01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Whish, R., & Bailey, D. (2024). Competition Law (11th ed.). Oxford University Press.
章の要約
出版社の目次は23章で、本書は印刷版で1,100ページを超える。まず競争政策と経済学、およびEU法と英国法の概観から始まり、中核となる禁止規定(協定、支配的地位の濫用)とそのEUおよび英国での執行を取り上げ、続いて国際的側面、水平的協定と垂直的協定、支配的地位の濫用の詳細、知的財産、合併、特定の分野へと進む。出版社は、競争法をめぐる経済的・実務的な現実に目を向ける、批判的で文脈を重視する方法を採っていると説明している。
第1〜2章:競争政策と経済学;EU競争法および英国競争法の概観
最初の2章は前提を整える。競争法の背後にある政策と経済学の考え方、続いてEUと英国の競争法がどう組み合わさるかの概観である。
第3〜5章:第101条(1);第101条(3);第102条
これらの章はEUの主要な禁止規定を順に取り上げる。第101条(1)の反競争的協定の禁止、第101条(3)の例外、第102条の支配的地位の濫用の禁止である。
第6〜8章:EU競争規則に基づく加盟国の義務;第101条・第102条:公的執行;第101条・第102条:私的執行
第6章は競争規則が加盟国に求めることを扱う。第7章は欧州委員会と各国競争当局による規則1/2003に基づく第101条・第102条の公的執行、第8章は加盟国の裁判所での私的執行を扱う。
第9〜11章:1998年競争法;1998年競争法とカルテル犯罪;2002年企業法
英国の対応部分が続く。1998年競争法の実体規定(第9章)、その公的執行と手続およびカルテル犯罪(第10章)、2002年企業法に基づく市場研究(market studies)と市場調査(market investigations)(第11章)である。
第12章:競争法の国際的側面
1章で競争法の国際的側面を扱う。
第13〜16章:水平的協定(1)〜(3);垂直的協定
水平的協定は3章で扱われる。カルテル(第13章)、寡占・暗黙の共謀・集団的支配(第14章)、協力協定(第15章)である。第16章は垂直的協定を扱う。出版社は、水平的協力協定と垂直的協定のいずれについても、EUと英国の新しい一括適用免除規則とガイドラインを更新内容に挙げている。
第17〜19章:支配的地位の濫用(1)〜(2);知的財産権と競争法の関係
支配的地位の濫用は2章で扱われ、価格設定以外の行為(第17章)と価格設定の行為(第18章)に分かれる。第19章は知的財産権と競争法の関係に移る。出版社は、欧州委員会による第102条の見直しとデジタルプラットフォームを更新内容に挙げている。
第20〜23章:合併(1)〜(3);特定の分野
企業結合規制は3章で扱われる。序論(第20章)、EU法(第21章)、英国法(第22章)である。第23章は特定の分野を扱う。出版社は、EUの外国補助金規則と英国の国家安全保障・投資法も、言及される取り組みとして挙げている。
主要概念
第1〜8章:基礎とEUの執行
- 第101条:反競争的協定を禁止するEUの規定。第1項の禁止と第3項の例外は第3章と第4章で扱われる。
- 第102条:支配的地位の濫用を禁止するEUの規定(第5章)。
- 公的執行と私的執行:規則1/2003に基づく欧州委員会と各国当局による執行、および各国の裁判所での私人による執行(第7〜8章)。
第9〜16章:英国法と協定
- 1998年競争法:英国の禁止規定とその執行(カルテル犯罪を含む)(第9〜10章)。
- 市場研究と市場調査(market studies and market investigations):2002年企業法に基づく手段(第11章)。
- カルテル、寡占、集団的支配:水平的協定の章の主題(第13〜14章)。
- 垂直的協定:第16章の主題。
第17〜23章:支配的地位、知的財産、合併、分野
- 価格設定と価格設定以外の濫用:支配的地位の濫用を扱う2章(第17〜18章)。
- 知的財産と競争:第19章。
- 企業結合規制:序論、EU法、英国法(第20〜22章)。
批判的分析
長所
- 二つの法体系を1冊で。 目次はEUの規則(第101条・第102条、規則1/2003)と英国の規則(1998年競争法、2002年企業法)を合わせて扱い、合併もそれぞれに章を置いているため、両方を扱う講義を1冊の教科書で進められる。
- 資料の幅。 出版社は、本書が判決、決定、ガイドライン、定期刊行物の文献など多様な資料を取り込んでおり、大学、法律事務所、経済コンサルティング、競争当局、裁判所で使われていると述べている。
- 文脈を重視する方法。 出版社によれば、本書は競争法をめぐる経済的・実務的な現実に目を向けており、第1章は競争政策と経済学を組み合わせている。
- 最新の内容。 第11版の更新内容には、垂直的協定と水平的協力協定の新しい一括適用免除規則とガイドライン、デジタルプラットフォーム、持続可能性の課題、第102条の見直しが挙がっている。
- 評価。 小売業者の掲載ページで出版社の説明に添えられたコメントとして、Thomas Jaeger(ウィーン大学欧州法教授)が優れた構成と簡潔な文章を評価し、Cameron Firth(Macfarlanes LLP パートナー)が包括的で信頼できる教科書と評している。どの版に関するものかは掲載ページに記されていない。
短所
- 分量。 1,100ページを超える大著であり、短い講義では章を選んで読む必要がある。
- 国際法・比較法の余地が限られる。 国際的側面は1章で扱われ、目次にはEUと英国以外の競争法に充てた章がない。
- 経済学は冒頭の1章。 経済学は本書の文脈重視の方法の一部として第1章で導入されている。市場と市場支配力についてより深い経済学的扱いを求める学生は、別の資料が必要になる。
コースにおける位置づけ
Whish and Bailey は、この図書一覧のなかで、EUと英国の競争法を広く扱う主教材である。Alison Jones と Niamh Dunne の Jones & Sufrin's EU Competition Law: Text, Cases, and Materials(第9版)は、EU法の詳細な代替または併用の教材で、詳しい解説と、判決、立法、欧州委員会の決定からの抜粋を組み合わせており、一次資料を書籍内で読みたい読者に自然な選択である。英国法が講義に含まれる場合は、Whish and Bailey を読むべきである。
Richard Baldwin、Martin Cave、Martin Lodge の Understanding Regulation と The Oxford Handbook of Regulation は、競争法を規制というより広い分野に位置づけ、Herbert Hovenkamp の The Antitrust Enterprise は米国の反トラスト法とその目標の変化を示す。規制や米国との比較が講義で必要な場合に、Whish and Bailey のあとに読むのがよい。
本書の使い方
本書は競争法の学生と実務家に向く。EU法と、公法または契約法の基礎があると役立つ。目次が競争政策と経済学の章から始まることから、経済学は前提とされず、本書のなかで導入されていると思われる。
実践的な進め方の例:
- 中核: 第1〜5章(政策、概観、第101条・第102条)、続いて執行を扱う第7〜8章。
- 英国法: 講義が1998年競争法と2002年企業法を扱うなら、第9〜11章。
- 項目別: 水平的・垂直的協定の第13〜16章、支配的地位の濫用の第17〜18章、合併の第20〜22章を、グループごとに読む。
- 選択的: 第6、12、19、23章。
ガイドライン、一括適用免除規則、政策の見直しに関する議論は、現行の文書と照らして確認すること。
