、臓器系の講義の順に読み、各章を太字の節の概説と要点ボックスから始める。詳細で長い部分(まれな疾患、遺伝学的サブタイプ)は参照用に取っておく。各疾患について、原因、機序、構造の変化、臨床的な帰結、検査という同じ連鎖をたどる。復習には、本書に付属するオンラインの症例、動画、自己評価問題を使い、形態についてはスライドやアトラスと併用する。
