01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Allenby, R. B. J. T. (1997). Numbers and Proofs. Butterworth-Heinemann.
章の要約
本書は、数学専攻の1・2年次の学部生のための、やさしい証明入門である。論理を抽象的に教えるのではなく、数(整数、有理数、実数、複素数)に関する問題を使って有用な証明の方法を示す。出版社によれば、各証明の前には、読者が証明を試みる前に抱きそうな考えについての議論が置かれている。目的は、他人の証明を読み解き、自分の証明を組み立てられるようになることである。文体は愉快で気取らないものと紹介され、より進んだ学部の数学への橋渡しとなることを意図している。本書は14の章からなり、解答の付録、演習問題の答え、参考文献が続く。
第1章:証明の必要性
冒頭の章は証明の必要性を説く。これは、実験で見つかった真理を論理的に確かな議論で裏づけることを重視するという、本書が掲げる姿勢にも合致している。
第2章:命題と結合子
命題の言語と、それらを結びつける結合子。後の証明が頼る論理の文法である。
第3章:真か偽か
命題が真か偽かを判定する。前章の論理的な基礎づけを続ける。
第4章:集合、否定、記法、関数
証明を書くための語彙。集合、命題の否定、記法、関数を扱う。
第5~6章:すべてについての証明、存在についての証明
議論の二つの基本形を扱う二つの章。前者は、集まりのすべての元について何かが成り立つことの証明、後者は何かが存在することの証明を扱う。
第7章:数学的帰納法の原理
証明の方法としての帰納法。「すべて」と「存在」の章に続いて置かれる。
第8~10章:整数と有理数、有理数と実数、実数と複素数
これらの方法を数の体系に適用し、整数と有理数から実数を経て複素数へと進む。題名の「数」に最も直接かかわる章である。
第11~12章:推測、類推、変換、一般化と特殊化
証明の見つけ方についての章。推測、類推と変換、問題の一般化または特殊化を扱う。
第13~14章:誤謬とパラドックス、雑多な問題集
誤った議論で何が間違っているかを示す誤謬とパラドックスの章と、最後の雑多な問題集。
主要概念
第1~4章:論理と言語
- 命題と結合子:命題をどう組み合わせるか、複合命題が真になるのはどのような場合か。
- 集合、否定、関数:証明が依拠する記法と命題の否定。
第5~7章:証明の方法
- 「すべて」についての証明と存在の証明:証明がとる二つの基本形。
- 数学的帰納法:基底の場合と帰納段階から、すべての自然数についての命題を証明すること。
第8~14章:数と問題解決
- 数の体系:整数、有理数、実数、複素数が、証明の舞台となる。
- 類推、一般化、特殊化:証明を見つけるための戦略。
- 誤謬とパラドックス:正しく見えるが正しくない議論。
批判的分析
長所
- 証明の前に考える。 出版社は、各証明の前に、証明を試みる前に抱きそうな考えを示す議論が置かれていると強調している。読者は、証明がどう確かめられるかだけでなく、どう見つけられるかを知ることができる。
- 証明の一貫した舞台。 方法を数の体系についての問題で教えるため、例は学校数学から来た学生にもなじみ深い。出版社は、本書をより複雑な学部数学への理想的な橋渡しと述べている。
- 定型的な論理を超える。 推測、類推、一般化、特殊化、誤謬とパラドックスの最終章は、検証だけでなく発見と誤りを扱う。実験で見つかった真理を隙のない議論で裏づけることの重要性も強調される。
- 独習の支え。 目次には解答の付録と演習問題の答えの両方があり、読者は自分で答え合わせができる。
短所
- 例の範囲が狭い。 内容は数を軸に組まれており、目次には関係、濃度、群のような代数的構造を扱う独立した章はない。代数に進む学生は別の本が必要になる。
- 論理は道具としてのみ。 命題、結合子、真偽を扱う章が二つあるが、やさしい入門であり、形式論理を展開することを目指していない。一階の言語を正確に扱いたい読者は論理学の本に向かうべきである。
- くだけた語り口。 出版社は、著者の愉快で気取らない文体を強調している。簡潔で形式的な叙述を好む読者には、別の本のほうが合うかもしれない。
コースにおける位置づけ
アレンビーの本は、数を通して教える証明入門である。リチャード・ハンマックの Book of Proof は、計算中心の数学から抽象的な数学へ移る学生のための無料の教科書で、集合、論理、直接証明、対偶、背理法、帰納法、さらに関係、関数、濃度を扱う。扱う話題が幅広いのに対し、アレンビーは一つの主題に近い。ダニエル・ヴェレマンの How to Prove It は、命題と量化子の論理から出発し、定理の論理形式が証明の方針を示すことを説明するもので、論理の面ではより体系的である。ピーター・エクルズの An Introduction to Mathematical Reasoning: Numbers, Sets and Functions は主題が最も近く、マーティン・リーベックの A Concise Introduction to Pure Mathematics は純粋数学のいくつかの分野を概観する。エンダートンの A Mathematical Introduction to Logic とリアリーとクリスティアンセンの A Friendly Introduction to Mathematical Logic は論理学の形式的な扱いで、本書のような本の代わりではなく、そのあとに読むものである。
本書の使い方
対象は、これまでの数学が主に計算中心だった学生も含めた、1・2年次の学部生である。学校数学の知識で十分である。
第1~7章を順に読む。これらの章が論理の語彙と三つの主要な技法(すべて、存在、帰納法)を与えるからである。第8~10章は丁寧に取り組む価値がある。各証明の前の議論を読んだあと、本書の証明を読む前に自分で証明を試みるとよい。第11~14章は、二巡目やざっと目を通すのに向いている。
演習問題を解き、解答の付録と答えで確認する。特定の技法の演習がもっと必要なら、ハンマックやヴェレマンを併用し、方法が自然に使えるようになったら、解析学または代数学の最初の課程へ進む。
