01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Domínguez, C., Saussy, H., & Villanueva, D. (2015). Introducing Comparative Literature: New Trends and Applications. Routledge.
章の要約
本書は9つの章、用語と概念の用語集、詳細な読書案内からなり、およそ170〜190ページである(Google ブックスは169ページ、ラウトレッジは190ページと記載している)。ラウトレッジは本書を、この分野の包括的な手引きと説明し、近年の理論的議論と学問分野の変化の中に導入を位置づけつつ、分野の歴史と実践的な応用にも触れるとしている。比較文学を、グローバリゼーション、コスモポリタニズム、ポストナショナル/トランスナショナリズムの文脈で捉え、映画や電子文学といった他のメディアとの関わりや比較も示す。出版社によれば、最初の4章は「間文学理論」、脱植民地性、世界文学などの幅広い理論的問題を扱い、次の4章はより応用的で、主題、翻訳、文学史、他の芸術との比較を取り上げる。公開されている目次は章題のみのため、以下の要約は章題と出版社の説明に沿っている。
第1章:比較文学と文学研究の未来
冒頭の章は、この学問分野を文学研究全体の中に位置づけ、先を展望する。題名は、この分野の将来を文学研究一般の将来と結びつけており、近年の議論と学問分野の変化の中に本書を置くという出版社の枠組みと合う。
第2〜4章:間文学理論、脱植民地性、世界文学
第2章「間文学理論としての比較文学」、第3章「比較文学と脱植民地性」、第4章「比較の実践としての世界文学」は、出版社が最初の4章として述べる理論的な中核をなす。3つの題名は、間文学理論、脱植民地性、比較の実践としての世界文学を挙げている。
第5〜8章:主題とイメージ、翻訳、文学史、芸術間の比較
4つの応用の章は、比較が実際にどう行われるかを示す。「主題とイメージの比較」「比較文学と翻訳」「比較文学史」「芸術間の比較」である。最後の章は、出版社が挙げる他の芸術との比較に対応する。出版社は、本書が映画や電子文学といったメディアとも取り組んでいることも記している。
第9章:文学の回帰
最終章の題名は「文学の回帰」である。目次は、題名以上のことを説明していない。
主要概念
第1〜4章:理論
- 間文学理論:第2章の題名にある立場で、出版社が、この分野の幅広い理論的問題の一つとして引用符つきで挙げている。
- 脱植民地性:第3章の主題。
- 比較の実践としての世界文学:第4章の題名で、世界文学を比較の方法として扱う。
第5〜9章:応用
- 主題とイメージ:第5章の話題。
- 翻訳:第6章の話題。
- 比較文学史:第7章の話題。
- 芸術間の比較:第8章で扱う、文学と他の芸術との比較。
批判的分析
長所
- 一冊の短い本の中の理論と実践。 出版社の説明では、本書は4つの理論の章と4つの応用の章に分かれ、その前後に冒頭と結びの章が置かれているため、この分野が何を論じているのかと、比較がどう行われるのかの両方が見える。
- 用語集と読書案内。 出版社は、用語と概念の用語集と詳細な読書案内を強調しており、新しい分野を学ぶときに役立つ。
- 著名な比較文学者による推薦。 ラウトレッジは、サンドラ・バーマン(プリンストン)、ジャヴェド・マジード(キングス・カレッジ・ロンドン)、デイヴィッド・ラギャルディア(ダートマス)、スーザン・バスネット(ウォーリック)の言葉を引いている。バスネットは、比較文学についての旧来の見慣れた英米の理論に対する挑発的で新鮮な代案と呼び、バーマンは、この分野を提示しつつ捉え直すものと述べる。これらは宣伝用の推薦であり、書評の全文ではない。
- 複数の伝統で働く著者たち。 著者はスペイン(サンティアゴ・デ・コンポステーラ)とアメリカ(シカゴ)を拠点にしており、バスネットの推薦は、本書を旧来の見慣れた英米の理論に対する代案として示している。
短所
- 短い。 9章で約170〜190ページなので、各話題は紹介にとどまり、読者は読書案内に頼ることになる。
- 特定の方向性。 出版社の枠組み(グローバリゼーション、コスモポリタニズム、トランスナショナリズム、脱植民地性)は特定の理論的方向性を示している。分野の歴史は短い本の中で扱われるため、この学問の従来の方法を深く知りたい読者は別の本が必要になる。
- 刊行年。 2015年刊なので、最近の展開は扱われていない。
コースにおける位置づけ
世界文学・比較文学のコースでは、本書は理論に重点を置いた、比較文学という学問への手引きにあたる。ベン・ハッチンソンの Comparative Literature: A Very Short Introduction は、より短く入りやすい出発点で、比較して読むとはどういうことかを問う。デイヴィッド・ダムロッシュの What Is World Literature? とパスカル・カザノヴァの The World Republic of Letters は、本書の第4章が1章で扱う世界文学の問いを、1冊をかけて論じる研究で、カザノヴァの本は、世界文学を国際的な場として論じる専門的な議論である。The Norton Anthology of World Literature は、比較を実践できる翻訳テクストを提供し、エーリッヒ・アウエルバッハの Mimesis は、多くの時代の箇所の綿密な読解に基づいて、ヨーロッパ文学における現実の描写を論じた長い研究である。
本書の使い方
本書は、比較文学に初めて触れる学部生や、現在の議論への導入を求める学生に向いている。ラウトレッジは前提知識を挙げていないが、複数の言語や伝統の文学を読んだ経験があると助けになる。
実践的な進め方としては、第1章で全体の見取り図をつかみ、用語集を開いたまま第2〜4章を理論の部分として読む。次に第5〜8章から関心に応じて選ぶ。翻訳テクストを読むなら第6章、芸術の領域を横断して扱うなら第8章、歴史的な枠組みが欲しいなら第7章である。第9章は最後に読む。読書案内を使って次の本を選ぶ。たとえば、コースに挙がっている世界文学の研究書がよい。
