01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Ebrey, P. B., & Walthall, A. (2014). East Asia: A Cultural, Social, and Political History (3rd ed.). Wadsworth, Cengage Learning.
章の要約
第3版は約600ページの一巻本である(本文xxiv+544ページ、巻末29ページ、カラー図版16ページ)。Cengageは本書を Pre-Modern East Asia: To 1800 と East Asia: From 1600 の2分冊でも販売しており、両者は17–18世紀で重なる。章は6部に分けられている。各部の中で本書は中国・朝鮮・日本を行き来し、地域全体をひとつの物語として書くのではなく、それぞれの社会に独自の章をおおむね時代順に割り当てている。出版社は三つの繰り返し現れる要素を挙げている。一次史料、著名人と庶民の短い伝記、そして東アジアを国際的な文脈に置く「Connections」(つながり)のコラムで、後者は仏教の伝播や第二次世界大戦の地球規模の視点などを扱う。
第1部:The Foundations of East Asian Civilization in China(中国における東アジア文明の基礎)
初期中国を扱う5章からなる。China in the Bronze Age: The Shang and Western Zhou Dynasties(青銅器時代の中国――殷と西周、前1500頃–前771年)、Philosophers and Warring States During the Eastern Zhou Period(東周時代の思想家と戦国、前770–前256年)、The Founding of the Bureaucratic Empire: Qin–Han China(官僚制帝国の成立――秦漢の中国、前256–後200年)、Political Division in China and the Spread of Buddhism(中国の分裂と仏教の広がり、200–580年)、The Cosmopolitan Empires of Sui and Tang China(隋唐の国際的帝国、581–960年)。初期王朝と古典期の思想家から、統一帝国、仏教、唐までの中国をたどる。
第2部:The Emergence of East Asian Civilization(東アジア文明の形成)
この部で朝鮮と日本が加わる。Early Korea to 935(935年までの初期朝鮮)、Early State and Society in Japan(日本の初期国家と社会、794年まで)、China Among Equals: Song, Liao, Xia, and Jin(対等な国々の中の中国――宋・遼・西夏・金)、Heian Japan(平安時代の日本、794–1180年頃)、Goryeo Korea(高麗、935–1392年)、Kamakura Japan(鎌倉時代の日本、1180–1333年)、China Under Mongol Rule(モンゴル支配下の中国、1215–1368年)。「対等な国々の中の中国」という章題は、宋が並び立つ諸勢力のひとつとして描かれることを示している。
第3部:Meeting New Challenges (1300–1800)(新たな挑戦に向き合う、1300–1800年)
Japan's Middle Ages(日本の中世、1330–1600年)、The Ming Empire in China(中国の明帝国、1368–1644年)、Joseon Korea(朝鮮王朝、1392–1800年)、The Creation of the Manchu Empire(満洲帝国の形成、1600–1800年)、Edo Japan(江戸時代の日本、1603–1800年)。清は単なる中国王朝のひとつではなく、満洲人の帝国として位置づけられている。
第4部:The Age of Western Imperialism (1800–1900)(西洋帝国主義の時代、1800–1900年)
China in Decline(衰退する中国、1800–1900年)、Japan in Turmoil(動乱の日本、1800–1867年)、Meiji Transformation(明治の変革、1868–1900年)、Korea in the Turbulent Nineteenth Century(激動の19世紀の朝鮮、1800–1895年)。この4章は、西洋の圧力に対する三国の異なる対応を並べて示す。
第5–6部:East Asia in the Modern World(近代世界の中の東アジア);Intensified Contact and Divergent Paths(深まる接触と分かれる道)
