01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Childs, P. (2017). Modernism (3rd ed.). Routledge. (The New Critical Idiom; published September 2016.)
章の要約
Routledge の New Critical Idiom シリーズに属する本書の第3版は約250ページで、変わった構成をとっている。序論と三つの章だけからなり、その後に用語集と参考文献が続く。各章は長く、序論が約40ページ、第1章が約40ページ、第2章が60ページ近く、そして本書の重心である第3章が80ページを超える。出版社はこの版を、全面的に更新・増補・改訂され、モダニズムを「グローバルかつローカルな文脈において」描き出すものと説明し、本書が行うことを五つ挙げている。モダニズムの起源と、Darwin、Marx、Freud、Nietzsche、Saussure、Einstein といった思想家の影響を詳しく述べること。この時代の芸術、文学、演劇、映画に起きた変化を探ること。イギリス、アイルランド、アメリカその他の英語圏の作家に「働いているモダニズム」をたどること。モダニズムの文化と世界的な影響への近年の批評的関心を説明すること。そしてモダニズムからポストモダニズムへの移行について考察することである。
序論
Ali Hassanpour Darbandi と Zohreh Ramin による2020年の Critical Literary Studies 誌の書評によれば、序論はロマンス、リアリズム、モダニズム、ポストモダニズムの一連の定義から始まり、モダニズムを比較の観点から、特にポストモダニズムと対比して論じる。評者たちは、Childs が固定した定義を避け、むしろ各潮流の痕跡を他の潮流の中に探っている点を強調している。
第1章:解釈することと変えること
公表されている目次にはこの章の節が示されていない。章題と出版社の説明から判断すると、ここが本書のモダニズムの起源についての記述、すなわち Darwin、Marx、Freud、Nietzsche、Saussure、Einstein の思想を扱う場所であり、このうち最初の5人は Google Books で本書の頻出語に含まれている。
第2章:ジャンル、芸術、映画
活字の外のモダニズムを扱う。出版社が挙げる芸術、演劇、映画における変化が、文学ジャンルとともに論じられる(電子書籍の章メタデータではこの章は「Genres and the arts」と題されている)。キュビスム、表現主義、象徴主義、絵画、映画といった語が本書の頻出語に含まれる。
第3章:テクスト、コンテクスト、インターテクスト
最も長い章で、出版社の言葉でいえば、Joyce、Woolf、Beckett、Nella Larsen、Gertrude Stein、Katherine Mansfield、T. S. Eliot など特定の作家に「働いているモダニズム」をたどる章である。本書の頻出語には、いくつかの作品の題名や登場人物(『闇の奥』、クラリッサとシェルショックを負ったセプティマスが登場する『ダロウェイ夫人』、『善良な兵士』とその語り手ダウエル、『ユリシーズ』、『荒地』、『恋する女たち』、Beckett の『マーフィー』)、さらに Charlotte Mew とハーレム・ルネサンスが含まれており、この章が個々のテクストをその文脈の中で読んでいることを示している。
用語集と参考文献
用語集は批評用語に不慣れな読者を助け、参考文献はさらなる批評文献への道筋を示す。
主要概念
序論
- モダニズム、リアリズム、ポストモダニズム:本書が単独ではなく互いとの対比で定義する用語。
- 潮流間の重なり:Childs が境界を固定するのではなく、各潮流を他の潮流の中にたどるという評者たちの強調点。
第1章:解釈することと変えること
- 思想的起源:モダニズムの文学の背景としての Darwin、Marx、Freud、Nietzsche、Saussure、Einstein の思想。
第2章:ジャンル、芸術、映画
- 諸芸術にわたるモダニズム:文学と並ぶ絵画、演劇、映画の変化。キュビスムや表現主義などの運動を含む。
第3章:テクスト、コンテクスト、インターテクスト
