01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Farrell, A.-M., & Dove, E. S. (2023). Mason & McCall Smith's Law and Medical Ethics (12th ed.). Oxford University Press.
章の要約
第12版は18章からなり、ある書評者の数えでは702ページである。出版社によれば、今回の版は目次が再編・簡素化され、健康法・医事法の分析のための概念・理論・道具を示す新しい2章と、英国の医療制度に関する新しい1章が加わった。構成は、倫理の枠組みから、医療の仕組みと専門職、治療に関する決定、そして生殖と生命の終わりの問題へと進む。
第1–2章:Introduction to bioethics;Critical frameworks in bioethics
出版社がこの版で新設された章と説明するこの2章は、健康法・医事法の解釈と分析の枠組みとなる概念・理論・道具を紹介する。書評者は、本書がまず医療倫理の中心的な考え方へ読者を導き、そのあと個々の法的主題へ進むと述べている。
第3章:Governance of the health system
出版社は、この章を権限委譲、新型コロナの流行、ブレグジットを背景にした英国の医療制度の新しい概観として紹介している。書評者は、イングランドとウェールズを中心にスコットランドと北アイルランドを付け足すのではなく、英国全体の医療制度のガバナンスへの有用な案内になっていると評価する。
第4–5章:Health and social care professionals;Health resource allocation
第4章は保健・社会的ケアを提供する専門職、第5章は限られた医療資源の配分を扱う。
第6–7章:Health research and innovation;Public health
保健分野のより広い文脈を扱う2章で、研究とイノベーション、そして公衆衛生である。
第8–9章:Consent to medical treatment;Children and consent to medical treatment
治療に関する決定の章は、医療への同意一般から始まり、次に子どもの同意を扱う。
第10章:Mental health
精神保健法を扱う章。
第11–12章:Medical confidentiality and data protection;Clinical negligence
第11章は医療上の守秘義務とデータ保護を組み合わせ、第12章は臨床過誤を扱う。
第13–14章:Organ donation for transplantation;The body as property
身体を扱う2章。移植のための臓器提供(出版社は新しい制度に言及している)と、財産としての身体である。
第15–16章:Contraception and pregnancy;Assisted conception
生殖の章は、避妊と妊娠、続いて生殖補助を扱う。
第17–18章:Withdrawal and withholding of medical treatment;Euthanasia and assisted suicide
最後の2章は生命の終わりを扱う。治療の中止・差し控え、そして安楽死と自殺幇助である。ある書評者は、自ら決定できない人の生命維持治療の決定について、スコットランドとイングランド・ウェールズの扱いの違いを明快に分析している点を挙げている。
主要概念
枠組みと医療制度(第1–7章)
- 生命倫理と批判的枠組み:第1、2章で紹介される概念・理論・道具。
- 医療制度のガバナンス:権限委譲後の英国全体の医療の仕組み。
- 資源配分:第5章の主題。
- 公衆衛生と研究:第6、7章。
治療と身体(第8–14章)
- 同意:成人の同意と、子どもの同意。
- 守秘義務とデータ保護:第11章。
- 臨床過誤:第12章。
- 財産としての身体:第14章。臓器提供と並ぶ。
生殖と生命の終わり(第15–18章)
- 生殖補助:第16章。
- 治療の中止と差し控え:第17章。
- 安楽死と自殺幇助:第18章。
批判的分析
長所
- **英国全体を見渡す視点。**Mental Capacity Law and Policy ブログの書評(2023年10月)は、本書がスコットランドの視点で書かれており、スコットランド法とイングランド法が同じだと決めてかからない点を強調している。出版社の紹介も、スコットランド法とイングランド法の両方を扱うと述べている。医事法の教科書としては珍しい。
- **倫理と法の両立。**本書は倫理の章から始まり、出版社によれば倫理論争の多様な見解を示したうえで著者自身の見方も述べる。書評者は、著者が反対の立場にも必ず触れるため、説教されるのではなく刺激を受けると付け加えている。
- **広い範囲。**18章は医療制度のガバナンスから死の幇助にまで及び、書評者は、英国の読者が望みうるほぼすべての領域を網羅していると述べる。
- **最近の展開。**出版社は、2022年保健・社会的ケア法、2022年精神保健法案、2021年医薬品・医療機器法、2020年コロナウイルス法、臓器提供の新制度、そして Bell v Tavistock、ABC v St George's Healthcare NHS Trust、Khan v Meadows などの近年の事件を挙げている。
短所
- **長く、連続した叙述。**約700ページの本文は、1科目に必要な量を超える。判例抜粋集ではなく教科書なので、判決を全文で読みたい読者は判例集に当たる必要がある。
- **明確な立場。**著者は判決や政策の当否について自らの見解を述べる。議論には有益だが、読者は自分の判断を保つ必要がある。
- **書評者が挙げた体裁上の点。**書評者は、イングランドの裁判官が「Justice [氏名]」と呼ばれることがあり、イングランドの法律家には違和感があること、またペーパーバックの印刷にむらがあることを指摘している。
- **進行中の立法。**この版が挙げる2022年精神保健法案は当時まだ法案だった。精神保健法を学ぶ場合は、その後の立法を確認したい。
コースにおける位置づけ
医事法の書目の中で、本書は体系的な大部の教科書である。Medicine, Patients and the Law は、学生と一般読者向けにイングランドとウェールズの医事法を概観する本である。Mental Capacity Law and Policy の書評者は両方を備えることを勧めている。あちらは、各地で法が今の姿に至った経緯の歴史的な土台をより多く与え、こちらは、その立場が正しいかを問うための倫理の道具をより多く与える。Pattinson の Medical Law and Ethics はイングランドとウェールズを扱う単著の教科書で、法的分析と道徳理論を結びつける。書目にあるもう一つの Medical Law and Ethics は、イングランドとウェールズの法を、それをめぐる倫理的議論とともに示す。Medical Law: Text, Cases, and Materials は抜粋を軸にした大学院レベルの判例教材である。Medical Law: A Very Short Introduction は短い入門書で、この分野が初めてなら最初に読むとよい。
本書の使い方
本書は、医事法を履修する法学生、健康法や生命倫理の大学院生、厳密な法的・倫理的説明を求める医学・保健系の学生に向く。スコットランドで学ぶ人や、英国各地で仕事をする人には特に適している。
実用的な読み方:
- **中核:**枠組みと医療制度を扱う第1–3章、そして多くの授業が最初に扱う第8、11、12章(同意、守秘義務、過誤)。
- **授業計画に応じて:**第9–10章(子どもと精神保健)、第15–16章(生殖)、第17–18章(生命の終わり)。
- **任意または専門的に:**専門職、資源、研究、公衆衛生、臓器提供、財産としての身体を扱う第4–7章と第13–14章。
各主題で、倫理的議論と法的規則を一緒に読む。章がスコットランドとイングランドの扱いを区別している箇所では、両者を比べる。精神保健法については、その後の立法の展開を確認する。
