01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Parker, G. (2014). Global Crisis: War, Climate Change and Catastrophe in the Seventeenth Century. Yale University Press.
章の要約
2013年に初版が出た約900ページの本書は、1618年から1680年代にかけて、イングランドから日本までの諸国を襲った戦争、反乱、革命、飢饉、疫病の波を研究する。出版社の説明によれば、その議論は二種類の証拠を組み合わせる。危機を生きた人びとの直接の証言(「人間の記録」)と、当時の気候についての科学的証拠(「自然の記録」)である。1640〜50年代の冷涼で湿潤な夏と長い冬は収穫を乱し、飢え、疫病、政治的崩壊をもたらした。以下は本書の前付と5部構成に従う。
プロローグと序論:Did Someone Say 'Climate Change'?; The 'Little Ice Age' and the 'General Crisis'
冒頭部分は問いを示し、序論の題にある二つの観念を導入する。気候が冷涼だった時期である小氷期と、17世紀の動乱に対して歴史家が長く用いてきた用語「全般的危機」である。プロローグは主題を現代の気候変動への関心と結びつける。
第1部 The Placenta of the Crisis(第1〜4章)
この部は、第1章 The Little Ice Age と第2章 The General Crisis に始まり、気候の証拠と危機の研究史を示す。残りの章は、社会を脆弱にした飢えと生存の状況を扱う。
第2部 Enduring the Crisis
緊張下にあった国家についての地域別事例研究が続く。縮約版の目次には、中国の明清交代、ロシアとポーランド=リトアニア、オスマン帝国、ドイツとその近隣、イベリア半島、フランス、ブリテンとアイルランド、初期徳川日本の章が並んでおり、全巻の地理的な広がりを窺わせる。
第3部 Surviving the Crisis
第3部は、社会が危機をどのように生き延びたかという問いを扱う。
第4部 Confronting the Crisis
民衆の抵抗や、貴族、知識人、聖職者の役割など、危機への対応を見る。
第5部 Beyond the Crisis
国家がどのように危機を脱したかと、戦争国家か福祉国家かという選択、ヨーロッパと他地域との大分岐の問題を含む長期的な帰結を考える。
結論とエピローグ:The Crisis Anatomized; 'It's the climate, stupid'
結論は議論をまとめ、エピローグは17世紀の経験を現在の関心につなげる。出版社は、気候変動がもたらしうる災厄に今日の社会は備えがあるのかと問うことで、この結びつきを強調している。年表、凡例、史料と文献の注記、大部の文献目録が続く。
主要概念
プロローグと序論
- 小氷期:より冷涼で湿潤な天候の時期。17世紀半ばに強まり、危機の要因として扱われる。
- 全般的危機:17世紀のヨーロッパ規模、あるいは世界規模の政治的・社会的危機という概念。
第1〜5部
- 人間の記録と自然の記録:目撃者の記録と過去の気候の科学的復元を併用すること。
- 危機の胎盤:危機が生じた気候と脆弱性の条件。
- 戦争国家か福祉国家か:危機の後に国家が直面した選択。
- 大分岐:最終部で扱われる、ヨーロッパと他地域のその後の分岐。
批判的分析
長所
- 世界規模の射程。 本書は危機をヨーロッパからオスマン領、ロシア、中国、日本まで追う。出版社は、これを一つの歴史的物語としてイングランドから日本まで及ぶものと説明している。
- 二種類の証拠。 人間の証言と気候科学の組み合わせが本書の特色である。評者は研究の水準(『Times Literary Supplement』のセオドア・ラブは大著と呼ぶ)と、文献目録に現れる言語の幅(『Historically Speaking』のJ・R・マクニール)を評価している。
- 読みやすい規模。 『Financial Times』や『Sunday Times』などの評者は、この時代を生きることがどのようなものだったかについての生き生きとした、感情に訴える感覚を強調している。
- 現代との関連。 エピローグと出版社の位置づけは、主題を現代の気候をめぐる議論に結びつける。
短所
- 長さ。 約900ページと非常に大きい。2017年には学生と一般読者向けに、約半分の長さの縮約・改訂版が出された。
- 気候を重視する論旨。 『Wall Street Journal』の書評は、パーカーが個人の主体性ではなく気候を強調していると指摘する。政治的決定やほかの原因がどう扱われているかを考えながら読むとよい。
- 前提とされる背景。 多くの国家、戦争、反乱が国際的に登場するため、近世史の予備知識があると役立つ。
コースにおける位置づけ
近世史のリストの中で、パーカーは17世紀を大規模に総合した、最も地球規模の本である。メリー・ヴィーズナー=ハンクスの『Early Modern Europe, 1450–1789』とビート・キューミン編『The European World 1500–1800』は一般的な概説で、最初に読むのに適している。カルロス・エイレの『Reformations』、ユーアン・キャメロンの『The European Reformation』、ピーター・マーシャルの『The Reformation: A Very Short Introduction』は宗教的変化と16世紀に集中しており、パーカーの危機に関わる宗教紛争の背景を与える。
パーカーの貢献は、気候の証拠とユーラシア全体にわたる比較政治史を組み合わせた点にあり、リストの他の本はこれを試みていない。概説のあとに、一つの時代を扱う上級の研究として読むのが最もよい。
本書の使い方
上級の学部生、大学院生、意欲的な一般読者向けに書かれている。近世ヨーロッパと、ほかの一つ以上の地域についての予備知識があると役立つ。
実際の読み方の例を挙げる。
- 中核: プロローグと序論、気候と危機の性格のための第1部、議論のための結論とエピローグ。
- 選択的に: 第2〜4部は地域別またはテーマ別に読み、授業に合う事例研究を、最も関連の深い地域から選ぶ。
- 第5部は長期的な帰結と大分岐に関心のある読者向け。
- 併読: 本書のある地域の記述を、その地域の概説と比べる。短く読みたい場合は縮約版を使う。