- 働いているモダニズム:特定のテクストの中で考察されるモダニズムの技法。
- グローバルなモダニズムとローカルなモダニズム:単一のヨーロッパの運動としてではなく、ハーレム・ルネサンスを含むイギリス、アイルランド、アメリカその他の英語圏の作家を通して読まれるモダニズム。
批判的分析
長所
- テクストを通じた概念理解。 Hassanpour Darbandi と Ramin は本書を、取り組みやすく扱う範囲が広いと評し、抽象的な定義よりも、文脈の中での潮流の分析や個々の文学作品の分析に重きを置いていると述べている。多数の作品名が挙がる長い第3章がそれを裏づけている。
- ヨーロッパの正典より広い視野。 第3版はモダニズムを明示的にグローバルかつローカルな文脈の中に位置づけ、Joyce、Woolf、Eliot と並んで Nella Larsen やハーレム・ルネサンスの作家を挙げており、モダニズムの世界的な広がりへの近年の批評的関心に応えている。
- 関係による定義。 同じ評者たちは、「揺るぎない」定義を拒み、ロマンス、リアリズム、モダニズム、ポストモダニズムがどう重なり合うかを示す姿勢を評価している。これは用語そのものをつかみにくいと感じる学生の助けになる。
- 他の芸術も扱う。 芸術と映画に1章を充てているため、本書は文学に限定されない。
短所
- 全体を見渡しにくい。 章が三つしかないため、特定の作家や主題を探す読者にとって目次はあまり手がかりにならず、索引から入るほうがよい。
- 英語圏中心。 グローバルな枠組みを掲げてはいるが、出版社が挙げる作家はイギリス、アイルランド、アメリカその他の英語圏の作家であり、大陸ヨーロッパのモダニズムは本書の焦点ではない。
- あくまで入門書。 約250ページの中で思想的背景、他の芸術、テクストの読解をすべて扱うため、各主題の扱いは簡潔である。特定の作家について書く学生には専門的な批評が必要になる。
コースにおける位置づけ
Childs はこのコースの中で中程度の分量の批評的入門書である。Christopher Butler の Modernism: A Very Short Introduction は、文学、視覚芸術、音楽、建築にわたるモダニズムについての、より短い最初の概観である。Pericles Lewis の The Cambridge Introduction to Modernism は同程度の分量で似た領域を扱うが、構成が異なり、モダニズムの出現と、イングランド、アイルランド、大陸ヨーロッパにおけるジャンルを横断した展開を軸にしている。Childs の英語圏重視を補う本である。Michael Levenson 編の The Cambridge Companion to Modernism はジャンル、文脈、他の芸術についての専門家の論考を集めたもので、どちらの入門書よりも一歩先へ進むための本である。
ポストモダニズムへの移行についての Childs の結びの考察は、コースの残りへとつながっていく。Linda Hutcheon の A Poetics of Postmodernism はポストモダン小説の本格的な理論を展開し、Robert Eaglestone の Contemporary Fiction: A Very Short Introduction はここ数十年の小説を概観している。
本書の使い方
本書はモダニズムや20世紀文学の授業を受ける学部生に向いている。Joyce、Woolf、Eliot などのモダニズム作品をいくつか読んでいると、第3章がはるかに役立つ。
実際的な読み方:
- 序論を最初に読む。 その比較による定義は本書の残りの枠組みとなり、授業の終わりにもう一度読み返す価値がある。
- 第1章は授業の早い段階で読む。 後の読書が前提とする思想的背景(Darwin、Marx、Freud、Nietzsche など)を与えてくれる。
- 第2章は、授業が他の芸術や映画に移るときに使う。
- 第3章は課題テクストの手引きとして扱う。 通読するのではなく、シラバスで各作品を扱うたびに索引でその作品の議論を探し、一次テクストを先に読むこと。
- 用語集は象徴主義や表現主義といった用語に、参考文献はさらなる批評を探すのに使う。
旧版(2000年、2008年)は内容が異なるので、シラバスがどの版を挙げているかを確認すること。
