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統語構造 cover

言語学

言語学

統語構造

Noam Chomsky

英語原題: Syntactic Structures

有限の規則が人間言語の無限の構造をどのように生み出すのかを問う生成文法の画期的な著作。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
統語論生成文法形式言語学文法言語構造理論

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Chomsky, N. (2002). Syntactic Structures (2nd ed., with an introduction by D. W. Lightfoot). Mouton de Gruyter. (Original work published 1957.)

章の要約

本文は短い。番号付きの10章が約100ページ、その後に二つの付録と参考文献が続き、前付けを除いて117ページである。2002年のムートン・ド・グリュイター版は第2版で、1957年に初めて出版されたチョムスキーの原文に、デイヴィッド・W・ライトフット(David W. Lightfoot)の序論を加えている。出版社の紹介文は、本書に対する初期の評価を引いている。それによれば、本書は科学的理論構築の伝統の中で言語の包括的な理論を構築しようとする試みであり、データを新しい目録に整理し直したものではなく、言語についての直観を明示的な体系によって厳密に説明し、その帰結を新しいデータと照合できるようにするものである。各章の題名は、この企図がどのように展開されるかを示している。

第1章:序論(Introduction)

数ページの短い冒頭の章で、本論に入る前に置かれている。

第2章:文法の独立性(The Independence of Grammar)

題名がこの章の主張を示している。文法は意味から独立しており、それ自体の体系として研究できる。第9章は統語論と意味論の関係に立ち返る。

第3〜4章:初等的な言語理論;句構造(An Elementary Linguistic Theory; Phrase Structure)

第3章は初等的な言語理論を提示し、第4章は句構造、すなわち文を入れ子状の構成素として記述する方法を展開する。

第5章:句構造記述の限界(Limitations of Phrase Structure Description)

15ページで、長い方の章の一つ。句構造記述の限界を検討し、第7章の変形に関する提案へとつなげる。

第6章:言語理論の目標について(On the Goals of Linguistic Theory)

約12ページで、言語理論が何を達成すべきかを論じる。

第7章:英語におけるいくつかの変形(Some Transformations in English)

最も長く約25ページ、本書の中心である。英語における変形を提示する。ここで展開された規則は、付録IIでさらに例示される。

第8〜9章:言語理論の説明力;統語論と意味論(The Explanatory Power of Linguistic Theory; Syntax and Semantics)

第8章は言語理論の説明力を取り上げ、第9章は統語論と意味論の関係に向かう。

第10章:まとめ(Summary)

議論の短いまとめで、付録の前の約3ページ。

付録IおよびII

付録I「記法と用語」(Notations and Terminology)は本文で用いられる記法を扱う。付録II「英語の句構造規則と変形規則の例」(Examples of English Phrase Structure and Transformational Rules)は規則の例を挙げる。

主要概念

第2〜5章:文法と句構造

  • 文法の独立性:文法構造は意味から切り離して研究できるという主張。
  • 句構造:文を構成素の階層として記述すること、およびその限界。

第6〜10章:理論、変形、説明

  • 言語理論の目標:文法理論が達成すべきこと。
  • 変形:文の構造を関係づける規則。ここでは英語に適用される。
  • 説明力:文法と理論を評価する基準。

批判的分析

長所

  • 簡潔さ。 約100ページに議論の全体が収まっており、一度か二度で読み通し、また読み返せる。
  • 明確な構造。 章題は、文法の独立性から、句構造とその限界を経て、変形と説明へという進行を示している。
  • 付録の参照資料。 付録Iは記法をまとめ、付録IIは英語の句構造規則と変形規則の例を示すので、読者は規則を本文と照らして確認できる。
  • 歴史的価値。 変形文法プログラムの最初の表明として、後の教科書の記述の原典である。

短所

  • 初期の定式化。 ここにある理論は1957年のものである。カーニーの教科書が扱う併合(Merge)や、チョムスキー自身の Knowledge of Language(1986)に見られる枠組みはかなり異なるため、本書は現在の統語論の案内にはならない。
  • 研究書であって教科書ではない。 理論の短い独創的な表明であり、分析を一歩ずつ教えるための教材ではない。それはこのコースの記述的な入門書の役割である。

コースにおける位置づけ

バートン=ロバーツの Analysing Sentences とタラーマンの Understanding Syntax は、文の分析のしかたを教える記述的な入門書であり、カーニーの Syntax: A Generative Introduction は生成文法の枠組みによる学部向け教科書である。チョムスキーの Knowledge of Language は、言語知識についての後年の理論的な論述である。Syntactic Structures は歴史的な源泉であり、入門講義を終えて句構造の樹形図になじんだあとに読むと、生成的アプローチの出発点が分かる。

文の分析を学び始める本ではない。カーニーと並行して一次資料として使うか、理論の講義に添える短い歴史的補足として使うのがよい。

本書の使い方

構成素と樹形図についての基本的な理解と、形式的な記法への慣れが必要である。統語論や言語学史の講義の学部生、原典を読みたい大学院生に向く。

読み方の計画:

  • 最初の通読: 第1〜5章。句構造だけでは不十分だという議論をたどる。
  • 二度目: 第6〜8章。第7章をゆっくり読み、付録IIを傍らに置く。
  • 締めくくり: 第9・10章と、第2版で加えられたライトフットの序論。

いくつかの変形を自分の手で導出し、それぞれの分析を現行の教科書での扱いと比べてみること。

さらに二つの習慣が役立つ。一つは、各章が文法に求める事柄についての主張を簡単な一覧にしておき、第10章が同じように述べているかを最後に確かめること。もう一つは、読み終えたあとで Knowledge of Language の冒頭の数章と、同じ主題を扱うカーニーの一章を読み、1957年の問いのうちどれが引き継がれ、どれが言い直され、どれが捨てられたかを見ることである。本書を一次資料として扱う授業では、短さのおかげで全体を課題にすることができ、章の順序(文法の独立性、句構造とその限界、変形、説明)は、議論や短い要約のための出来合いの骨子になる。