01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Stoer, J., & Bulirsch, R. (2002). Introduction to Numerical Analysis (3rd ed.; R. Bartels, W. Gautschi & C. Witzgall, Trans.). Springer. Texts in Applied Mathematics, vol. 12.
章の要約
第3版は約740ページで8つの章からなり、その後に参考文献、数値計算法の一般文献一覧、索引が続く。著者のドイツ語の教科書の翻訳で、英語版は1980年に初めて出版された。各章は数値解析の講義の通常の流れに沿っており、誤差の算術から、近似と積分、数値線形代数の二つの分野を経て、零点と最小化、最後に微分方程式に至る。章の長さは重点の置かれ方を示している。常微分方程式(154ページ)、大規模連立一次方程式の反復法(111ページ)、補間(108ページ)、固有値問題(101ページ)が大きい。
第1章:Error Analysis(誤差解析)
第1章(36ページ)は、有限精度の算術で数値計算を行うときに生じる誤差と、それがアルゴリズムの中でどう伝播するかを扱う。後続の章で使う誤差と安定性の語彙を整える。
第2章:Interpolation(補間)
108ページで、最初の4章の中で最も長い。与えられたデータに一致する関数の構成を扱う。
第3章:Topics in Integration(積分の話題)
短めの章(45ページ)で、数値積分、すなわち関数値から定積分を計算することを扱う。
第4章:Systems of Linear Equations(連立一次方程式)
連立一次方程式の数値解法で、約100ページ。行列の問題を扱う3つの章(第4、6、8章)の最初である。
第5章:Finding Zeros and Minimum Points by Iterative Methods(反復法による零点と最小点の探索)
非線形方程式の零点と多変数関数の最小点を反復法で求める。Acta Scientiarum Mathematicarum の評者は、最も重要な最小化の方法が徹底的に論じられている点を特に挙げている。
第6章:Eigenvalue Problems(固有値問題)
行列の固有値と固有ベクトルを計算する方法で、約100ページを占める。
第7章:Ordinary Differential Equations(常微分方程式)
常微分方程式の数値解法。同じ評者は、硬い(スティフ)方程式や陰的な微分方程式、微分代数系の解法を本書の長所に挙げている。
第8章:Iterative Methods for the Solution of Large Systems of Linear Equations. Additional Methods(大規模連立一次方程式の反復解法とその他の方法)
直接法が実用的でなくなる大規模な連立一次方程式のための反復解法。同じ評者はマルチグリッド法の基礎を本書の特色に挙げており、これはこの章の主題に合う。
主要概念
第1〜3章:誤差、補間、積分
- 誤差の伝播:丸め誤差やデータの誤差が計算の進行とともに増えたり減ったりする仕方で、あらゆるアルゴリズムを評価する基礎になる。
- 補間:データから関数を構成し、その上で近似、微分、積分を行えるようにすること。
- 数値積分(求積):標本値から定積分を近似すること。
第4〜6章:線形代数、零点と最小点、固有値
- 連立一次方程式:連立一次方程式の数値解法。第4章の主題であり、大規模な場合は第8章の主題である。
- 反復的最小化:最小点に収束する近似の列を作ること。
- 固有値計算:行列の固有値と固有ベクトルを求めるアルゴリズム。
第7〜8章:微分方程式と大規模系
- 硬い方程式と陰的な微分方程式:安定に数値解を得るために特別な方法が必要な問題。
- 大規模連立一次方程式の反復解法:規模と構造を活用する方法で、マルチグリッドの考え方を含む。
批判的分析
長所
- 一冊で幅広い。 8つの章は、誤差から大規模連立一次方程式まで数値解析の中心的な分野を覆っており、Mathematical Gazette の書評(Leversha、2004年)は、包括的な入門書であり貴重な参考書であると述べている。
- 古典的手法と現代的手法の両方。 EMS Newsletter(2003年)の評者は、よく書かれた教科書で、古典的な方法と現代的なアプローチを含み、興味深い例と慎重に選ばれた演習があるとしている。
- 特筆される話題。 Actaの書評は、高速Fourier変換の方法、最小化の方法、硬い常微分方程式と陰的な常微分方程式、微分代数系、マルチグリッド法の基礎が特によく提示されていると強調している。
- 教科書であり参考書でもある。 Gazetteの書評は、目次のおかげで個々の節を見つけやすいと述べ、巻末には数値計算法の一般文献が付いている。
短所
- 最初の課程としては難しい。 書評は学部最終学年か大学院初年度の学生向けとし、出版社のシリーズ紹介も上級学部生と大学院初年度の課程を対象としている。数学的成熟度のない学生は、先にもっと穏やかな本が必要になる。
- 長い。 約740ページあり、一つの講義で扱える量を超えるため、講義では章を選ぶ必要がある。
- 計算の実践が中心ではない。 章の一覧には、プログラミングの実践やソフトウェアを示すものがない。コードや実装を求める読者は、計算寄りの教科書を併用する必要がある。
コースにおける位置づけ
Stoer と Bulirsch は、このコースのリストの中で幅広く理論の厚い教科書である。Burden、Faires、Burden の Numerical Analysis は数値計算法とその背後の数学の学部向け入門であり、Süli と Mayers の An Introduction to Numerical Analysis は数学的に厳密な入門書である。どちらも最初の一冊として妥当である。Moler の Numerical Computing with MATLAB と Kong、Siauw、Bayen の Python を用いた教科書は、プログラミングを通じてこの分野を教え、実践面の良い併読書になる。
Trefethen と Bau の Numerical Linear Algebra は一つの分野に絞った簡潔な大学院向けの教科書で、Stoer と Bulirsch の第4、6、8章の主題を独立した一冊として扱う。全体像が欲しいときは Stoer と Bulirsch、数値線形代数が主な関心になったときは Trefethen と Bau を読むとよい。
本書の使い方
本書は、数学専攻の学部最終学年と大学院初年度の学生、そして参考書を求める研究者に向く。解析と線形代数に慣れていることが必要で、数値計算法の講義を受けていれば無理なく進められる。
- 中核: 第1〜4章が自然な最初の課程をなす。誤差、補間、積分、連立一次方程式。
- 次に: 非線形方程式、最小化、固有値の第5・6章、そして微分方程式の第7章。
- 後で: 大規模な疎な系の第8章。特殊な方法の参照用の章としても使える。
演習を主な練習とし、好きな言語でアルゴリズムを自分で実装して、本書が解析する誤差の振る舞いを確かめること。
