01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Gray, K., & Gray, S. F. (2008). Elements of Land Law (5th ed.). Oxford University Press.
章の要約
第5版は約1,400ページの体系書で、全44章がAからKまでの11の節に分かれている。出版社によれば、この版では内容をより多くの短い章に再編し、読者が順序にとらわれずに関心のある主題を拾い読みできるようにした。また、賃借権、抵当権、地役権をより伝統的なまとまりに近づけている。
第1章:Introduction
文字付きの節が始まる前の短い導入章。
A節 基本概念(第2~8章)
本書の他の部分が依拠する考え方を扱う7章。財産、土地、不動産権と保有形態、占有、権原、エクイティ、人権である。財産そのものを扱う章と人権の章が含まれているのは、土地法が社会的・政治的な場でどのように機能しているかを論じるという著者らの意図を反映している。
B節 自由土地保有(第9~10章)
単純封土権(fee simple)と、コモンホールド土地。
C節 賃借権(第11~13章)
定期賃借権、賃貸借上の義務、制定法上の制度。
D節 土地上の担保権(第14~17章)
モーゲージとチャージ、モーゲージ設定者の保護、モーゲージ権者の保護、モーゲージの優先順位。
E節 その他の不動産権と土地上の権利(第18~21章)
地役権、収益権(profits à prendre)、定期賦課金(rentcharge)、再入権。
F節 プライバシー、自律、立入りと排除(第22~23章)
不法侵入、許諾(ライセンス)とプライバシー、および土地に対する公衆の権利。出版社は、この版で不法侵入、ライセンス、プライバシーに関する記述が一つの章にまとめられたと述べている。
G節 契約上のライセンスと物権的ライセンス(第24~25章)
契約上のライセンスと、権利付与に付随するライセンス。
H節 信託、共有、財産設定(第26~31章)
明示信託、復帰信託、擬制信託、共有、土地信託、継承的権益。
I節 取得(第32~37章)
契約と譲渡、プロプライエタリー・エストッペル、時効取得(adverse possession)、解放とRight to Buy、死因贈与、収用。
J節 処分(第38~41章)
処分権限、登記による完成、処分後の優先順位、電子的不動産取引。
K節 土地利用の規制(第42~44章)
自由土地保有上の約款の執行、賃貸借上の約款の執行、計画規制と環境規制。
主要概念
A~F節:財産、不動産権、権利
- 財産と土地:本書は土地法の対象に入る前に、財産という概念そのものから始める。
- 不動産権と保有形態:イングランド法における自由土地保有と賃借権の構造。
- 占有と権原:所有の主張の根拠で、時効取得の章で再び展開される。
- 地役権、収益権、約款:他人の土地に対する権利と、その土地に課される負担。
G~K節:信託、取得、処分
- 復帰信託と擬制信託:受益権が生じるエクイティ上の経路。
- 共有と土地信託:共同所有とその帰結。
- プロプライエタリー・エストッペル:確約と信頼に基づく権利の取得。
- 登記と優先順位:登記による完成、優先順位、電子的不動産取引。
- 土地利用規制:計画規制と環境規制。
批判的分析
長所
- 概念的な広がり:出版社は、本書が包括的な範囲と最先端の研究への批判的な概観を兼ね備え、土地法が社会でどう機能するかを探ると述べる。A節の財産と人権の章、F節の公衆の権利の章にそれが表れている。
- 比較法的な参照:出版社は、オーストラリア、ニュージーランド、米国、カナダの重要な判例への言及と、イングランド法律委員会が提案した改革の詳細な説明があると述べている。
- 見通しのよさ:44の短い章、文字付きの節、改訂された紙面設計は、読者が自分の位置を把握しやすくするためのものであり、出版社はさらに参考のための綿密な注にも触れている。
- 標準的な講義を超える範囲:ライセンス、公衆の権利、収用、土地利用規制の節は、多くの講義が扱う範囲を超えている。
- 評価:出版社は Peter Butt の書評([2005] 69 Conv 363)を引用し、目的の広さと学識の深さを称賛している。ただしこの書評は以前の版に関するものである。
短所
- 分量:約1,400ページあり、土地法の講義で通読する本ではない。
- 刊行時期:2008年版である。出版社は当時提案されていた法律委員会の改革に言及しており、登記された土地、土地信託、賃貸借法に関するその後の制定法の展開には別の資料が必要である。
- 理論重視:財産の概念や政治的・社会的文脈への注目は、読者によっては長所だが、試験のために規則の簡潔な叙述を必要とする学生には、より短い教科書のほうが使いやすい。
コースにおける位置づけ
この科目の一覧にある土地法の書物の中で、本書は最も広範で理論的な書物である。Cooke の Land Law(Clarendon Law Series)は連続した散文による短い入門書、Land Law Directions は初めてこの科目に触れる学生向けの入門教科書、Dixon の Modern Land Law は簡潔で物語的な教科書である。McFarlane、Hopkins、Nield の Land Law: Text, Cases, and Materials は判決、制定法、学説の抜粋に解説を組み合わせている。Megarry and Wade の The Law of Real Property はもう一つの本格的な学術体系書で、規則がなぜそうなっているかを説明する歴史的背景を保っている。
Gray と Gray は、基本的な枠組みを標準的な教科書で把握した後に読む本であり、ある主題についてより詳しい、あるいはより理論的な扱いが必要なときに最も役立つ。
本書の使い方
講義の教科書よりさらに踏み込みたい法学部生、財産法で卒業論文を書く学生、財産の概念に関心のある大学院生に向いている。土地法の履修を終え、登記された土地、土地信託、主要な第三者の権利に慣れていることが前提とされている。
実践的な進め方は次のとおり。
- 多くの講義の中核:A節(基本概念)、次にB~E節(自由土地保有、賃借権、抵当権、その他の土地上の権利)。
- 主題別:信託と共有はH節、取得はI節(プロプライエタリー・エストッペルと時効取得は論文の定番テーマ)、登記と優先順位はJ節。
- 任意:伝統的な講義の範囲を超えるF、G、K節。
- 出版社はオンラインのリソースセンターにも言及しているが、現在も利用可能か確認すること。その後の立法に影響される規定は慎重に扱うこと。