第5部にはRise of Modern Japan(近代日本の台頭、1900–1931年)、Modernizing Korea and Colonial Rule(近代化する朝鮮と植民地支配、1896–1945年)、Remaking China(中国の再建、1900–1927年)が含まれる。第6部はWar and Aftermath in Japan(日本の戦争と戦後、1931–1965年)から、China Under Mao(毛沢東時代の中国、1949–1976年)、Korea (1945 to the Present)(1945年から現在までの朝鮮半島)、Contemporary Japan(現代日本、1965年から現在)を経て、China Since Mao(毛沢東以後の中国、1976年から現在)までである。第6部の題名は本書を締めくくる主題を示している。三つの社会は結びつきを強めながら、それぞれ異なる政治的な道を歩んだ。
主要概念
第1–2部:基礎と形成
- 官僚制帝国:秦漢のもとで成立した中央集権国家。その成立がひとつの章の主題となっている。
- 仏教の伝播:分裂期の中国への仏教の流入と、朝鮮・日本へのさらなる広がり。「Connections」のコラムのひとつの主題でもある。
- 対等な国々の中の中国:宋が遼・西夏・金と並存したこと。
第3–4部:新たな挑戦と西洋帝国主義
- 満洲帝国:1600年から1800年にかけて満洲人が築いた征服国家としての清。
- 江戸時代の日本と朝鮮王朝:日本と朝鮮で長く続いた近世の秩序。それぞれ1800年までを扱う章が設けられている。
- 明治の変革:1868年以後の日本の作り直し。同じ世紀の中国の衰退や朝鮮の危機と対比される。
第5–6部:近代世界
- 朝鮮の植民地支配:1896年から1945年まで、日本の支配下での朝鮮の近代化。ひとつの章で扱われる。
- 分かれる道:日本、毛沢東期とその後の中国、1945年以後の朝鮮半島がたどった戦後の別々の軌跡。
批判的分析
長所
- 政治と並ぶ社会史・文化史。 出版社はこの版を、最近の研究に基づき、ジェンダーと物質文化に特に重点を置いたものと説明しており、食べ物・衣服・美術品を扱うカラー図版がそれを支える。両著者とも社会史の研究者で、エブリーの過去の著作には宋代の婚姻と女性の生活や儒教の家礼の研究があり、ウォルソールの著作には日本の社会的抗議や百姓一揆の研究がある。
- 三国それぞれに独自の章。 朝鮮には初期朝鮮から高麗、朝鮮王朝、植民地支配、1945年以後まで、すべての部で独自の章があり、中国と日本の橋渡しとしてだけでなく、それ自体として扱われている。
- 史料と伝記を内蔵。 一次史料と、著名人・庶民の短い伝記が、別の史料集なしに授業の討論材料となる。
- 概説授業に合う構成。 国と時代ごとに整理された章は週に1、2章ずつ課しやすく、2分冊の構成は前近代または近代の東アジアの授業に向いている。
短所
- ベトナムや周辺地域はほとんど扱わない。 章題に現れるのは中国・朝鮮・日本だけで、ベトナムを東アジアの一部として学びたい読者には別の本が必要である。
- 比較は読者に委ねられる。 章が国ごとに組まれているため、社会どうしのつながりは主に短い「Connections」で示されるだけで、比較の作業の多くは学生自身が行うことになる。
- 最近の数十年の記述は古くなりつつある。 第3版の著作権表示は2014年で、日本・朝鮮半島・毛沢東以後の中国を扱う最終章は2010年代初めあたりで終わる。
- 1学期には長い。 一巻本で約600ページあり、1学期の授業ですべてを扱うことはできないため、教員も学生も取捨選択が必要になる。
コースにおける位置づけ
エブリーとウォルソールの本は、このコースにおける中国・朝鮮・日本の本格的な教科書型の通史である。最も近い代替はチャールズ・ホルコムの A History of East Asia で、これも初期文明から現在までの一巻本の地域史だが、地域をひとつのつながった物語として扱い、ベトナムも含む。地域としての議論を求める学生はホルコムを、国ごとのより詳しい章と史料の内蔵を求める学生はエブリーとウォルソールを選ぶとよい。ラナ・ミッターの Modern China: A Very Short Introduction は清末以降の中国を主題別に扱うずっと短い入門書で、第4–6部の予習になる。
さらに深く学ぶには、コースの長い一国史が特定の章に続く。明代後期以降を叙述するジョナサン・スペンスの The Search for Modern China は明・清・近代中国の章の後に、徳川幕府から20世紀後半までを扱うマリウス・ジャンセンの The Making of Modern Japan は江戸時代と近代日本の章の後に読むとよい。F・W・モートの Imperial China 900–1800 は詳細な政治・文化史で、宋・モンゴル・明・満洲の章を大きく広げてくれる。
本書の使い方
本書は東アジアの歴史や言語についての予備知識を前提とせず、大学で初めて学ぶ概説授業のために書かれている。実践的な計画:
- 2学期の連続授業: 第1学期に第1–3部(または Pre-Modern 分冊)、第2学期に第3–6部(または From 1600 分冊)。重なりがあるので、第2学期は明・朝鮮王朝・清・江戸の章から始められる。
- 1学期の概説: 各部の三国すべての章を読むが、第2部の中世の章は手早く進め、第1・3・4・6部に重点を置く。
- 一国に絞った授業: 一つの国の章を部をまたいでたどる(日本なら、初期国家、平安、鎌倉、中世、江戸、動乱、明治、近代日本の台頭、戦争と戦後、現代日本)。文脈を得るために「Connections」も読む。
- 本文と並行して: 各章の史料と伝記を討論に使い、部ごとに三列(中国・朝鮮・日本)の年表を作って並行する叙述をそろえておく。
