01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Celentano, D. D., Szklo, M., & Farag, Y. (2025). Gordis Epidemiology (7th ed.). Elsevier.
章の要約
第7版は、Leon Gordisが最初に書いた教科書を、ジョンズ・ホプキンス大学の3人の疫学者が引き継いだものである。全20章(本文約420ページ)は3部に分かれている(第I部「疾病と介入への疫学的アプローチ」第1–6章、第II部「疾病の原因を特定するための疫学」第7–16章、第III部「評価と政策への疫学の応用」第17–20章)。出版社は、章の流れを観察と仮説の形成からデータ収集と分析へと進むものと説明しており、最後の部は評価と政策に向かう。各章末には復習問題があり、解答は巻末にまとめられ、出版社はさらに200問以上の多肢選択問題をオンラインで提供している。新版ではCOVID-19のパンデミックから引いた例が加わった。著者らの序文は、世界が疫学の役割を認識するにはパンデミックが必要だったと述べている。
第1章:序論
疫学が何のためにあるのかを概観する。ある箇所では、1910年から1977年にかけての米国におけるリウマチ熱による死亡の減少を示すグラフが使われる。その減少の大半はペニシリン以前に起きており、厳密な研究なしに死亡率の低下を医療のおかげとすることへの戒めとなっている。続いて章は、予防と治療を二者択一ではなく統合すべきものとして論じる。
第2章:疾病伝播の動態
感染症が集団のなかでどのように広がるか。本書が疾病の発生を扱う出発点である。
第3–4章:疾病の発生:I. 疾病サーベイランスと罹患の指標/II. 死亡とその他の疾病影響の指標
疾病の測定を2部構成で扱う。まずサーベイランスと罹患の指標、次に死亡とその他の疾病の影響を示す指標。
第5章:診断検査とスクリーニング検査の妥当性と信頼性の評価
検査が疾病のある人とない人をどれだけ正しく分類できるか、また結果がどれだけ一貫しているか。
第6章:疾病の自然史:予後の表し方
疾病の経過を記述し、予後を表す方法。
第7–9章:観察研究/コホート研究/コホート研究と症例対照研究の比較
観察研究のデザインを扱い、コホート研究に1章を充て、さらにコホート研究と症例対照研究を比較する章を置く。
第10–11章:予防的・治療的介入の評価:ランダム化試験/ランダム化試験:さらなる論点
予防と治療を評価する手段としてのランダム化試験を2章にわたって扱う。
第12–13章:リスクの推定:関連はあるか/リスク再論:予防の可能性の推定
関連の指標を扱い、次にどれだけの疾病を予防できるかを示す指標に進む。
第14–15章:関連から因果へ:疫学研究から推論を導く/因果推論再論:バイアス、交絡、交互作用
観察された関連から因果的な結論への移行を扱い、続いてその推論を脅かす主要な要因を取り上げる。
第16章:疾病の原因における遺伝要因と環境要因の役割の特定
疾病への遺伝と環境の寄与。出版社によれば、本書には遺伝学用語の用語集が含まれている。
第17–18章:保健医療サービスの評価への疫学の利用/スクリーニング・プログラム評価への疫学的アプローチ
保健医療サービスやスクリーニング・プログラムが機能しているかを判断するための疫学の応用。第1章でもすでに、医療の評価に用いる研究デザインについて第17章を参照するよう示している。
第19–20章:疫学と公共政策/疫学における倫理的・職業的問題
本書は、政策における疫学の役割と、この分野の倫理的・職業的な問題で締めくくられる。
主要概念
第I部:疾病を測る
- 疾病の伝播:感染が広がる動態。発生の指標より前に導入される。
- サーベイランスと罹患の指標:疾病の体系的な監視と、どれだけの病気が存在するかを記述する指標。
- 死亡と疾病の影響:死亡と、より広い疾病負担を要約する指標。
- 検査の妥当性と信頼性:診断検査やスクリーニング検査が人を正しく分類するか、また一貫した結果を出すか。
第II部:原因を見つける
- コホート研究と症例対照研究:主要な2つの観察研究デザインで、第9章で直接比較される。
- ランダム化試験:予防的・治療的介入の実験的な評価。
- 関連と予防の可能性:リスクの推定と、介入によってどれだけの疾病を防げるか。
- バイアス、交絡、交互作用:関連を因果的と判断する前に考慮しなければならない脅威と複雑さ。
第III部:評価と政策
