01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Culler, J. (2017). Theory of the Lyric. Harvard University Press.
章の要約
本書は序文、序論、七つの章、結論からなり、ペーパーバックで416ページである。出版社は、抒情詩についての二つのなじみ深い考え方への挑戦として本書を紹介している。一つは強い主観的表現とするロマン主義的モデル、もう一つは特定できるペルソナの虚構の発話とする現代的モデルである。カラーは、どちらも抒情詩のもっとも顕著な点を見落とし、西洋における抒情詩の長い伝統を歪めていると論じる。代わりに、その伝統のなかにある別の考え方、たとえばリズムの構造によって権威を与えられた公的な言説といった見方を探り、サッポーからアッシュベリーまでの詩によってより広い抒情詩のモデルを組み立てる。評者たちは、彼が多くの詩を全文引用していることを指摘している。
序論
序論は、本書が答える問いを立てる。抒情詩とはどういうものか、そして主流の二つの答え、表現とペルソナはなぜ不十分なのか。出版社の紹介は、カラーが「詩は解釈されるために存在する」という前提に異議を唱えると付け加える。評者のエリザベス・ヘルシンガーは、本書が抒情詩を、ペルソナの発話という虚構ではなく言語的出来事として扱うよう読者に促していると読む。
第1章:帰納的アプローチ
題名が方法を示している。議論は、定義から演繹されるのではなく、詩とその特徴から積み上げられる。
第2章:ジャンルとしての抒情詩
この章は、ジャンルとしての抒情詩を扱う。コリン・バローは『ロンドン・レビュー・オブ・ブックス』の書評で、本書が抒情詩の歴史と抒情詩についての思考の歴史の凝縮された概観から始まると述べている。
第3章:抒情詩の理論
この章は抒情詩をめぐる諸理論を扱い、序論が正そうとするロマン主義的な見方やペルソナに基づく見方もそこに含まれる。
第4章:リズムと反復
この章はリズムの構造を論じる。出版社の説明では、抒情詩はこの構造を通じて公的言説の権威を得る。
第5章:抒情詩の呼びかけ
第5章は呼びかけ、つまり抒情詩が聞き手、読者、その他の受け手に語りかける仕方を扱う。
第6章:抒情詩の構造
第6章は抒情詩の構造にあてられている。
第7章:抒情詩と社会
最後の本格的な章は、抒情詩をその社会的環境に関連づける。
結論
第7章のあとに結論が置かれている。
主要概念
序論と第1–3章
- 表現モデルとペルソナ・モデル:抒情詩を強い主観的表現とするロマン主義的見方と、虚構の話者の発話とする現代的見方。本書はこの二つに反対する。
- 帰納的アプローチ:第1章の題名が示す方法で、詩から推論を進める。
- ジャンルとしての抒情詩:第2章の主題。第3章は抒情詩の諸理論を扱う。
第4–7章と結論
- リズムと反復:出版社の説明で、抒情詩を権威ある公的言説にするリズムの構造。
- 抒情詩の呼びかけ:第5章の主題。
- 抒情詩の構造、抒情詩と社会:第6章と第7章の主題。
批判的分析
長所
- 詩が中心にある。 バローは、サッポーやゲーテからA. A. ミルンやA. R. アモンズまで、よく選ばれた一連の詩を全文引用していることを称賛する。ヘルシンガーは、本書を詩学に思弁的な展望を開きつつ常に詩に立ち返る実践批評の仕事と呼び、抒情詩の諸側面が複数の構造にまたがってどう働くかについてのカラーの観察こそが本書の真の強みだと付け加える。
- 明快な概念の地図。 バローは、批評的言説の下にある概念の形を見抜いて平明に説明するカラーの卓越した能力を称え、本書を、あらゆる可能性を包括するモデルというより、抒情詩の「生成文法」の研究に近いと評する。
- 広い歴史的・言語的範囲。 紹介文はサッポーからアッシュベリーまでの古代と現代の詩に触れ、ジャハン・ラマザニは、時代と西洋の諸言語にまたがる広い視野をとるカラーの姿勢を評価する。
- 明確な順序。 章題は、方法(第1章)から、ジャンルと理論(第2–3章)、リズム・呼びかけ・構造(第4–6章)、社会(第7章)へと進むので、個別の問いに応じて各章を読める。
短所
- 西洋への焦点。 出版社は本書を西洋の抒情詩の伝統に関わるものと説明し、ラマザニも西洋の諸言語にまたがる範囲に言及している。世界各地の伝統にわたる抒情詩の概観ではない。
- 学術的な読者向け。 K. ゲイルは『チョイス』で、本書はこのジャンルの構造を理解しようとする研究者にもっとも高く評価されるだろうと判断した。理論的な介入であり、詩の読み方の入門書ではない。
- 包括的な定義ではない。 バローは、本書が抒情詩がなりうるすべてのモデルではなく、抒情詩がどう働くかについての柔軟な説明を示すと指摘する。単一の定義を求める読者は得られない。
コースにおける位置づけ
詩の書目のなかで、カラーの本は理論的な議論にあたる。『ノートン詩入門』は詩の読み方と書き方を教えるもので、先に読むのがよい。『ノートン詩アンソロジー』は、カラーの主張を試すための英語詩を豊富に提供する。『プリンストン詩と詩学事典』は、議論が詩形、ジャンル、技法に及ぶときの参照先である。ケイヴェ・アクバルの現代詩集『狼を狼と呼ぶ』は、カラーの問いを携えて読める生きた詩を提供する。
本書の使い方
詩の授業を履修し、文学理論と精読にある程度触れた上級学部生や大学院生に向く。
- 中核: 序論、第1章、結論が議論を示す。第4章と第5章(リズムと呼びかけ)は、出版社の説明が挙げる表現モデルとペルソナ・モデルに代わる考え方を展開する。
- 関心に応じて: 第3章はそれ以前の諸理論の地図を、第6章と第7章は構造と社会的文脈を扱う。
- 併読: 各章を、その章が引用する詩とともに読み、さらに同じ問いをアンソロジーの詩に試す。この詩は、話者の表現、ペルソナの発話、呼びかけと出来事のうちどれとして読むのが最もよいか。一つの詩の二通りの読みを比較する短い文章を書くのはよい練習になる。
