01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Herring, J. (2025). Medical Law and Ethics (10th ed.). Oxford University Press.
章の要約
本書は全11章、約740ページである。Oxford University Press は、医事法の中核となる法原則、主要な判例と制定法を、この分野の主要な倫理的論争やジレンマと並べて扱うものと説明している。順序は、倫理と医療制度に始まり、過失、同意、子どもと精神保健という特別な位置づけを経て、秘密保持、生殖、身体、死へと進む。
第1章:倫理と医事法
最初の章は、倫理と医事法の関係を取り上げる。出版社によれば、本書は法を、さまざまな倫理的観点と並べて示している。
第2章:国民保健サービスの構造と医療資源の配分
この章は、国民保健サービス(NHS)がどのように組織されているか、そして医療資源の配分(rationing)を扱う。
第3章:医療過誤
この章は医療過誤(医療上の過失)の法を扱う。出版社は、医療過誤に関する法の展開を第10版の更新内容に挙げている。
第4章:治療への同意
この章は医療への同意を扱い、続いて子どもと精神保健法の章が置かれる。
第5〜6章:子どもと医療;精神保健法
第5章は子どもと医療を扱い、出版社によれば、トランスジェンダーおよびジェンダーに疑問をもつ若者に関する法の展開を含む。第6章は精神保健法を扱い、出版社は2024年に議会に提出された精神保健法案(Mental Health Bill)の扱いを挙げている。
第7章:秘密保持
この章は、患者と医療専門職の関係における秘密保持義務を検討する。
第8〜9章:避妊、中絶、妊娠;生殖
この2章は、避妊・中絶・妊娠に関する法と、生殖に関する法を扱う。出版社は、障害と中絶についての議論が拡充されたと述べている。
第10〜11章:臓器提供と身体部位の所有;死と死にゆくこと
最後の章は、臓器提供と身体部位を通じた身体の利用と所有、そして人生の終わりを扱う。出版社は、2024年の幇助死法案(Assisted Dying Bill)の新たな扱いを挙げている。
主要概念
第1〜4章:倫理、資源、過失、同意
- 倫理と医事法:道徳的議論と法規則のつながり。本書の枠組みである(第1章)。
- 医療資源の配分:限られた医療サービスの資源の割り当て(第2章)。
- 医療過誤:水準に達しない医療に対する責任(第3章)。
- 治療への同意:患者の同意の要件(第4章)。
第5〜11章:個別の患者と論点
- 子どもと医療と精神保健法:これらの患者に適用される法(第5〜6章)。
- 秘密保持:患者情報の保護(第7章)。
- 生殖:避妊、中絶、妊娠、生殖(第8〜9章)。
- 臓器提供と身体部位、死と死にゆくこと:本書の最後の論点(第10〜11章)。
批判的分析
長所
- 論争を開く工夫。 出版社によれば、本文全体にわたる特集記事が、宗教的、フェミニスト的、欧州的観点を含む多様な見解に注意を向けさせ、社会法学的な議論を導入する「a shock to the system」「public opinion」「reality check」というコラムがある。
- 法と倫理を一緒に。 出版社は、本書を法の議論と倫理的観点の概観の両方を与える簡潔な教科書として示しており、読者は法とその文脈を理解できる。
- コンパクトな構成。 目次は、医事法の通常の論点(過失、同意、子ども、精神保健、秘密保持、生殖、臓器、終末期)を11章に収めている。
- 最近の更新。 第10版の更新内容には、2024年の幇助死法案、2024年の精神保健法案、トランスジェンダーおよびジェンダーに疑問をもつ若者、医療過誤、障害と中絶の議論、医療における人工知能の利用が挙がっている。
短所
- イングランドとウェールズに焦点。 出版社が挙げる更新内容(幇助死法案、精神保健法案)は英国の措置であり、他の地域の学生は現地の資料を必要とする。
- 法案はすぐ古くなる。 更新内容の多くは立法提案であり、出版後に状況が変わるため、現行法で確認する必要がある。
- 研究に関する章がない。 目次には医学研究や臨床試験を章題とした章がなく、Pattinson の目次には研究に関する章が二つある。
コースにおける位置づけ
Herring の Medical Law and Ethics は、医事法の講義全体を通じた主教材である。この一覧で最も直接的な代替は Shaun Pattinson の単著 Medical Law and Ethics(第7版)で、17章からなり、同意、移植、終末期をそれぞれ2〜3章に分け、研究に関する章を含み、医事法への道徳的アプローチの章で終わる。Herring の目次は11章とより短い。
最初の一冊には、Charles Foster の Medical Law: A Very Short Introduction が、患者の自己決定がこの分野の枠組みを支配すべきかを問い、Margaret Brazier、Emma Cave、Rob Heywood の Medicine, Patients and the Law は、学生と一般読者向けの読みやすい概説である。反対側では、Mason & McCall Smith の Law and Medical Ethics(Anne-Maree Farrell と Edward Dove 編)が、スコットランド法も扱う長い歴史をもつ叙述であり、Emily Jackson の Medical Law: Text, Cases, and Materials は、書名が示すとおり、解説と一次資料の抜粋を組み合わせている。
本書の使い方
本書は、医事法の講義を履修する法学部生向けである。判例や制定法を読むには法学の1年次の基礎があると役立つ。出版社は倫理的観点の概観を与えるものと説明しているため、倫理学の予備知識は不要と思われる。
実践的な進め方の例:
- 中核: 第1章、次に第3章と第4章(医療過誤と同意)。中心となる論点である。
- 背景と資源: 過失の前後、または並行して、医療制度と資源配分を扱う第2章。
- 個別の論点: 第5〜11章。講義の順序に従って読む。
論争を扱うコラムは小論文の準備に使い、一覧の他の本の議論と比べるとよい。本書が法案に触れている箇所では、現在の状況を確認すること。