- 保健医療サービスとスクリーニング・プログラムの評価:医療やスクリーニングが目的を達しているかを判断するための疫学的デザイン。
- 疫学における倫理:疫学の研究と実践が提起する職業上の問題。
批判的分析
長所
- わかりやすい提示。 出版社もDoody'sの書評も、明快な文章と実践的な例を強調している。この版に対する2025年のDoody'sの書評(Tristan Milarch)は、実社会への応用を重視している点を挙げ、疫学を初めて学ぶ読者にとりわけ有用だと評価した。第6版に対する書評(Michael A. O'Rorke)は、原理の基礎を必要とする学生に最適だと述べている。たとえば第1章は、医療と死亡率についての論点を、歴史的なグラフと漫画で示している。
- 自己テストが組み込まれている。 章末に復習問題があり、解答は巻末に印刷され、さらに200問以上の多肢選択問題がオンラインで提供される。
- 応用の幅広さ。 研究デザインと因果にとどまらず、スクリーニング検査とスクリーニング・プログラム、予後、ランダム化試験、遺伝要因と環境要因、保健医療サービスの評価、政策、倫理にそれぞれ1章を充てており、医学生にも公衆衛生の学生にも役立つ。
- 長く検証されてきた構成。 著作権ページには1996年以降の旧版が並んでいる。3部構成は今回で7回目の改訂を迎え、この版ではCOVID-19の教訓を取り入れて例を更新している。
短所
- 統計分析は主眼ではない。 目次には層別解析や回帰といったデータ分析手法の章がなく、交絡と交互作用の扱いは因果推論の1章に集中している。データを分析しなければならない学生には方法論のテキストが必要になる。
- 選ぶべき章が多い。 20章あり、ランダム化試験、リスク、因果推論はそれぞれ2章に分かれている。短い入門科目で全部を扱うのは難しく、教員も独学者も取捨選択が必要になる。
コースにおける位置づけ
このコースで初学者向けに書かれた2冊の入門書のうち、より充実しているのが Gordis Epidemiology である。Rothman、Huybrechts、Murrayの Epidemiology: An Introduction はより短く概念的で、交絡と因果から始まり、公式を最小限にとどめ、分析と回帰の入門的な章を加えているが、問いの解答は印刷していない。Gordisは疾病の測定、スクリーニング、試験、保健医療サービスと政策における疫学の利用についてより多くを扱い、全体を通じて自己テスト用の問題を備えている。範囲の広さと演習のためにGordisを、方法の背後にある考え方のためにRothmanを読むという組み合わせは効果的である。
Webb、Bain、Pageの Essential Epidemiology は、公衆衛生と保健医療職のために同様の範囲を扱い、予防、アウトブレイク、政策に重点を置いている。さらに学びを続ける人には、Mark Woodwardの Epidemiology: Study Design and Data Analysis が、Gordisがほとんど扱わない統計的なデザインと分析を補い、Modern Epidemiology が因果推論、バイアス、分析についての大学院レベルの包括的な参考書となる。
本書の使い方
出版社は本書の対象として、学部および修士レベルの公衆衛生の学生、医学生、そして疫学入門の授業をもつあらゆるプログラムを挙げている。始めるには基本的な算数で十分である。
実践的な読書計画:
- 中核: 第1–5章(疫学の役割、伝播、罹患と死亡の指標、検査の妥当性)、続いて本書の中心である第7–15章(研究デザイン、試験、リスクの指標、因果推論)。
- プログラムに応じて: 医学生は検査と予後を扱う第5章と第6章を飛ばさないこと。公衆衛生の学生は、サービス、スクリーニング・プログラム、政策を扱う第17–19章を加えるとよい。第16章は遺伝学に関心のある人に向き、倫理を扱う第20章は本格的な授業なら必ず含めたい。
- 演習: 各章末の復習問題を解いてから巻末の解答を確認し、復習にはオンラインの多肢選択問題を使う。
図表には能動的に取り組むこと。本文中の表から率や関連の指標を計算し直し、その意味を一文で述べてみる。第7–15章で導入されるバイアスとデザイン上の特徴の一覧を作り、毎週1本の公表論文に当てはめてみる。方法がなぜ機能するのかをより深く知りたいなら、Rothmanの Epidemiology: An Introduction の対応する章を並行して読むとよい。
